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20040507 金属の色(2)

 金物というと鉄をまず思い浮かべる。磨いた鉄は銀色なので、金属$${^{*1}}$$の代表色は銀色という感覚がある。アルミニウムや錫、鉛なども銀色なのでそう言ってもおかしくはないだろうが、金、銅にはそれぞれ色があるし、真鍮$${^{*2}}$$にも独特の色がある。

 色というのはその金属その物の性質とはちょっと違う。色は物に光が当たって反射してきた光を人間が感じ取って得られた結果である。金属にあてる光が変われば、色も変わる。太陽光、蛍光灯、白熱電球の下ではそれぞれの光によって色は変わってしまう。

 とはいっても色と言えば、大抵は太陽光の下での話しである。銀色というのは鏡のように光を全部反射するから銀色に見えるのだろうか。もともと鏡はガラスの裏に銀メッキしたもの$${^{*3}}$$だったり、磨いた金属表面に水銀を塗ったもの$${^{*4}}$$だから、「鏡のように」見えるのは当たり前といえば当たり前である。鏡のように磨いていなくても、金属は銀色に見える。光が全部反射するからという単純な理由ではなく「銀色」という色に見える理由がありそうである。

 金や銅に色が着いて見えるのは太陽光に含まれる様々な波長の光の内、特定の波長の光が反射しにくいため、銀色とは違った色になる。金は赤色や黄色に見える光がよく反射して、銅は赤色がよく反射する。銀は、赤も黄も青もよく反射する$${^{*5}}$$。

 全ての色がよく反射するならば、キラキラした太陽光そのものに見えてもよさそうである。金属の表面が研磨してあって、直接光が当たっていればそうなる。周りが映り込めば、その像が金属の表面の形状に従って見える。こういった状態を総称して「銀色」に見えるというのだろうか。

 そうではない。表面が磨かれていなくても「銀色」に見える。独特の色である。銀の反射率$${^{*6}}$$を見てみると全ての色が100%ではない。赤色が98.5%に対して紫色は94.8%である。少しであるが差が出ている。もしかしたらこの差が「銀色」という色を醸し出しているのかも知れない。

*1 SATO LAB's HomePage 物質の不思議鉄
*2 20011112 ゲジゲジ
*3 三重硝子工業株式会社(鏡,板ガラス内装材製造) 鏡のマメ知識 鏡の分類
*4 三重硝子工業株式会社(鏡,板ガラス内装材製造) 鏡のマメ知識
*5 キリヤ: Q&A 金や銀はきれいですが、なにか色素が入っているのですか?
*6 城南電化協同組合 東糀谷めっきセンター 反射特性

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