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#掌編小説

【掌編小説】かにぱん

【掌編小説】かにぱん

幼馴染のミオに好きな先輩がいると打ち明けたのは新学期が始まってすぐの頃だった。

先輩とは夏合宿で少し仲良くなり、様子を伺いながらなら、ふざけたり出来るようになった。

そして文化祭翌日の今日、先輩に告られたとミオに言われた。「ごめんね、ごめんね」と泣くミオをおいて学校を出た。

そんな訳で家からも学校からも遠い公園のベンチに座ってかにぱんを食べている。

何かをはじめるのはいつも私だけど、最後に

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【ss】 49

【ss】 49

幼い頃の姿をした妹がプレゼントを持ってやってきた。妹は今17歳のはずだから、ああこれは夢なんだとわかった。

おかっぱ頭に不揃いなガタガタの前髪だから幼稚園の頃だろうか、母が散髪していたあの当時の私たちの前髪はいつもガタガタだった。幼い姿をしているクセにやけに大人びた口調で、「私にはもう必要ないものだから、お姉ちゃんにあげるね」と黄色いリボンのかかった包みを渡してくる。

リボンは指先でそっと触れ

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