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20070219 サンキュー・ハザード

 「サンキュー・ハザード」と言う言葉があるらしい。自動車を運転している時に後方車へ感謝の意を伝えるため、非常点滅灯を二、三回点けることをそう言う。非常点滅灯$${^{*1}}$$のことをハザードランプというので、こう言う名前になったようだ。

 ハザードは英語で「危険、事故」とか「障害」という意味なので、ハザードランプは危険や事故を知らせる役目の装置である。従って「サンキュー・ハザード」ではよく判らない言葉になっている。「電卓」や「携帯」のように意味が推測できない略語になっているのである。略すなら「サンキュー・ランプ」か。まぁ、そんな言葉の略し方はこの際問題ではない。

 非常点滅灯をお礼の意思表示に使うとどう言うことになるか。本来は夜間、停車している時に使う$${^{*2}}$$。自分の自動車が道路上で「障害物になっている」と言う意思表示と考えてもいいだろう。これは直感的にも分かる。点滅していれば何か危険だと言うことになる。しかしこれを後続車に対する挨拶とするのは抵抗がある。とは言え、道を譲って貰ったら何か礼をしたくなるのは人情だから、その気持ちを何らかの形で表したいというのも判る。

 問題はここからである。この変な風習が広がるにつれ、「サンキュー・ハザード」をやらない運転者は「不届き者」と思う人が多くなっている。勘違いも甚だしい。円滑な交通を作り出すためには挨拶など意思疎通が必要だと言いたいのかも知れない。人の往来ならばそう言った情緒的なことは非常に重要だが、自動車の場合はそうではない。逆に感情的に運転操作してもらっては困るのだ。自動車は人間の能力を何十倍にも増幅させる装置である。その気になれば人も殺せる。「不届き者」と思っている人には、自動車を運転するということは危険業務$${^{*3}}$$であることを認識して欲しい。冷静に決まり通りに操作しなければならないのだ。挨拶がないからけしからん、と怒るのは以ての外なのである。

 非常点滅灯を二、三回点けるという操作に気を取られる事なく常に運転に集中してもらいたい。

*1 ハザードランプとは
*2 道路交通法施行令 第18条 (道路にある場合の灯火)
*3 20040812 優先道路

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