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超音速の131分!痛快・爽快・明快な「トップガン マーヴェリック」

いやー、エンタメの見本のような映画でした。

STORY:
ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐は、米海軍の過去40年の歴史において空中戦で3機の敵機撃墜記録を持つ唯一のパイロット。
しかし、輝かしい戦歴を誇るにも関わらず昇進を拒み続ける彼は今も戦闘機を駆っていた。
上官であるケインはそんなマーヴェリックに、ノースアイランド海軍航空基地への教官としての赴任を命令する。
マーヴェリックに与えられた任務は、海軍選りすぐりの若いパイロットの訓練。それは、不可能とも思えるミッションを達成するためだった。
参加するパイロットの中にかつて相棒だった故人・グースの息子であるルースターがいることにマーヴェリックは戸惑うが、同じ空で共に戦い今は海軍大将を務めるアイスマン強い意志を聞き、任務を引き受けることを決意する。

世界一の映画スター、トム・クルーズ

この映画、凄いところが死ぬほどいっぱいあるんですけど。
まず最初にどこかって言われたら、やっぱ主演のトム・クルーズに触れないわけにはいかない。

まあほんと、何歳になってもカッコいいんですよ彼は。

何がすげえって彼はこの夏で還暦を迎える訳ですよ。
還暦ですよ?普通なら仕事も勤め終えたと言われ、世間では中高年扱い。

けど、トムはその年齢近くで猛スピードのバイクを駆り(!?)、命懸けのアクションに自ら挑み(!!?)、挙句本物の戦闘機に乗って映画を撮る(!!??)訳です。

もちろん、アクション面や映画作りへの情熱だけではなくルックス面の爽やかさも健在。
還暦近くにも関わらず、顔のアップでこれだけ画を持たせ、自然にラブストーリーをこなす。
こんな役者、世界中探しても現役じゃトム・クルーズを置いて他にいないでしょう。
やっぱり、彼はスーパースターです。


至ってシンプル、しかし考え抜かれた脚本・演出

この作品、ストーリーはごく単純。
トップガンに舞い戻ったマーヴェリックが、今度は若いパイロットを鍛える立場に。そして、絶対不可能なミッションに挑むと。
そこに、ラブストーリーやグースの息子・ルースターとの因縁が絡んでくる。

しかし、この脚本はおそらく相当な年月をかけて磨き上げられたものでしょう。
何せ無駄なシーンが一切ないし、映画全体のペース配分が非常にうまい。
戦闘機のシーンやアイスマン(ヴァル・キリマー)の登場等、見どころのあるシーンが観客の集中力を切らさないよううまく散りばめられている。
131分、全く退屈しない脚本に仕上がっています。

後半に向かってマーヴェリックとルースターが和解していく描写もありますが、説明的過ぎない感じがちょうど良い。
仲間同士の信頼関係というか、飛ぶことを通じてお互いが信頼し、許し合える関係性に繋がっていくのがわかります。

若手パイロット達の人選もナイス。
人数が結構いるのに、きちんと識別がつくのはしっかりしたキャラ設定と演出の賜物。設定や人選自体も相当練り上げられているのが伝わってくる。
特にルースターとハングマンのキャスティングはハマってました。

ハングマンを演じたグレン・パウエルはルースター役のオーディションも受けていたようですが、こっちにして正解。
高飛車で好戦的だけど実はいい奴、というキャラクターに実にハマっていました。

ルースター役のマイルズ・テラーは「セッション」以来久々に映画で観ましたけど。役によって変幻自在に雰囲気を変えられる優れた俳優なんですね。
ワイルドなルックスとナイーブな内面、そこにうまく説得力を与える演技をしていました。

考え抜かれているのは演出面もしかり。
映画のド頭で炸裂する、お馴染み「デンジャー・ゾーン」で一気に作品の世界観に引き込まれる。
リアル世代ではない32歳の僕でさえテンション爆上がりだったので、リアルタイム世代の50代の方達はあの3分間だけで涙出るんじゃないかな。

前作で不運にもこの世を去ってしまったグースのことをさらっとおさらいしつつ、過去に囚われた作りにはしていないのもGOOD。
いくら前作が偉大とはいえ、過去作との繋がりばかりを描くと新規の観客はどう反応していいかわからなくなる。

とはいえ、世界屈指のファンサービスで知られるトムの映画で既存客を放りっぱなしにするはずがなく。しっかり前作のファンを喜ばせる仕掛けが用意されている。
前作でも印象的だった戦闘機とKawasakiのバイクを並走させるシーンの登場や前述のアイスマン登場等、しっかりと前作のエッセンスを受け継いでいるのだ。

個人的には、ラストシーンで司令塔の間際を飛んでいくシーンが「おお!」と思わされた。
やっぱマーヴェリックのキャラクターってこうじゃないとね。


音速のリアル・アクション!

思わず「!」付けちゃったよ。

本作のもう一つの売りは、トムを含めた本物のキャスト陣が実際に空を飛んだ(!?)というアクションシーンである。

本作の撮影では、パイロットを演じたキャストが戦闘機F/A-18に乗れるように、約3カ月のトレーニングプログラムをトム自身が作成。
そのトレーニングを他の俳優達が受け、身体にかかる負荷に慣れたことで本物の戦闘機への搭乗が可能となったのだ。
文字通り、命懸けの撮影である。

さらに、コックピット内に複数のカメラを持ち込んだ撮影を敢行。
多い時にはコックピット内・地上・飛行機の外側に取り付けたカメラ・さらに並んで飛ぶ別の飛行機に搭載したものを含め22台のカメラで同時撮影する事もあったという。

多彩なカメラの使用や実際のGによる苦痛に歪む表情、そして何より本物の戦闘機を駆使した撮影により、血の通ったリアル・アクションを実現。
戦闘機の飛行シーンの爽快感は、過去に比肩するものがない映像に仕上がっている。


まあ、いいとこばっか書きましたが肝心のミッションの内容が「スター・ウォーズ」のエピソード4まんまっていうのはちょっと…と思いました。笑

でも、突き詰めていくと映画なんてあの時代で完成されていて。
「トップガン」がこの時代が戻ってきたことも、ある意味必然なのかもしれません。

とにかく「アクション」「アメリカ」「友情」「本物の映像」「トム・クルーズ」を揃えた本作は超S級の娯楽傑作。観て損することはありません。

なるべく大きな劇場で、トムの雄姿をご覧あれ。

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