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我々はみんなもうすぐ死ぬ

もし僕が北斗の拳の主人公ケンシロウと闘って「お前はもう死んでいる」と言われたら、僕はケンシロウに「我々はみんなもうすぐ死ぬ」と言い返して華々しく散りたいと思う。ワレワレ..ヒデブッ

「我々はみんなもうすぐ死ぬ」と言った現代の哲学者トマス・ネーゲルは正しい。

オリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』

ところで、人間の寿命が80年であるとした場合それは約4000週間だ。
つまり僕たちはみな生まれた瞬間に『死の宣告』を受けている。

最近の若者の間ではタイパという言葉が定着し、TV番組でもその実態を特集していたのだが、YouTubeの倍速再生なんて当たり前、TVとYouTubeを同時再生して夕食を口に運びながらSNSをチェックしつつ漫画を読むというネタとしか思えないマルチタスキングをこなす彼らはきっと、数多の哲学者のように人生の短さを痛感しているのだろう。知らんけど。

限りある時間の使い方』の著者である"オリバー・バークマン"もまた、「時間をコントロールすること」が人生を豊かにすると信じていた生産性オタクの一人であったが、いかなるタイムマネジメントやライフハックも人生の有限性がもたらす本質的な課題を解決することは出来ないと気づく。

誰にとっても身近な現実がその正しさを実証していると僕は思う。つまり、僕達には電子レンジ、コンビニ、UberEats、全自動洗濯乾燥機、zoom飲み会とリモートワーク、JIRA、700系新幹線、無敵のAmazonプライムがある訳だが、やるべき事をやり尽くして暇を持て余している人が果たして周りに居るだろうか?

「仕事の量は、完成のために利用可能な時間をすべて満たすまで膨張する」という有名な法則がある。1955年にシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」だ。

結局のところどれだけ時短しても僕達の関心事や仕事量は無限に増大するので暇になることなど決してないのである。
そこで、僕個人として心に残ったバークマンのアドバイスのいくつかを紹介したいと思う。

  • 重要なこと全てをやり切れると考えない

  • 便利さは心身の健康やコミュニティの健全さを損なうこともある

  • 人生は注意・関心を向けたものの集合である

  • ゆ〇ぼんの記事を読んだり反応したりしない

アテンション・エコノミーとは、人々のアテンション(注意・関心)に値段がつけられ、SNSなどのコンテンツ提供者がそれを奪い合っている状態のことだ。

  • 計画とは「ただの考え」にすぎない

  • 計画を立てて行動することは人生を有意義に生きるために欠かせないが確約された未来ではない

  • 将来の利益のために人生を道具化しない

  • 時間をシェアすると豊かになれる

  • 「宇宙レベルで壮大な人生の目的」が無くても有意義な人生を過ごすことは出来る

正直なところこれら全ての仔細を語ろうとするなら、知力100に満たない軍師の助言を信じて忠誠99の武将を引き抜こうとするくらいには僕の限りある時間を無駄にしてしまう可能性が高いので割愛するとして、少しでも興味を持った方は今回紹介した書籍通勤電車の中毎朝のトイレの時間を活用して読んでみてはいかがだろうか。

おわり


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