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結婚とか仕事とか出産とか。歪んだ社会で悩みを抱え日々闘う女性たち。

週末、積読していた本をいくつか読んだので、今日はその中の一冊をご紹介します。

女のお悩み動物園』という本で、コラムニストでラジオパーソナリティでもあるジェーン・スーさんが書かれています。

ジェーン・スーさんは、TBSラジオで平日のお昼に "生活は踊る" という番組をされていて、ポッドキャストの番組や各雑誌でのエッセイも大人気、さらに現在テレビ東京では、彼女の本が原作の『生きるとか死ぬとか父親とか』というドラマが放送中というかなり精力的に活動されているパワフルなアラフィフ女性です。
お名前からどちらの国のご出身かしら?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、生まれも育ちも東京都文京区の生粋の日本人です。

人生の少し先輩である彼女の言葉や生き方に私も元気と勇気をもらっているのですが、この『女のお悩み動物園』も、例に漏れず彼女の優しさとユーモアがビンビン伝わってきて、かなり満足な読後感でした。

タイトルから動物占い的なものを想像するかもしれませんが、自分のこと、家族のこと、友人や恋愛、仕事、将来など様々なシーンで悩みを抱えている女性たちの性質やお悩みのパターンを象徴的ないくつ科の動物に例え、相談に答えながら寄り添い、共に解決策を探ることで彼女たちがより生きやすくなるよう指南しています。

例えられている動物は、全部で16種類。

●王子様の登場を待ちわびるラクダさん
●ガーガー騒いで醜くなった残念なアヒルさん
●人を信用しすぎてしまう不用心なヒツジさん
●冷静に状況を見極めるフクロウさん
●親離れできない世間知らずのカンガルーさん
●立派な爪をずっと隠したままのタカさん
●忠犬ハチ公のようにご主人を待つイヌさん
●環境の変化にスルリと慣れるヒョウさん
●理解を超えた人を叩きのめすヤマアラシさん
●意思表示が怖くて声を上げないウサギさん
●自立心旺盛で人たらしなネコさん
●みんなの陽だまり、穏やかなカピパラさん
●期待に応えたくて弱音を吐けないトラさん
●野心とポテンシャルを秘めたユニコーンさん
●立場の違いでぶつかるトリさん
●美しくしなやかに群れるイルカさん

私は完全に他人事として読んでいましたが、全く自分と無関係と思っていた動物の気質に一部当てはまることろがあったりと、ドッキリすることもありました。

当然全ての女性がこのどれかの動物に当てはまるなんていう話ではなくて、「こういう人いるよね」とか「こういうことしがちだよね」というように、自分や周囲の人との共通点を見つけて面白がるのがこの本の楽しい読み方だと思いますが、私は、スーさんの優しさと、この日本のどこかで悩みながらも日々闘っている全ての動物女のことを想像し、不覚にも読みながら泣きそうになりました。

女性たちが抱えている問題は、その人個人に由来するものではなく、多くは社会のシステムのせいなのです。

結婚するとかしないとか、働き続けるとか途中でやめるとか、子供を産むとか産まないとか、いつまで経っても「女の問題」とされていることの多くは、日本が抱えてい歪なシステムに由来していて、そのシステムの穴を埋めるため、次の世代のためにも、我々は協力体制を取っていきましょう、と最後は結ばれています。

国際社会の中でもこういった問題解決において完全に立ち遅れている日本で、自分を責めている女性が多く存在しているのです。

ネットでこの本のレビューを見たのですが、一人の男性と思しき購入者が次のようなコメントを残していました。

まず自分で勉強して考え抜いてから質問して欲しい。
そうすれば質問の仕方も変わるから。
あと、今は女性から男性にプロポーズする時代だと僕は思っています。
男性は収入面のことや、自信のない人が多いので、
特にきれいな女性は、あなたの子供が産みたいから結婚して下さいと言ったほうが良いです。
良い男性を選ぶために勉強して下さい。(一部抜粋)

ちょっとどこから突っ込んでいいのか分からないコメントなのですが、この本を能動的に読もうという人でさえ、こういうことを平気で書き込んで「途中で読むのをやめました」と星2つを付けるのです。

私たちは、そんな意識をアップデートしていくことから始めなければいけなのかと思うと非常に残念な気持ちになりますが、今の時代では待っていたところで大きな変革も望めそうにありませんので、個人個人が地道に自分の身近に理解者を増やしていく努力をしていかなければならないのかもしれません。

ちょっと暗澹とした語り口になってしまいましたが、「女のお悩み動物園」は笑えて、さらに私たちが直面している社会問題にも思いを巡らせることのできる良著なのでオススメです、という話でした。
気になった方はぜひ読まれてみてください。


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