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兵士の救世主?SPAM

コーラの話を紹介した時、コカコーラは第二次世界大戦によってアメリカの飲み物から世界中に知られ超有名なブランドへ躍進しました。

実はこのように戦争で世界中に知れ渡った商品は非常に多いです。今日はその一つであるランチョンミートの昔話をします。

ランチョンミートはアメリカ人の発明、第二次世界大戦によって世界中に売られ、スーパーに行けば今日も商品棚に並べているSPAM(スパム)文字のある青色鉄箱です。

1930年代世界大恐慌が起き、アメリカ人の収入は急激に悪化してしまい、通常の肉類に対する消費もできなくなりました。そこで食品会社はチャンスをとらえ、豚の挽肉、片栗粉と調味料を合わせ缶詰にしました。

味はもちろん肉ほど旨くないが、よく味わえればちゃんと肉の味が出ます。しかし、重要なのは安いです!肉が食べれなくなった人にとって最高な一品と言えます。

ホーメルフーズという食品会社も追随して似たような缶詰を出しましたが、あまり売れなかった。管理層は商品の名前に問題があると考え、新しい名前を公募した結果、豚の肩肉とハム(Shoulder of Pork And ham)を縮めてSPAMスパムに改名しました。

1937年7月5日、最初のスパムランチョンミートが誕生したが、他のランチョンミートと比べても特に美味しいわけではなかった。しかし、スパムだけ冷蔵保存の必要がないのは特徴でした。なぜならスパムランチョンミートの肉含量が少なく、片栗粉の量が多いため、食品添加剤など腐り防止のものが入れ放題でした。

この特徴はまさにピンポイントで人の心を掴みました。だって肉さえ食べられない庶民の家に冷蔵庫があるわけなかろうか。スパムが世に出てからすぐ爆買されみんなに愛されるようになりました。

この後戦争が勃発、アメリカ軍の上層部は兵士達に毎食肉が食べれるように購買部に命令しました。当時60種類以上の缶詰が入札に参加し、肉から魚までなんでもあり、味もスパムより美味しかったが、結果はスパムが勝ちました。理由はただ一つスパムが安かったからです。(ほとんど片栗粉だもの)

第二次世界大戦期間、数十億個のスパムランチョンミートが前線に送られ、1942年ホーメルフーズの年豚加工数量はすでに160万頭に達しました。

しかし、アメリカ兵はスパムに対し全くいい印象がなかった、彼らは戦場に三つの敵があり、それは敵の弾丸、病気とスパムランチョンミートだと。

実はスパムランチョンミートはほぼ全方位でアメリカ人の飲食習慣に合わなかった。新鮮さが足りない、ひき肉(アメリカ人はステーキのようなブロック(?)肉が好き)、最後当時のアメリカ人は簡単な味が好きで、料理でさえ食材を単独料理するのはほとんどでした。しかし、ランチョンミートは色んなものの混合品です。もっと酷いのは戦時特殊な状況下で肉含量は以前よりさらに少なくなり、厳しい環境でも長期保存できるように食塩や添加剤を大量投入し、味ももっと不味くなりました。

実は兵士だけではなく、総司令であるアイゼンハワーもスパムに対し非常に不満でした。戦後ホーメルフーズの社長と会った時「君たちを許す唯一の理由は運んできたランチョンミートが多すぎったことだけにある」と発言し、つまり量が多い以外全く取り柄がないわけです。

とはいえ、アメリカ兵がスパムを呪っている時、他の国の兵士から見ればスパムより美味なものはいないと思っていました。

例えばとあるイギリス兵はアメリカ軍営を通った時、スパムの愚痴をしている料理兵の声を聞き、土に落ちている埃だらけのランチョンミートを拾いそのまま食べました。つまり我々イギリス兵にとってこんなものあるだけでも贅沢だよと。

ソ連も非常にスパムを感謝していた、スパムランチョンミートは当時ソ連軍の肉供給量の半分以上を占めしていました。戦後フルシチョフ訪米の時、1941年ソ連の「食料庫」であるウ クライナがドイツに占領されたため、もしスパムの供給がなければ、紅軍への補給もほとんどできないと明言しました。

ハワイなど太平洋の島国も非常にスパムランチョンミートを愛しています、戦時漁業が禁止され、アメリカ海軍は大量な魚缶詰とスパムを運んできたことでなんとか乗り越え、当地の人もランチョンミートを食べる習慣を付き、とある島にはスパムのフェスティバルも毎年開催されています。グアムなどのマックドナルドのメニューにもランチョンミートバーガーが存在しています。

韓国のプデチゲも米軍のスパムランチョンミートから来た代表的な料理の一つです。


というわけでスパムランチョンミートの功績は罪(?)より大きい、ホーメルフーズ社も有名になり、所在地であるオースティンもスパムの町として知られ、毎年7月4日には大きなイベントを開催しています。


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