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20090419 オタマジャクシの語源

 オタマジャクシの語源は「お玉杓子」である。杓子は食べ物を掬う柄の付いた道具$${^{*1}}$$で、掬う部分が丸く玉の様になっているから玉杓子だ。「杓」は柄杓(ひしゃく)のことで、「子」は大抵は小さい物を表すから、小さめの柄杓である。

 お玉と言うと、こんなのを想像$${^{*2}}$$するが、本来は黒漆の小さめの杓子$${^{*3}}$$を指す。明治時代の辞書に「志やもじノ、小クシテ、黒漆ニ塗レルモノ(東京婦人語)」とある。

 これならば蛙の子の「オタマジャクシ」にぴったりだ。蛙の子の「オタマジャクシ」の語源$${^{*4}}$$はこれに違いない。

 御多賀杓子(オタガジャクシ)が転訛$${^{*5}}$$したと言う説がある。御多賀杓子の多賀とは「多賀神社$${^{*6}}$$」の多賀である。奈良時代、元正天皇の病気平癒祈願の際、お供えの飯にシデの木の杓子を添えたところ元気になったことから、杓子が名物になったらしい$${^{*7}}$$。

 井伊直弼$${^{*8}}$$が多賀杓子を使って作った菓子器$${^{*9}}$$があるようだ。杓文字の柄の部分を切って作ったらしい。これを見ると多賀杓子と言えども飯を盛る普通の杓文字と変わらない。蛙の子とそれ程似ていない。やはりお玉杓子がオタマジャクシの語源なのだろう。

 明治時代の辞書$${^{*10}}$$によるとオタマジャクシは「蛙子(かえるご)」とも呼ばれていたと書いてあった。こちらの方が直截的な表現なので、元々はこう呼ばれていたのだろう。

*1 20090408 しゃもじの語源
*2 319NPTGGQSL._SS500_.jpg
*3 玉杓子(黒スリ)|漆器(木製)の専門店【こばやし漆器】※それともこちらのものか。
*4 19991214 ゲンゴロウ
*5 オタマジャクシ・御玉杓子
*6 多賀大社
*7 月~金曜日 20時54分~21時00分 滋賀・多賀町、彦根市
*8 巻の4 決断! 開国と大老井伊直弼 井伊直弼画像(彦根・清凉寺蔵)
*9 多賀大社杓子形菓子器 150年祭 - 直弼の素顔 〜資料から読み解く直弼〜
*10 20080118 半田の語源

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