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その雑貨はお客様を呼び込むのか?-雑貨販売のメリット-

「富本雅人の雑貨販売のツボ その1」 

-雑貨コンサルタントのおせっかいな提案-

はじめまして/自己紹介

雑貨ビジネスのコンサルティングを仕事にしている富本雅人です。

メーカーやデザイン事務所で雑貨のデザイン企画を担当後、渋谷ロフト(1号店)の開業準備室〜バイヤーを経て、専門学校の講師&コンサルティング業をはじめました。

20年間、個性的な小規模店「雑貨屋さん」から全国展開のチェーン店、美術館併設ショップやインポート雑貨のセレクト店などなど、「雑貨」を扱う様々なショップや企業に対しての支援、指導を行ってきました。支援事例が多いことだけは自慢できそうかなと思います(にもかかわらず全く儲かってませんけど 苦笑)。

本稿について

もちろん、個別の事例をお話しすることはできませんが、経験したエピソードを踏まえて創業や経営のコツやヒントなどの、「雑貨」「雑貨を扱う店舗」に関心のある人、関連の仕事をしている人に向けて、お役に立つ内容を投稿していければと思います。

この投稿は以前ファッション業界紙に連載したものに加筆修正したものです。

現在、店舗の販売接客会計などのシステム面の効率化は急務ですが、コンセプトワーク、品揃え、VMD(ビュアルマーチャンダイジング:陳列手法)などの考え方は普遍的なものでしょう。

またファッション店に限らず、雑貨商品を取り入れたい他の業種店、店舗をはじめたい方の参考になるものと思っています。

では↓ここからです。

その雑貨はお客様を呼び込むのか?-雑貨販売のメリット-

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ご存じのようにファッション店(他の専門店)でも積極的に雑貨商品(生活雑貨、趣味雑貨)を取り入れる傾向にある。ご興味のある方も多いのではないだろうか。

一見すると「低単価」「細々として手間がかかりそう」「取引先(仕入先)が見当もつかない」「なんの店かわからなくなる」等、いろんな面で効率が悪そうに思われてしまう雑貨だが、実はそれらの短所と思われている点こそが長所になり得る。

入店促進と滞留時間延長に効果

なんとなく「雑貨店」に立ち寄り、思いがけず夢中になってしまったことのある方は多いだろう。それは雑貨が “情報”商品だから。多くの人が雑貨店に立ち寄るのは一種の情報収集であり、エンターテイメント。TVや情報誌を見るかのように、雑貨店で楽しみながら情報を集めているのだ。

「新しい」「面白い」「かわいい」等、多くの(感情に訴える)情報を雑貨は発信している。また価格帯が低いということは、入店の際の垣根を大きく下げる。洋服だけが外から見える店と、洋服に加え手頃な価格の雑貨も目につく店では、どちらが気軽に入店しやすいのか、興味を持つ人が多いのか、その答えは明らか。新規顧客の獲得にも効果があるはずだ。

買上点数、客単価のアップ

雑貨は、買上点数を増やす。 “衝動買い”はもちろん(!)だが、「これも一緒に」の“ついで買い”。ちょっとしたプレゼント他の“まとめ買い”。「はじめて入った店だけど…」の“試し買い”等の様々な購入の機会をつくり、お買上点数を増やす。

取引先や商品選択の自在さ

雑貨のアイテム分野が広いということは、選択肢が広いということ。さらに最近では多くの企業が雑貨の製造、輸入に参入し仕入先候補も豊富だ。競合店との差別化のための商品を探し出すこともそう難しくはない。

そして仕入先の見つけ方や仕入(取引)交渉、条件も実にシンプル。たいていの雑貨の仕入ではややこしい商慣習やしがらみも存在しない。

メイン商品の世界観を強調する

洋服だけでは世界観やコンセプトが伝わりにくい場合に雑貨は“名脇役”になる。また「衣(ファッション)」だけでなく、雑貨を通して「食」「住」、「働く」「遊び」「趣味」などのライフスタイルをお客様に提案し、新たなビジネスの可能性を試すこともできるだろう。

以上、いいことずくめに感じられる雑貨だが、メリットを充分に享受できるのは効果的に取り入れることができてこそ。上手に取り入れるツボをこのコラムで紹介していきたい。全8回予定
(雑貨コンサルタント/グループオンザリビング)

繊研新聞2010年4月6日よりの連載をもとに加筆修正しました。 全8回

富本雅人の雑貨販売のツボ

1.その雑貨はお客様を呼び込むのか? -雑貨販売のメリット-

2.あの雑貨売場のコンセプト-雑貨を売ることはストーリーを売ること

3.誰のための雑貨?-あなたのお客様の生活や嗜好を考える-

4.そんな雑貨店の品揃えの不思議-個性的な雑貨の編集で強いアピール-

5.どこで? 雑貨売場の仕入れの秘密-毎日が雑貨探し-


6.感性だけでは無理! 雑貨売場の陳列テクニック-どんな商品にも臨機応変-


7.雑貨屋さんのラッピングとPOP。雑貨店と雑貨売場 -雑貨屋さんの魅力の仕掛け


8.雑貨屋さん接客、雑貨商品の売り方のポイント(最終稿)


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