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20000612 網膜細胞と三原色

 人間の目の網膜$${^{*1}}$$は光の三原色にそれぞれに反応する細胞$${^{*2}}$$を持っているらしい。ビデオカメラなどのCCD$${^{*3}}$$みたいな機構のようだ。ただし赤緑青のフィルターで色を分けているのではなく赤に敏感な細胞、緑に敏感な細胞、青に敏感な細胞という具合になっているそうなのだ。

 色が三原色で全て表せる$${^{*4}}$$というのはこの網膜の細胞の機構からすれば当然のことであろう。むしろこの機構があるから光の三原色という考え方が至ったのかもしれない。

 音の場合、楽器や虫や動物の鳴き声などは様々な発音機構で音が出ているはずだが、スピーカー$${^{*5}}$$を用いれば同じ様な音を出すことが出来る。考えてみればスピーカー一つで出すことが出来るのは不思議な様な気がするが、結局、音は鼓膜$${^{*6}}$$の振動を感知しているだけなので、鼓膜さえ元の音と同じように振動すれば同じように聞こえるのである。

 目の場合も同じで網膜の細胞さえ同じ色の光だと勘違いしてくれれば全ての色を見せることができる。

 それでは一体、生物はいつから光に色があると言うことが分かったのだろう。

 進化の過程$${^{*7}}$$からすると目は最初、光を感じるだけの細胞だったのだろう。初めは光があるかないかだけが分かるだけだったが、光を感じる細胞が増えて光が発している領域が分かるようになり、更にその細胞を保護するために細胞が集まっている部分が凹んでくると光の方向が分かるようになったのだろう。凹んだ部分を透明な皮膚が包むことによってレンズが出来て目の光学系が完成していったのであろう。

 しかしこの進化の過程で生物が光に色があるのを知ったのはいつなのだろう。光があるかないかしか分からない時点では色の情報は必要ない。しかし特定の波長に感応する細胞$${^{*8}}$$というのはあったかもしれない。光の感知は細胞内の化学物質の光反応$${^{*9}}$$によるものだから、特定の波長に反応するというのはむしろ自然な成り行きだろう。

 生物の中には三原色ではなく二原色で色を見ている動物がいるのだろうか。それにしても何がきっかけで色を見分ける機構が備わったのだろう。

*1 目の事典・目の構造
*2 色覚の多様性と視覚バリアフリーなプレゼンテーション | 第1回 色覚の原理と色盲のメカニズム
*3 CCDは太陽電池!? 発電量で像を得るのが基本構造
*4 20000605 光の三原色
*5 ボーズ | 研究を通してより良い音を
*6 耳のはたらき
*7 原始の目から多様な目への進化
*8 光化学反応
*9 【研究の紹介】

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