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20010108 季語と磁場

 新聞を読んでいたら「季語には、古びても、固有の歴史や風土などを感じさせる"磁場"がある」とあった。

 俳句に出てくる季語は時代を超えて不変な物のように感じていたが、季語でも死語があるらしい。歳時記$${^{*1}}$$にあっても例句がないものがあるようだ。季語として歳時記に取りあげられているが、俳句でも殆ど使われなくなっている季語が沢山あるらしい。

 上は季語の死が発生することを惜しむ、ある俳人の言葉である。ちょっと思ったのは「風土などを感じさせる"磁場"」の部分である。風土を感じる磁場とは一体何か。

 もともと人間は磁場を感じることは出来ない。多分出来ないと思う。ある物質に手をかざしてみたり触ったりするだけでそれが磁性体であるかそうでないかを判断することはおそらく不可能であろう。つまり「人間に磁場は判らない」ということだ。

 何をくだらないこと言っているのだ、「磁場を感じる」というのは比喩だ、と言われそうだ。何がもとになっている比喩なのか想像がつかない。もともと磁場というのは感じるものではなく、概念として理解するものであるからだ。もしかしたら磁性細菌$${^{*2}}$$や鳩ならば感じているかもしれない。

 これは新聞記者の勘違いで、本来は「季語には風土などを引き付ける"磁場"」だったかもしれない。これならば磁石が砂鉄などを集める様子に例えられないこともない。学術用語を文学的表現に取り入れるのは難しいと思う。

*1 俳句歳時記
*2 20000908 磁性細菌

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