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20050719 はだしのゲン

 幼少の頃、少年向け漫画雑誌$${^{*1}}$$に「はだしのゲン$${^{*2}}$$」という漫画が連載されていた。作者は中沢啓治$${^{*3}}$$。この漫画は、米軍によって原爆$${^{*4}}$$を投下される直前から戦後までの広島での作者自身の体験をもとに描かれている。

 ある本を読んでいたら、この漫画は教育的内容のため当時あまり人気がなかった、とあった。その本の作者は、PTA$${^{*5}}$$の反応と子供達の反応とはいつも反比例の関係だ、というお決まりのオチで締めくくっていたが、私はよく読んでいた。

 掲載していた漫画雑誌は漫画の人気投票によって掲載の順番が決められるという。人気の高い漫画は最初の方のページ、不人気の漫画は最後のページという具合だ。人気が高ければ巻頭カラーページになる。「はだしのゲン」はそれ程後ろの方のページに掲載されていた記憶がない。ほどほどの人気だったのではないか。原爆投下後の広島の描写が凄まじかったので、私は怖い物見たさにむさぼり読んでいた。当時の他の少年達も同じ感覚だろう。反戦意識とは全く別であった。

 当時、漫画雑誌は全て床屋で読んでいた。散髪しに行くついでに店に置いてある雑誌を読んでくるのである。数ヶ月に一度、床屋に出掛ける。店に入って順番が来るまで漫画を読む。そして自分の順番が来たら一冊雑誌を選んで散髪椅子$${^{*6}}$$に持って行く。髪を切ってもらっている間は、この選んだ雑誌を隅から隅まで読む。頭から落ちてくる自分の髪の毛を雑誌から払い除けながら読むのである。

 散髪が終わった後、順番待ちの椅子に戻る。残りの雑誌は好きな漫画だけを読む。その中に「はだしのゲン」が入っていた。店が混んでいる時は追い出されたこともあったが、大抵は心ゆくまで読めた。

*1 週刊「少年ジャンプ」公式サイト | ポップ ウェブ ジャンプ
*2 4811304004.09.LZZZZZZZ.jpg
*3 中沢啓治 - Wikipedia
*4 20010524 模擬原爆
*5 (社)日本PTA-トップページ-
*6 アメリカ アンティーク エンポリウム 横浜バーバー 床屋

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