採用のミスマッチを減らす秘訣は人事評価制度にあった!?
これは、ある調剤薬局で実際に起こった事例です。
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マネージャー経験もあり、直近は別の仕事をしていたけれど、
過去には臨床経験もある薬局長候補…
話してみたら人柄もよく、コミュニケーションも取れる、
若いし、次世代エリアマネージャーとしても期待できる。
ついに、求めていた即戦力を採用できた!!
今まではあまり選択肢がなく、消去法で仕方なく採用していた節があったけど、最高の「人財」を獲得した。
ブランクはあるので「人手」としては少し時間が必要だけど、
社長も喜んで、現場も期待してくれている。
…と喜んだのも束の間、現場に配属されて以降、
現場からは思ってもなかったような意見が出てきた。
「あんなやつを誰が採用したんだ…」
「やる気はあるようだけど、即戦力どころか、完全に育成枠。
今まで以上に忙しくなってしまった」
「全然仕事ができない、使いものにならない」
一体、何をどこで間違えたのか…
そもそも、私は間違えたのだろうか…
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程度の差こそあれ、同じような課題に直面したことのある方も多いのではないでしょうか。
こうなると、責任を感じてしまうところかもしれませんが、
これは、何も、採用を担当された方やもちろん
指導担当をされた方の責任でもありません。
本当の問題は「組織の仕組み」にありました。
採用も育成もすべて、経営計画の実現のためにあるものですから、
いずれも、経営計画(未来)をどう作っていくかを想定したものになっていないといけません。
採用はそういった視点を持ちやすいのですが、現場は違います。
採用は将来の「人財」を求め、現場は現状の「人手」を求めるものだからです。
このケースの場合、未来を考えると願ってもない人財だけれども、
現場が求める「人手」としては不十分で期待どおりではなかった、
それゆえ、お互いの溝が埋まらず、お互いが疲弊してしまったということになります。
重要なのは、そういうことが起こりうると想定して
①「人手」はアウトソース、「人財」は採用、と決める
②何のために、どのような人財を採用するかを現場にも共有すること
実は、②を共有するのに便利なツールが人事評価制度なのです。
(もっというと等級制度なのですが)
人事評価制度とは、元々
経営目標にそった必要な人財を育成する仕組み
ですから、何のために、どのようなランクのどのような仕事が出来る人を採用したいでも、ここはまだレベルに達していないからフォローしてほしいなどと共有するには、非常に便利なツールになります。
ある種、本部と現場、本部と経営者の共通言語のような役割を果たすわけですから、上記の例のようなミスマッチがなくなっていくことは想像に難くありません。
採用は、雇ってしまえば辞めさせるという選択肢がほぼないようなものですし、採用後も現場の方々に大きな影響を与えます。(良くも悪くもです)
だからこそ、恣意的な感覚や見極めのセンスではなく、
こうした仕組みを構築することが重要といえるのではないでしょうか。
採用のミスマッチでお困りの方は是非、参考になさってみてくださいね。
人事コンサルタント
金森秀晃