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20040823 ステンレスソープ

 ステンレスソープ$${^{*1}}$$という物があるらしい。石鹸のような形をしたステンレスの塊で、石鹸のように使う。

 このステンレスソープを使うと石鹸だけではなかなか落ちなかった魚やにんにくの臭いが簡単に取れるという。ステンレスソープに水を付けて手で揉むだけで臭いが取れてしまうらしい。一体どういう原理なのか。

 web上を調べてみても、例によってそれらしいことを詳しく説明している日本語のページは見つからない$${^{*2}}$$。

 英語のページでも、結局はよく解らなかった。臭いの元となる粒子がステンレスの金属成分に引き付けられやすいのではないか$${^{*3}}$$、といった程度の説明である。これでは日本語のページの「マイナスイオン云々$${^{*4}}$$」の説明と大差ない。

 最近の日本人は、効能の説明書きに「マイナスイオン」という言葉を使うと「科学的だ」と思いすぐに納得してしまう。販売業者はそれにつけこんで何でもかんでもマイナスイオンのせいにしてしまっている。電波、イオン、遠赤外線等の用語を本来の学術用語としての意味とは関係なく使って、如何にも科学的根拠があるかのようにして物品を売ろうとする商売を、私は「電磁気商法$${^{*5}}$$」と名付けている。電磁気商法の効能説明は、用語を意味無く使用しているので論理が破綻している。つまり説明になり得ないのだ。ステンレスソープの効能説明でも「マイナスイオン」という言葉を登場させた時点でその説明は駄目である。

 手に付いた臭いを取る効果がステンレスソープ$${^{*6}}$$にあるのは事実らしい。自分でも確かめて見ればいいが面倒だ。理屈はどうであれ、本当に効果があれば「ステンレスソープ$${^{*7}}$$」はインチキではないことになる。効果が殆ど期待できない物に理屈を付けて商品にしているのとは違う。

 考えてみればステンレスなど台所にいくらでもある。さじでもボウルでも流し台そのものもステンレス製である場合がよくある。そこら中にステンレスがあればそれに水を付けて手を擦れば臭いが取れるのではないか。わざわざ「ステンレスソープ$${^{*8}}$$」を買う必要がどこにあるのか。ステンレスの種類によって臭い取りの効果がないものもある$${^{*9}}$$らしいので、色々試してみる必要があるかも知れないが、わざわざ買うほどでもない。

 ただ、毎日のように魚やにんにくを使う人にとって、手になじむ形をしたステンレスの塊$${^{*10}}$$は重宝するだろう。普通に料理をする人とって必需品かと言えば、それ程の物ではない。代用品はいくらでもある。

 形がいいので、文鎮として欲しくなってきた。全体が丸くて不安定そうだから役に立たないかもしれない。

*1 クラルス ステンレスソープ
*2 20011110 情報の空洞化
*3 Do Stainless Steel Odor Eaters Really Work?
*4 steel soap
*5 20030411 電磁気商法
*6 cookperfect.com: Wash-A-Way Odor Remover Bar
*7 garlicgal.com - Online shopping for hundreds of gourmet garlic specialty foods, including garlic gadgets, presses, peelers, spreaders and more.
*8 steel soap hakob.jpg
*9 Onions, Garlic, Stainless Steel
*10 オド・リムーバ --Simplesize.com--

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