『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
原題「BLACK PANTHER: WAKANDA FOREVER」
崇高なる王の崩御による喪失感から始まる今作。
冒頭の葬列シーンとラストに向けてのフラッシュバック演出は間違いなくチャドウィック・ボーズマンへの追悼でもあった。
ワカンダの民が悲しみを押して楽器を鳴らし踊り続ける葬儀の中、ティ・チャラ王の壁画が映し出されたシーンには正直眼頭が熱くなった。
ヒーロー不在のMCUと言う設定でどう新しい展開を加えて行くのか?と思っていたがここまでのストーリーを築き上げるとは!
この世界観だからこそ描ける新たな敵の存在は戦争や侵略で虐げられた民族の活路と言う背景も持ちつつ本来なら共存と言う道を選べるのに憎悪に駆られた人間の業がそれを退けアフリカ対メソアメリカの図式を創り出す。
悲しみや憎しみに囚われた人間の危うさは本来目指すべき事をも見失わせる。
その背景として根本にあるのが相も変わらない武器資源争奪の世界情勢。
ティ・チャラの死から一年後、王位を引き継いだラモンダが国連でワカンダにしか無いと言われるヴィブラニウムの輸出制限について問い詰められるが彼女は毅然とした態度で軍事利用される事を懸念し輸出を拒む。
しかしワカンダ以外にもヴィブラニウムの存在が発見され、それを巡り今まで外界(地上界)とは接点を持たなかった海底王国タロカンが姿を現すことに・・・。
人間が作り出した地球破壊を含む様々な負の要素をティ・チャラの高潔さと並行して描きながら愛する者を失い、苦悩し、道に迷い、それでも志を継承しようと乗り越えていくワカンダの新しい指導者ラモンダとティ・チャラの妹シュリの姿を大袈裟な感動物語にするのではなく或る意味【新時代の女性群像劇】としても楽しめる様に構成されているのがクーグラー監督の手腕なのだろう。
相変わらずのワカンダ王国の色彩溢れる景色もだが海底王国タロカンの美術が素晴らしく国王のネイモアの足に生えた羽根と言う新しいヴィジュアルが新鮮!
前作も担当したルドウィグ・ゴランソンの音楽🎶も素晴らしかった!
無念にも主演を失ったこのシリーズが新しいフェイズに突入する体勢立て直しとしては十二分に見応えもあったし納得出来る仕上がりだったと思う。
次回作は必ずあると匂わす締め括りに劇場を出た後色んな想像を巡らせたぞ。
とーっても楽しみだ٩( ᐛ )( ᐖ )۶
Wakanda Forever‼︎
2022/11/12
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