見出し画像

『情報の食べ方の原則』~プロに任せ過ぎない~

重要な仕事ほど素人に任せるという考え方がある。例えば、顧客や競合の情報を集めるという最重要の仕事は、マーケティング調査のプロに任せてはいけない。プロは愛用のツールを駆使しつつ、合成より分析を、常識より専門知識を、シンプルさより洗練を重んじてしまい、次のような問題を引き起こす。

●些細な点に気付いて伝えることができない
車のディーラーが、ショールームに来る人達をよく見ていれば、二つのことに気付くはずだった。①子連れの客は、子供が飽きると買う話を終わりにすることが多い。②妻たちが車内でまず確認するのは、カップホルダーがついている場所である。大抵の調査会社はこういう些細な点を見逃してしまっていた。落ち着きのない子供連れの親たちこそ、本来一番詳しく調査するべき人達なのに。

●予期しなかったチャンスを失う
素人は先の二つの気付きに対して、次のような解決策を思い付いた。①は親が買い物をする間に子供が遊べる場所を作った。②は車内のカップホルダーが目立つように、全てに空の紙コップを差しておく。どちらも、プロの市場調査では捉えきれなかった。

●情報が古くなる
プロの調査会社は、全てが「プロらしく」見えるように、美しい図表や大量の付属資料がついた報告書を作成しなければならない。勿論その前に、プロジェクトの内容を相談し、要員を雇って訓練し、データを収集する時間も必要だ。

●課題を見落とす
「プログラマーにとっては、あらゆることがソフトウェアの問題に見える」と言う例えと同じように、調査会社は自分達の特殊な視野でものを見るため、その視野に入ってこない課題は見落としてしまう。

●情報の配布が偏る
コンサルが専門的な調査をした場合、報告書を読むのは、経営陣、プロダクトマネジャー、マーケティング担当者など、ごく限られた社員のみである。顧客サービス担当者や研究開発のエンジニア、その他の下の階層にいる人達の目には全く入らない可能性がある。勿論、受付係りの目には入らないが、実のところ受付係は、恐らく他のどんな社員より、顧客のあなた会社に対するイメージを左右する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?