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リンゴの季節がやってきた!

こんにちは。全農広報部note編集部員Nです。
長野ブドウの回のときも言いましたが、味覚の秋到来ですね。葡活(※)にうつつを抜かしていましたら…、
リンゴ、きたー!
というわけで、秋のフルーツ売り場は大忙しです。いそいそ果物専門店やデパ地下青果店などへパトロールに出かけたところ、出会ったリンゴはサムネイル画像のとおり。みなさん、並んだ10個のリンゴたち、なんという種類かわかりますか?(ヒントは「購入したのは9月末」「東京の果物専門店やデパ地下青果店で出会った子たち」「青森県産・岩手県産・長野県産」です)

※葡萄(ぶどう)を楽しむ部活動「葡活」、いつでもメンバー募集中です!

リンゴ集合2

リンゴは世界で約15000種

…ん?1500種ではなく、1万5000種!!?日本でも2000種類あると言われています。すごい数ですね。現在、日本で栽培されているリンゴは主に「西洋リンゴ」で、1871(明治4)年にアメリカから導入されたそう。早生、中生、晩生の収穫時期や大きさ、赤や黄色といった果皮の色などで、さまざまな種類があります。

生食をはじめ、アップルパイやタルトなどのスイーツやドライフルーツ、ジャム、リンゴのお酒・シードルと、楽しみ方もイロイロです。日本の果物で2位の収穫量&出荷量を誇るリンゴ。主な産地は青森、長野、岩手、山形、秋田、福島などで、私の地元・富山でも栽培しています。スーパーの店頭には一年中並びますが、収穫は8月から11月ごろまで。品種リレーしながら、さまざまなリンゴたちが登場します。

代表的な品種

ふじ
国光×デリシャス
甘味・酸味・歯ごたえの三拍子がそろった人気品種。蜜が入りやすく、果汁もたっぷりです。日本で栽培されているリンゴの50%ほどが「ふじ」です。

つがる
ゴールデンデリシャス×紅玉
青森県生まれの早生リンゴ。酸味が少ない甘口の食味と、ジューシーさが特長です。ふじに次ぐ2番目の生産量。

王林
ゴールデンデリシャス×印度
「リンゴの王様」という意味を込めて命名された、黄緑色の品種の代表格です。強い甘さと香りが独特で、ジューシー。

ジョナゴールド
ゴールデンデリシャス×紅玉
アメリカ生まれの個性派。やや酸味が強いものの甘みも十分で、コクのあるまろやかな酸味が楽しめます。生食はもちろん、調理用にもおすすめ。

紅玉
アメリカ生まれの品種
甘味以上に酸味が強く、果肉もしっかりしているため、アップルパイやタルトタタンなど、加工用によく使われます。

全国でもリンゴの出荷量が多い全農の「りんご主産県会議」のメンバーに、主な出荷時期と品種リレー、ぜひ食べてもらいたい注目の品種などを教えてもらいました。

JA全農あおもり
主な出荷時期:8月~翌年7月
主な品種リレー:
赤色品種 つがる→早生ふじ→サンふじ・サンジョナゴールド→有袋ふじ・有袋ジョナゴールド
黄色品種 きおう→トキ→ぐんま名月・王林→シナノゴールド

「王林(おうりん)」

王林

青森県における主力4大品種の中で、唯一の黄色系品種。リンゴの栽培には欠かせない品種で、甘みが強いのが特長です。近年では青森県弘前市発のアイドル「RINGOMUSUME(りんご娘)」の一人として活躍する「王林さん」の名前の由来にもなっています。
主な出荷時期:11月~翌年5月ごろ
主な出荷&販売先:県内外消費地

青森の各産地では、高糖度ブランド商品への取り組みも増えています。通常の出荷品と比べて、ワンランク上の上品な味が楽しめると思います。

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JA全農いわて
主な出荷時期:8~12月
主な品種リレー:紅ロマン→きおう→つがる→紅いわて→ジョナゴールド→シナノゴールド→ふじ→はるか

