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20061126 花粉と多面体

 ある花粉の電子顕微鏡写真を見つけた$${^{*1}}$$。生物の一部とは思えないような形をしている。一方、これら$${^{*2}}$$は数式処理プログラムMathematica$${^{*3}}$$で数学的に描画した多面体である。

 数学は思惟だけの世界$${^{*4}}$$だから実体はない。しかし定規やコンパスで作図をしたり、コンピュタ画像などを使って他人に解りやすく表現することができる。

 花粉の方の画像は実体である。電子顕微鏡$${^{*5}}$$で見ている画像は、高速な電子を観察しようとしている物体に当てて、そのエネルギーによって物体から出てきた電子を捕らえることにより得られる$${^{*6}}$$。肉眼で光を使って見ている訳ではないので実体と言えないかもしれないが、原理$${^{*7}}$$的には実際の形をちゃんと再現している筈なので、実体が見えているとしてもいいだろう。

 この花粉は実体だけど、数学の図形のような形をしている。数学は人間が作り出した物だから、図形は花粉よりも遥かに後発である。花粉は、はるか昔から数学で得られるような図形を実体化しているのだ。花粉が幾何学的な形になっていると言っても、人間がつい最近造り上げた数学で生物の活動を単に表現してそう思っているだけの話で、何ら不思議ではない。不思議ではないが、幾何学図形は宇宙の中でも普遍的なものと勝手に思い込んでいるので、花粉がそんな形をしていると神秘的な気がしてしまうのである。

*1 Scanning Electron Microscope Still Image of Pollen Particles
*2 Graphics Gallery: Polyhedra
*3 Wolfram Mathematica:ホームページ
*4 20000630 1+1
*5 20050410 インターネット顕微鏡
*6 ItEM-電子顕微鏡の原理
*7 電子顕微鏡のはなし

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