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ブラックジャックの最終回ってどんな話?

手塚治虫全巻チャンネル【某】

今回は「ブラックジャックの最終回」をお届けいたします。

言わずと知れた手塚治虫の代表作であり
医者漫画の先駆け、金字塔ともいえる傑作短編シリーズで
「生命」を扱ったドラマ性はどれも秀逸。
限られたページ数で表現するストーリー、
構成力はもはや神業と言える完成度

間違いなく日本漫画史に残る傑作でありますが
そのブラックジャックの最終回はご存じでしょうか。

今回はどのような結末を迎えたのか見ていきますので
ぜひ最後までお付き合いください。


それでは本編いってみましょう。

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まずブラックジャックについては
以前にどのような漫画なのか解説記事がありますので
ぜひチェックしてみてください。

さて…本題ですが


結論から言ってしまうとブラックジャックは短編形式であり
明確な最終回というのはありません。

しかし最終回と思われるものはあります。
それは1978年9月掲載の『週刊少年チャンピオン』での連載終了の回
第229話「人生という名のSL」というエピソードです。
ちなみに今回は原作のみを対象としておりますのでご了承ください。


この「人生という名のSL」
最終回ともとれる終わり方をしているのですが
その後、単発掲載で13篇のエピソードが描かれておりまして
それでいくと
1983年10月発表の「オペの順番」が執筆における最後の作品となっています。

しかし
この単発掲載の13篇においては
話数表記、いわゆる「第何話」という表記がないエピソードですので
立ち位置的は正規の流れを組まないアナザーサイド的なニュアンス
なのかなという感じはします。

ですので一般的には「人生という名のSL」
最終回と捉えて問題ないのではと思います。
内容については後で解説するとして…


こんなにも有名作品であるにも関わらず
最終回がそれほど有名ではない理由にはいくつか理由があり
短編だからという理由もありますが
ひとつには
掲載順番収録作品が出版社によってバラバラであるということが挙げられます。

これが非常にやっかいなんです。
もうほんとにやっかいです


まず手塚作品をすべて収録していると言われている
講談社「手塚治虫漫画全集」
ボクが全巻揃えているやつなんですけれども
この全集版ブラックジャックは219話しか収録されていません。
ちなみにブラックジャックは
正規エピソードが229話と追加の13話と併せて242話あります。

つまり「242話中219話」しか入っていないんです。


ちなみに
秋田文庫版で231話
秋田書店 少年チャンピオンコミックス版で234話
講談社 手塚治虫文庫全集で 232話

とそれぞれ収録数が異なっております。
さらに掲載順番も違うという暴挙ぶり。

しかも極めつけは
2012年に発行された復刊ドットコムの
「ブラック・ジャック大全集」
雑誌連載時と同じ掲載順でB5判フルサイズ&フルカラーの完全版と言われた本書ですら掲載数は239話なんです(笑)
(完全版ちゃうんかい!)

つまりですね、
これまですべてのエピソードが単行本化されているわけじゃなく
しかも短編形式のマンガ(続きものでない)で
明確な最終回でもなく
掲載順も違っているんですから、
はっきり言って誰も最終回なんて気づけません(笑)


ここら辺が最終回がそれほど話題にならない理由のひとつでしょうね。
普通にこの「人生という名のSL」が読んでいる本の真ん中に入っていたら
ふーんって感じでただのひとつのエピソードとしてスルーされちゃいますよ。マジで!

ちなみに
第28話「指」、
第41話「植物人間」、
第58話「快楽の座」
は未だに
単行本化されたことがなく
著作権者である手塚プロダクションの意向により、
今後も単行本収録の予定はありません。

これは表現の問題など色んな大人の事情がありまして
おそらく今後も世に出ることはないと言われています。
(「植物人間」単行本の4巻に収録されていますが初期のみ)
↓ こちらはタイトルが「からだが石に」に改編され収録されています


という訳で前置きが長くなりましたが
この実質的最終回と言われる「人生という名のSL」がどのような作品であったか簡単にみていきましょう
ちなみに全集版では18巻、文化版では11巻など収録巻数が違いますので。


あらすじは…
ガランと空いているSLに乗っているブラックジャックの前に
恋人だった如月恵が現れます。

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そして気づくとライバルのキリコも現れ、
なんと命の恩人の本間先生まで登場します。

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そしてどこかで会ったことのあるような美しい女性が現れ
実はそれは18歳になったピノコだったんですね。

そこでちょっとしたロマンスもあるんですけど

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これ全部夢だったというオチなんです


ガーーーーーン!


