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20040825 マイナスイオン

 そもそも「マイナスイオン$${^{*1}}$$」というのは何なのか。今まで「陰イオン」のことだと思ってきたが、調べてみるとどうも違うようだ。

 イオンというのは原子や分子が電子を得たり失ったりしてその電荷が負になったり正になった状態を指す。電荷が正になったりした状態を「陽イオン」、負になっている状態を「陰イオン」と呼ぶ。

 イオンと言う言葉はイギリスの物理学者ファラデー$${^{*2}}$$が1834年に初めて使ったらしい$${^{*3}}$$。ファラデーは電磁誘導等の発見$${^{*4}}$$で有名で、コンデンサなどの電気容量の単位ファラッド(F)も彼の名に因む。ionという言葉そのものを提案したのは彼と親交のあったWilliam Whewell$${^{*5}}$$ウィリアム・ヒューエル$${^{*6}}$$だった。

 イオンionの由来はギリシャ語の「ienai 行く」の分詞らしい。「反対の電荷を持つ電極に移動する物」ということで溶液の電気分解の論文か講義の中に登場した$${^{*7}}$$のだろう。当初は液体の中での話だったが、現在は気体$${^{*8}}$$や固体$${^{*9}}$$の中でも真空中$${^{*10}}$$でも電子が過不足の状態になった原子や分子をイオンと言う言葉で表す。当時はまだ電子の存在は知られていなかった$${^{*11}}$$ので、電子の過不足という考え方はなかった。

 英語で「陽イオン」「陰イオン」をそれぞれ「cation」「anion」というので、「プラスイオン」「マイナスイオン$${^{*12}}$$」がそれぞれ「陽イオン」「陰イオン」ということにはならない。cation$${^{*13}}$$は「下に行く物」、anion$${^{*14}}$$は「上に行く物」で何れもウィリアム・ヒューエルが作った$${^{*15}}$$。

*1 20040823 ステンレスソープ
*2 Faraday Portraits
*3 Online Etymology Dictionary: ion
*4 Faraday and Henry
*5 William Whewell
*6 あらゆる失敗は成功に向かう第一歩である(ウィリアムヒューエル)--偉人の名言集とその出典
*7 Michael Faraday
*8 Alpha Particle (Japanese)
*9 Kyoto Shimbun 学研ひと模様 イオン工学研究所 朱 ヨウセンさん
*10 ION BEAM HOME PAGE
*11 20010404 電流と電子
*12 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: マイナスイオン
*13 cation. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*14 anion. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*15 Electrochemistry Oxidation and Reduction

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