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「経験値がものをいう」が機能しなくなる~予測可能なエラー~

このシリーズはわたしが学んだヒトの行動について、行動変容と経済学と絡めて(それを行動経済学という)勉強したことをアウトプットをこのnoteで共有していくものです。

簡単に予測できると思い込んでいることが、実は間違いだったこと、ありませんか?
予測できる、と思ってしまうことは、何も知識がないなどと、間違っているというつもりはありません。わたしたちが共有する文化やコンテクストが、この予測可能なエラーに大きく影響を与えています。

予測可能なエラーとは?

経験則が常に正しいとは限らない

この理論を見たのは、経済学者であるリチャード・セイラー氏の『行動経済学の逆襲』にて。


本ではインド人の名前を例にあげていました。

「ドラブ」という名前はよくある名前か?
→多くの人:(経験に基づき)聞いたことがない
→インド人:よくある名前

日本とメキシコに住んでいるわたしにとっても、この名前は珍しい名前として認識します。
しかし、統計的に見ても、インドを見ても、この名前は普通の名前だということがわかります。

わたしは経験から、「ドラブ」という名前は珍しい、と判断してしまったのです。もちろん正解は「珍しい」ではなく、「よくある名前」なんですね。

経験というバイアス

例えばあなたが株の売買をしているとしましょう。
A社の株は大手投資家からも注目されており、あなた自身もこの傾向で売買をしていて外れた経験はないので、購入することにしました。
しかし、しばらく経ってから競合のB社の新商品発表会でA社の技術を超える商品が発表され、提携先も決まっているというニュースが舞い込んできました。するとA社の株は急落、あなたは損切をする決心をしてA社の株を手放すことにしました。

もしあなたが競合について調べていたらどうなっていたでしょうか。単に注目を浴びている、自分の経験値がある状態で、バイアスがかかってしまっていると、未来のことや周囲の状況がぼやけてしまいます。

株はあくまで例ですが、わたしたちが信じ込んでいる経験値というバイアスによって、人はエラーを起こしてしまうということです。

メタファーやメンタルモデルがエラーを防ぐ

もしあなたがデザインをする人、プロダクトやサービスを開発する人であれば、「人はエラーを犯すもの」と考えておくべきです。(言い方は悪いですが)
世の中のプロダクトやサービスはそのエラーを防ぐために、メタファーやメンタルモデルであふれています。

1. メタファーについて
イメージしてみてください、PCが登場し始めのころを。

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画像:Google検索より

何かを格納したり、削除したりするのに、ファイルやフロッピー(もはや使わない)、ごみ箱のイメージに助けられています。もちろん、「保存」「格納」「削除」という言葉でも理解できますが、いまやそれぞれのイメージがわたしたちを行動させています。

もし、「削除」と書いているのにフロッピーディスクのイメージだったら…。そこにファイルをドラッグアンドドロップしてしまいますよね。

だからこそ、「削除」と「保存」などのメタファーが「ごみ箱」や「フロッピーディスク」といったイメージに置き換えられて、予測可能なエラーを防ぐ役割を果たしています。

2. メンタルモデル
○○は△△に違いない、は大体あっています。
なぜなら今ある世の中の大半のサービスやプロダクトは先人たちが築いたメンタルモデルによって設計されているからです。

ドラッグアンドドロップも引っ張ったらファイルやドキュメントは引っ張られるように動きますよね。もはや自然にわたしたちの頭の中にインプットされているのです。

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もしそのインプットされている動作が違うと、ただのエラーがたくさん発生してしまいます。

そのエラーを防ぐためにも、ドラッグアンドドロップといったメンタルモデルが共通認識としてあり、わたしたちが○○は△△として動作するだろうという考えが通用し、ここではエラーを防ぐ役割を果たしています。

予測可能なエラーを防ぐために

思い込みをなくすことから始めましょう。
○○さんは△△だろうと一度バイアスを持ってしまうと、エラーを起こしてしまいます。

まずは○○さんのことを知る、上記の株の例を挙げると、購入しようとしている会社について調べる、事実に基づいて判断を行うことが大事です。

予測可能なエラーは文字通り、「予測可能」です。
バイアスがかかった状態だと、判断が鈍ってしまいます。


参考資料


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