はっきり言いましてボク…


夢オチ嫌いなんであまりこのエピソード好きじゃないんですよね(笑)
だって夢オチって何でもありじゃないですか。
天下の手塚治虫が夢オチって…ねぇ…。

だから先生もあんまり最終回っぽくしてないんじゃないかって
勝手に思ってるくらいですから。
見ようによっては集大成的なニュアンスも感じさせてくれますが
やはり夢オチはないかな(笑)

というわけでブラックジャックの最後は夢オチということでございます。

この件については
「これは夢オチと呼ばない」「あえて最終回としないからいい」とか
賛否両論の意見があるのは知っています。
どちらが良いとか悪いとか議論するつもりもありません。
あくまでもボク個人の感想が夢オチが好きではないという結論ですので
あしからず…。


参考までに最後の執筆となった「オペの順番」
これは素晴らしい。

非常にブラックジャックらしいエピソードですね。
アニメ版では第一話で放映されているくらい「らしさ」を感じるお話です。

あらすじは
代議士の先生と赤ちゃんと猫がそれぞれケガをしていて
一刻も早く手当てをしないといけない状況
そんな中、代議士の先生が1000万円払うから治療してくれって頼むんですけどブラックジャックは 猫→赤ちゃん→代議士の順で治療するんですね。

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唯一お金を払っていた代議士は激怒してブラックジャックを訴えます。

このムカツク代議士にラストには会心のオチが待っているんですが
それはぜひ読んで
「気持ちいい~」ってなってみてください
めちゃくちゃ面白いですから。


こういう医療の在り方であるとか「命」の優先順位というものを
漫画を通して問いかけてくるやつっていいですよね。ボク好きです。
この場合、優先度ってお金でも、地位でもなく、ケガの重症度
そして人間でも動物でもなく「生命の希少性」

一見すると動物より人間でしょ…ってなるんですけど同じ命なら
より希少性が高いものを優先するブラックジャックの考え方。

代議士の代わりなんていくらでもいる、
でもこの猫は「天然記念物」であり代わりがいない
こういう手塚治虫の生命観って動物に限らず自然にも当てはまることで
自然破壊、環境破壊
かけがえのない美しい地球を大切
にしようと訴えてきた手塚先生らしいエピソードだと思います。


その他にエピソードも下記よりご覧になってみてください。


以上最終回と言える2作品見てきましたがいかがでしたでしょうか。

今回は番外編でもう一作品ご紹介しておきましょう。

それは正式なエピソードではないのですが
1987年9月に描かれた「ミッドナイト」という別漫画の最終回です。
この「ミッドナイト」とはテーマがモグリのタクシードライバーであり
1話読みきり形式という非常にブラックジャックによく似た漫画です。

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その最終回にブラックジャックがゲスト出演しているんです。
しかも手塚先生が亡くなる1年半前ですから実質本当に最後に描かれたブラックジャックということになります。

…でこの「ミッドナイト」の最終回ですが、
そのあまりにも衝撃的な展開と結末から、
手塚先生の意向により単行本化されませんでした

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しかし亡くなった後に
文庫版とコンビニ本で衝撃のラストが解禁されております。


最終回の内容はといいますともうほとんどブラックジャックですね。

独壇場です。
彼がいないと物語が成立しない内容です(笑)
タクシードライバーどこ行ったん?って感じですけど…

ブラックジャック史上最大とも言える恐ろしく冷酷な決断を下します
神業中の神業が炸裂し大どんでん返しの結末を迎えます。
これね、読者によっては衝撃度マックスのオチでしょうけど
裏手塚要素に照らし合わせてみるともはや鉄板芸なんですけどね(笑)


ちなみにこの「ミッドナイト」も未収録作品が11篇もありまして
この最終回も未収録のひとつになっております。
今でも復刻を望む声が後を絶たず真のブラックジャックファンは
この「ミッドナイト」の最終巻を揃えないと
ブラックジャックが完結しないとまで
言わしめている本家ブラックジャックと陸続き的な作品となっております。


こちらは文庫版に掲載されております




…という訳で今回は「ブラックジャクの最終回」お届けいたしました

手塚作品は膨大な未収録があり素人には
何が何だかさっぱり分からないと思います。
でもね…それが手塚治虫なんですよ(笑)
玄人でも分からないこと沢山あるカオスな世界なんでそこが楽しくもあり
腹ただしいところでもあります
ぜひそんな手塚治虫ワールドを楽しんでいただければと思います

それでは!


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