「はるか」

冬恋コラージュ

「ゴールデンデリシャス」×「スターキング」から生まれた岩手県オリジナル品種。岩手の寒さで鍛えられた歯ごたえのある食感、果実の中に凝縮された蜜と甘さのハーモニーが特長です。その中でも、糖度・蜜入りの厳しい基準を乗り越えた「はるか」を「いわて純情プレミアム『冬恋』」として販売しています。一度食べたら忘れられない、リンゴの常識を覆す味わいです。
主な出荷時期:12月
主な出荷&販売先:京浜、関西、地元市場

冬恋はるか圃場

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JA全農あきた
主な出荷時期:9月~12月
主な品種リレー:つがる→やたか(早生ふじ)→シナノスイート→秋田紅あかり→王林→サンふじ

「秋田紅あかり」

秋田紅あかり1

「千秋」×「王林」から生まれた秋田県オリジナル品種。外観は鮮やかな赤色に星が散りばめられた加点が特徴的。酸味控えめで際立つジューシーな甘味が広がるおいしいリンゴです。
主な出荷時期:11月上旬~12月末まで
主な出荷&販売先:秋田県内中心、関東市場

秋田紅あかり圃場

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JA全農山形
主な出荷時期:8月~12月
品種リレー:つがる→早生ふじ→秋陽→紅玉→シナノスイート→王林→ふじ

「秋陽(しゅうよう)」

秋陽_盛付

「陽光」×「千秋」を交配・育成した山形県生まれのオリジナル品種。パリッとした食感で、糖度と酸度のバランスが良く、濃厚な味が特長です。
主な出荷時期:9月下旬~10月中旬
主な出荷&販売先:関東市場

秋陽①_県園芸研究所_20210930

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JA全農福島
主な出荷時期:8月下旬~12月上旬
主な品種リレー:サンつがる→早生ふじ→シナノスイート・陽光→王林・こうとく→サンふじ

「シナノスイート」
生まれは長野県ですが、福島県内でも栽培が盛んにおこなわれている人気品種です。味についてはその名の通り“甘さ”に特徴があり、酸味は少なめ。食べたときの香りも良く、多くのお客さまから評価の高い品種になります。
主な出荷時期:10月中下旬
主な出荷&販売先:福島県内・京浜・関西市場

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JA全農長野
主な出荷時期:8月~12月
主な品種リレー:シナノリップ→つがる→シナノドルチェ→秋映→シナノスイート→シナノゴールド→ふじ

「シナノゴールド」

シナノゴールド_8917

パリッとした食感と、甘味と酸味のバランスに、もう長野県民はトリコです。リンゴをたくさん食べる人は、最終的にこのゴールドに行き着く印象があります。味も爽やかなのでパクパクいけます。スナック菓子の代わりにぜひ食べてもらいたい!
ヨーロッパを中心に海外へは「yellow®」として出荷、販売されています。品質・貯蔵・食味の厳しい試験をクリアした、長野県が生んだ世界基準の品種です。収穫時期を迎えると、シナノゴールドがおいしそうなキレイな黄色に仕上がります。遠くから見ても非常に目立つ、季節を感じさせるモチーフです。
主な出荷時期:10月中旬~11月下旬
主な出荷&販売先:東京・名古屋・大阪方面

シナノゴールド圃場

ちなみに…

りんご三兄弟_8886

左から「秋映(あきばえ)」「シナノスイート」「シナノゴールド」を合わせて、JA全農長野では「りんご三兄弟®」と呼んでいます。どれも長野県が生んだ品種で、出荷もリレーしていくので食べ比べを楽しんでもらえれば。「シナノリップ」や「シナノドルチェ」、りんご三兄弟など、オリジナル品種が多い長野県です!
主な出荷時期:シナノリップ 8月中下旬/シナノドルチェ 9月中下旬/秋映 9月下旬~10月中旬/シナノスイート 10月

リンゴとは関係ないですけど、「ぶどう三姉妹®」も今年デビューしたので、こちらもよろしくお願いします!

