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名無しの条件 ー 名前のない関係について

最近友達から親密な人との話を聞いた。僕はその人と友達の関係が「名前のない関係」という名前の関係のように思った。それは結局友達や恋人と同じで、一つの名前が付けられた関係なのではないだろうかと。

そもそも名前がないということはどういうことだろう?名前とは人間が事物に対してつけるものであり、世界には名前の付けられていない事物もある。しかしそれらの事物は名前がなくても存在している。ただ存在している。
それに名前が付けられている事物にしても、人間が付けた名前などつゆ知らず、名前とは無関係に過ごしている。もしも僕に名前がなかったらどうだろうか。社会生活を送るのは難しいけど、やはり名前がなくても存在はしている。

関係において名前がないことは可能なのか。もちろん「名前のない関係」という名前の関係にならずに。
人間以外にも関係はある。例えば鳥にも。鳥は求愛し、人間でいうところのパートナーを見つけ、人間でいうところの夫婦という関係になる。そしてその夫婦から生まれた雛鳥と夫婦の関係は、人間でいうところの親子という関係だ。しかし、鳥には名前というものがない。鳥はただ関わっているだけで、そこにはただ関わりが存在するだけだ。
関係に名前がないということは、ただ関わりが存在するだけのことを言うのではないだろうか。双数の関係であれば、ただそういう2人がいるということだ。

関係において、名前の不在には条件があるのかもしれない。名前とは必要だから、もしくは欲しいと思うからつけられる。だとすれば、例えば親密な仲において、どちらか一方でも関係に名前を求めるとするなら、名前の不在は不可能になる。そのときに、ただ関わりが存在するだけであり、名前がないことは、「名前がない」という名前に変わるのではないだろうか。親密な仲おいてどちらかが恋人になりたいと求めたとして、一方は「名前のない関係でいたい」というのは、そういうことではないだろうか。

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