孤独とグラスと氷のダンスと

グラスの氷を指で撫でるとカラカラと音を立てダンスを踊る。
喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
同じ情景でも気分によって感じ方は違う。

アルコールを飲みたい。
思い切り酔ってみたい。
お酒が全く駄目な私は『ほろ酔い』の缶飲料でも1缶は飲めずにダウンしてしまう。

それでも気楽に仲間と普段みれないような姿でワイワイするのは好きで。
自分の中の自分を出して、相手の中の相手が見えるのがとても良い。

世界は突然に変わる。
残酷なぐらいに一気に変わる。
気持ちが整理できないのは苦しい。

私はそれを大人として受け入れたふりをしばらく続けていたけれど、全く気持ちの整理ができていない。

この2ヶ月は落ち着いたふりの大きな反動にダウンしていた。

そんな時に思い切りお酒を飲んでみたいという無い物ねだりの欲が出る。
ため息は心の声だろうか。

私はインターネットのサービスを提供している会社に勤務しているので、働き方はリモートワークに、すんなりと移行した。
何かと比べてもそれがあまり意味の無いことだとは、頭ではわかっているけれど
世の中のニュースなどを見ていて『リモートワークができる。』そんな職場環境は幸せだと思う。

リモートワークを続けていると自分の孤独と向き合うことになる。

それは自分の中で働くことがどういう事なのかという真に向き合うことだった。

働くとは何か。
自分の存在とは何か。

貢献。
顧客へ。
貢献。
社会へ。

貢献できているだろうか。
存在できているだろうか。

グラスの中の氷をじっと見つめる。
記憶の中の自分と見つめる。
グラスも私も汗をかく。

不安で不安で一杯だった時に書道の授業で写経を行った。

写経で書いた文字の意味を知りたくて調べた。

世界とは何か。
あり方とは何か。
意味なんて無い。
全ては感じ方、考え方一つ。
心を大事にしてそれが生きるということだから。

機械のようにならなくていい。
人に会えない寂しさも、悲しさもその心が生きているということ。

不安も寂しさも抱いて、
あの時の楽しさをまた思い出して。

疲れてしまったら、無理をせずにゆっくり休めばいい。

私の中の私と向き合って。
私の大切な友人達と一緒に。

また乾杯しよう。
みんなで乾杯しよう。

また乾杯しよう。
グラスとグラスで音を立てて。

その時はカラカラと音を立てて、グラスの中で喜びのダンスを踊るだろうか。

見つめた氷は私を見つめてゆっくりと優しく沈んだ。