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20060827 惑星でなくなった冥王星(2)

 冥王星の続き$${^{*1}}$$。冥王星はアメリカ人が発見した太陽系における唯一の惑星「だった」らしい。太陽系の惑星から冥王星が外されることになったので「だった」と過去形になった。

 それにしても「アメリカ人が発見した唯一の惑星」という表現はかなり違和感がある。数個の太陽系惑星のうち半数以上は有史以前から見えていて誰でも知っている星である。土星以遠の天王星$${^{*2}}$$、海王星$${^{*3}}$$はそれぞれ1781年、1846年に発見された。そして冥王星の発見は1930年である。有史以来、発見された太陽系の惑星は三つしかない。その中の一つがアメリカ人のクライド・トンボー$${^{*4}}$$によって発見された。

 例えば百ヶ国ぐらいの人々がそれぞれ十個ぐらいづつの惑星を発見している中、アメリカ人が発見した惑星が「たった一つ」ならば、「唯一」は適切な表現だ。冥王星の場合、「唯一」と言っても三つの中の一つなのである。高々三ヶ国の人々にしか発見する機会がない。普通、三つの内の一つに対して唯一という表現は使わないだろう。しかも「アメリカ人」というのは、アメリカが建国$${^{*5}}$$されてからできた概念である。建国してからたった二百年内に「かっての惑星」を発見できたのだからその事実だけで十分だ。「唯一」などという何やら特別視するような表現をわざわざ付け加えるのは不釣り合いである。

 冥王星は「アメリカ人が発見した『唯一』の惑星」という表現ではなく、「アメリカ人が発見した惑星」でいい。

*1 20060826 ホルストの惑星
*2 天王星
*3 海王星
*4 クライド・トンボー
*5 アメリカ合衆国(United States of America)

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