「今月の葡活。ブドウ界期待の新人『クイーンルージュ®』デビュー!長野の『ぶどう三姉妹®』をハントせよ。」

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ところで、地元・富山で人気品種と言えば、やはり「ふじ」。だと思うのですが、各県の人気品種はどうなのかな?と思い、個人的な興味で質問しましたところ…、

青森「北斗(ほくと)」
栽培しづらく、生産量は少数。ただし、食味は抜群で、知る人ぞ知るリンゴ。

岩手「紅いわて」
「つがる」×「プリシラ」から生まれた岩手県オリジナル品種。紅色、濃い甘味と淡い酸味のバランス、果汁の多さが特長。

福島「こうとく」
実の中に蜜が入りやすく、食味も良いのが特徴の県内でも知る人ぞ知る品種。生産量が少なく、量販店に並ぶことはほとんどないが、JA全農福島の農産物直売所「愛情館」では口コミで広がり、指名買いするお客がいるほど隠れた人気品種。

長野「シナノゴールド」※おすすめ品種の紹介を参照

なるほど。これは気になります。地元じゃないと出合えないリンゴもありますが、ぜひ食べてみたいと思います(メモメモ…)。

リンゴヨーグルト1

りんご主産県会議では、平成28年から小岩井乳業さんと一緒に簡単レシピ「リンゴヨーグルト」を店頭などで提案して、消費推進に取り組んでいます。切ったリンゴにヨーグルトをかけるだけ。お好みでハチミツを添えたり、リンゴをレンジで温めたりしても、おいしく食べられます。

JA全農りんご情報局
http://vegemart.net/apple/

一年中、おいしいリンゴが食べられる理由

8月から11月にかけて収穫されるリンゴですが、スーパーには一年中並んでいます。それはなぜ?と思い、JA全農あおもりのリンゴ担当さんに聞いてみました。

リンゴは収穫した後も比較的日持ちがする果物ですが、収穫量が多く長期保存にも向いている「ふじ」や「王林」「ジョナゴールド」などを中心に、貯蔵することで周年出荷に取り組んでいます。青森県では収穫後、出荷時期に合わせて「通常冷蔵」、「CA貯蔵」に分けて保管されます。
・「通常冷蔵」 温度0度ほど、湿度90%前後の冷蔵庫で保存することで、3月ごろまで出荷します。
・「CA貯蔵」 リンゴは収穫した後も呼吸しています。呼吸することで味や鮮度が失われてしまうので、温度や酸素、二酸化炭素、窒素などを調整することで、リンゴの呼吸を抑え、長期保存することができます。3月末まで密閉貯蔵し、4月から7月にかけて出荷します。

日持ちのする品種と貯蔵技術のおかげで、おいしいリンゴを一年中食べることができるんですね!ありがとうございます。

カットリンゴ

ほかにも気になるリンゴごと

①蜜入りリンゴの蜜って?
リンゴは葉で光合成すると「ソルビトール」という物質が作られます。それが果実へ運ばれ、果糖やショ糖に変換されますが、完熟すると変換されずに細胞の間に貯まって水分を引き寄せます。これが「蜜」と呼ばれています。ソルビトールは果糖やショ糖と同じ単糖類ですが、甘みはショ糖より低いため、それほど甘くはありません。蜜(ソルビトール)が入るということは、糖に変換できないくらいに熟している=「完熟している証拠」となります。品種によって、蜜が入りやすいものと入りにくいものがあり、「ふじ」や「北斗」「はるか」「高徳(こうとく)」などは蜜が入りやすい品種になります。

②リンゴの表面がベタベタするのはなぜ?
リンゴ自身が作り出す物質で、りんご自体が成熟するにつれて増えるリノール酸とオレイン酸であり、不飽和脂肪酸と呼ばれる栄養価の高いものです。
この現象は、よく熟している印と言われています。

③「ふじ」と「サンふじ」??
ときどき店頭で見かける「サン」の文字。栽培するときに、病害虫の予防や色づきをよくするためリンゴに袋をかけて育てる場合(有袋栽培)がありますが、袋をかけずに太陽の恵みをいっぱい当てて育てた(無袋栽培)リンゴに「サン」と表示していることがあります。

さて。サムネイル画像のリンゴの種類ですが…、正解はこちら!

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この後も、シナノゴールド、ジョナゴールド、ぐんま名月、ふじ、王林…と、まだまだ登場します。さすがに生きている間に2000種は達成できそうにありませんが、少しでも多くのリンゴを食べてみたいと思います。