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20040926 蚊と二酸化炭素(2)

 紫外線も赤外線も判る、臭いも判る、二酸化炭素も判る蚊の感覚器官$${^{*1}}$$はどうなっているのだろう。

 蚊の眼$${^{*2}}$$は紫外線が見えるのだろう。紫外線とか赤外線$${^{*3}}$$というのは人間の眼で見えるか見えないかで電磁波を区別しているだけの話だ。「紫外線だから、赤外線だから見えない」という話ではない。人間の眼が光を感じる仕組みは光による化学反応$${^{*4}}$$である。原始的な生物が進化によって複雑な機構を持ったとすれば、眼で光を感じる方法は、どの動物も基本的に殆ど同じではないだろうか。その根本原理が光による化学反応であれば、反応しやすい光の波長の範囲が動物の種類によって少しずつずれている程度だろう。こう考えると、蚊は紫外線を見ることができると言われてもそれ程驚くことではない。

 赤外線や臭い$${^{*5}}$$も同様である。人間も皮膚や鼻で赤外線(日向やたき火の暖かさなど)や臭いを感じることができるので、蚊も同じように感じると考えられる。人間に比べれば感度は異常に高いかも知れないが、全く独特な機能とは言えない。

 二酸化炭素はどうだろう。人間は二酸化炭素を感じることはできない。空気中の二酸化炭素が多くなれば体に変化が現れてくる$${^{*6}}$$が、これは感知しているのではなく、人体が異常な環境に対応できなくなっているだけである。

 蚊はどうやって二酸化炭素を嗅ぎ分けているのだろう。動物の血を必要とするのは雌だけ$${^{*7}}$$である。二酸化炭素を嗅ぎ分ける必要がある時は血を吸う時だけだから、雌特有の器官があるのだろうか。

 二酸化炭素を嗅ぎ分けるには化学反応が必要である。二酸化炭素の分子が生物の器官に接触して何らかの化学反応をすれば、それがきっかけとなる。それがないと感じていることにならない。ところが二酸化炭素というのは動物にとって呼吸の残りかすである。蚊も呼吸している$${^{*8}}$$ので、蚊にとっても「かす」である。動物体内で反応した燃えかすだから改めて化学反応を起こすことは難しいはずだ。同じ「かす」でも糞や$${^{*9}}$$は臭うが、これは本当の意味の「かす」ではないからだろう。他の動物の糞を利用する動物はいくらでもいるが、他の動物が吐き出した二酸化炭素を再利用する動物はいない。

 一体どうやって二酸化炭素を検出しているのだろう。

*1 Howstuffworks "How Mosquitoes Work"
*2 Mosquito head
*3 20000621 赤と紫
*4 20000612 網膜細胞と三原色
*5 においを感じるしくみ
*6 健康と住まいの情報 空気の話 二酸化炭素
*7 KINCHO | ウルトラがいちゅう大百科 | 害虫の種類 | 蚊
*8 その6.昆虫はどこで息をするのかな? | 昆虫を観察しよう! | 自由研究のヒント | 自然科学観察コンクール(シゼコン)
*9 20010704 屁ひり虫奇説

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