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力みをとる方法 ~ ボディーワーク(ヨガ)からの学び

4月の「初心者向けの禅入門」の講座では、大きく分けて4つのことをしました。
・ZEN EATING
・鈴木俊隆老子の『禅マインド ビギナーズマインド』を読んだ感想のシェア
・ボディーワーク(ヨガ)
・坐禅

最初のZEN EATINGについては、前回のnoteに書きました。
ZEN EATING 禅寺での食事作法を体験して

鈴木俊隆老師の『禅マインド ビギナーズマインド』を読んで
考えたことや感じたことをシェアした後、
ヨガの先生である、かわだゆきみさんにお願いして、皆でヨガをしました。
「力みに気づく」というテーマでのボディーワークです。

ある老師は、「普段私たちは首から上(思考)で生きている。
坐禅を組んで、はじめて首から下の自分がいることを知った。
これが修行の始まりだった。」とおっしゃいました。

ブッダも、今、ここにおける自分自身の心と身体に
関心を抱いていたそうです。
禅というと、心や思考を重視しているように思われがちですが、
ブッダは身体にも関心を持っていたのですね。

禅の師匠も武道、整体、ボディーワーク、ヨガ、解剖学などを
研究して、坐禅に活かそうとされています。

私もこれまでプロゴルファー、野球選手、経営者などと
10,000時間以上のメンタルトレーニングやコーチングを実施してきて、
心は心だけではよい状態でいられないこと感じています。

メンタルトレーニングは西洋の心理学がベースになっており、
主に脳の使い方、心のあり方などをコントロールしようとします。

私たちは普段、脳や論理を使うことに偏りがちです。
仕事でも計画や戦略を立て、目標を達成するためにマネジメントします。

『禅マインド ビギナーズマインド』に

「心と身体といいますが、それらは同じコインの表と裏なのです。」

という言葉があります。

禅と出会い、取り組む中で、仕事でもスポーツでも、
心からと身体からの2つのアプローチを組み合わせることで、
大きな可能性が広がることを感じています。

そこで、初心者向けの禅入門の講座でも、皆でヨガをしました。

照明を落とし、おだやかなBGMが流れる中、
ヨガをやってみて、参加された方からは
次のような感想が出ていました。

身体の力をゆるめると、心の緊張もとれた。
普段とても力んでいることがわかった。
鼻炎が途中ですっきりしてきた。
肩こりが軽くなった。
気持ちがよかった。


『禅マインド ビギナーズマインド』には、
坐禅において、結跏趺坐または半跏趺坐と呼ばれる姿勢は

「正しい心の状態を得るための手段ではありません。
この姿勢をとること自体が、私たちの修行の目的なのです。
あなたがこの姿勢をとるとき、心はすでに正しい状態にあります。」

と書かれています。

参加者から「坐禅の形が上手くできないのですが、これではダメ
ということでしょうか」という質問が出されました。
そこで、『禅マインド ビギナーズマインド』の説明をどのように
解釈すればよいのか、皆さんで話し合いました。

その中で、「形が出来ることよりも、正しい坐禅の姿勢が
できるように、自分なりに取り組むことが肝心なのではないか。」
「少しでもできるように、自分なりに取り組むことで、
いろいろと気づけるのが坐禅ではないか。」という
意見が出ました。

『禅マインド ビギナーズマインド』に

「一番大事なポイントは、自分の身体を自分のものにする、
ということです。」

「なにかをするというのは、自分の表現です。私たちは、
ほかのことのために、ここにいるわけではありません。
自分自身のためにここにいるのです。
坐ることのほかにも、禅堂で立つことにも、規則があります。
この規則は、みんなを同じようにすることが目的なのではなく、
自己をもっとも自由に表すことができるようにするためです。」

ともあります。

坐禅の姿勢は「あなたの中にある仏の完全な表現」という考え方です。

私は、熟練した方と同じように坐らなければと、他の人を見て、
自分の坐禅がよいかどうかを判断していました。

師匠の老師は「坐ることは一生です。」とおっしゃいました。
私たちからすれば、素晴らしい坐禅を組まれている老師でも、
その修行には終わりがない。終わりがない道にむけて、
取り組むことが禅なのだと、あらためて気づかされました。

人と比べてどうかと評価せず、自分なりに取り組んでいきたいですね。

かわださんは、身体の声を聴きながら、楽すぎず苦しすぎない
くらいの加減で取り組むことを大切にされているとのことでした。

ヨガはポーズの形を追求することではなく、体がどう感じているのか体と対話することだそうです。

しかし、つい私たちは楽になりすぎて緩みすぎてしまったり、
頑張り過ぎて苦しんでいることに気づかなかったりします。
この「いい加減を感じる力」が仕事でもスポーツでも大事だと思います。

泳ぐときも、身体の力を抜けば、自然に身体が浮きます。
「泳がなければならない」「このままでは溺れてしまう」と
力が入っていると、苦しい上、沈んでしまうのに、
力を抜くと、楽になり、身体がプカーと浮きますね。
我がなくなって、自分と水が別のものではない、
水とひとつになる感覚もあります。

以前は、力を抜けば自然に浮くということに気がついて
いなかったので、泳ぐのが苦しく、水泳に通っても
続きませんでしたが、力を抜くことで、
気持ちも楽になりました。

たとえば剣道でも、力まないことが大切です。

つい「相手に打たれてはだめだ。相手より先に打とう」
「強く打とう」などと思ってしまいます。
すると、力が入って、気持ちよく竹刀を振ることができません。

剣道で、身体が自然に浮かぶのに相当するのは「構え」だということです。
力を抜いて自然に構え、試合中も構えをしっかりとることが大切なのです。

ヒートアップすると、構えを忘れがちになります。
無意識に腕や肩、足に力が入りすぎてしまい、
動きや振りの鋭さがなくなってしまうのです。

余分な力みを抜くとよいのは、水泳や剣道に限りません。
力を抜いて静かな状態でいると、
普段は気が付かなかったことにも気づきます。

感情の嵐に飲み込まれてしまっていると、
自分の感情や考えを客観的にみることはできませんが、
たとえば怒っているときにも「私はこんなに怒っているんだ」と
気がつきます。

自分の我や怒り、嫉妬などが強いことに
少しショックを受けることもあります。

ビジネスでも、力を抜いた状態があるように思います。
「力を抜く」ということについて感想をシェアしていたときに、

「もっと大きな組織になることばかりを考えるのではなく、
今のお客さんを大切にして、自然に浮かぶのも大事だと感じる。」

と、企業のコンサルティングを行っている参加者が話していました。

noteで何度も取り上げている「初心」も力を抜いた状態と
言えるかもしれません。
「初心」ビギナーズマインドとは?

ビジネスでの浮く感覚や「構え」を意識していないと、
戦略、売上などを大きくするということばかりに
なってしまうのではないでしょうか。

物事を頭だけで理解して考えるだけではなく、
坐禅を組んだり、日々の行動を禅として行ったりしていると、
多くのことに気が付きます。

このnoteを読み終わったら、目を閉じて身体の声を聴いてみてください。
力が入っているところがあれば、力を抜いてみましょう。
どんな気づきがあるでしょうか。


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