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映画評「鬼滅の刃 無限列車編」/列車とブームには乗り遅れないほうが良い

公開より10日間での興行収入100億円突破は、日本で上映された映画の中で最も速い日数となる。

興行収入が100億を超えると、いろいろな現象が起きる。

NHKが、公共放送の矜持を忘れて、特集やら「いま」とか、ざっくりとした言い訳で、コンテンツを宣伝し始める。
おそらく、今年の紅白歌合戦では、「鬼滅の刃」コーナーが出来て、がらんとしたNHKホールで、ミルクボーイが「『鬼滅の刃』やないか?』とか言ってるはず。

なんとか評論家が、自分の領域と無理やり結び付けて、分析チックなことをしだす。
今の日本の政治情勢と、ぴったり重なるんですよぉとか。
作品内のジェンダーの描き方がなんのかんのとか。

映画評論家気取りの大学生は、「『鬼滅の刃』も素晴らしいんですけどね、今こそミニシアターで観て欲しい映画があるんですよ」など、訊いてもないのに、暗ーいヨーロッパ映画をオススメしてくる

そして・・・。

私はといえば、ガールズバーで、そのへんのおっさんがうろ覚えで歌う主題歌を聴きながら、「鬼滅、観た?え、じゃあ観に行こうよ。解説したげるよグヘヘ」とか言ってるでしょう。

たぶん、こういうのを、社会現象って呼ぶのだと思います。

私の「鬼滅の刃」歴といえば、
・漫画は途中でやめた(つまらなかったのではなく、一気読みしたかったから。)
・アニメは観てない(一話の途中でやめた。エモーショナル過ぎて、良い意味で悲しくて辛かったから)
程度。

流行りには乗らねぇ。みたいな、勝手にすかした姿勢は、大学生で卒業した。

となれば、さっさと観に行くのが吉!
こうなれば、祭りにはできる限り早く参加せねば!
と、先の土曜日、観て参りました。
現時点で100億ってことは、累計は200億は固いでしょう。
公開から8日目で観賞できたってことは、祭りのぎりぎり前半で滑り込みセーフってところじゃないでしょうか。

「鬼滅の刃 無限列車編」。
別に、くどくどとした感想はもはや必要ないでしょう。
いやぁ、面白かったですね。

今回映画化された原作のパートは、以前読んでいたが、細部は忘れていた。
よって、大筋は安心して演出に興奮できるし、要所要所、「ええ!やばいやん・・・」と、製作陣に手玉に取って頂けた。

そもそも、アニメシリーズを観ていなかったことで、キャラと技が動くこと、それ自体にひとしきり感動。

中盤以降、各キャラクターの剣術・必殺技のつるべ打ちとなりますが、その凄まじさ。
原作の漫画が、お世辞にも、「ぱっと見で上手」ではなかったため、あまり想像できていなかったアクションが、ぬるぬるな動き&鮮やかな色彩で表現されます。
その物量と、感情の熱量に圧倒されました。
スロットの確定演出が、ずーっと続く感じです。
いや、私はスロットはやらないので知りませんけど、「うぉぉぉ!たぶん射幸心ってこんな感覚なんだぜ!」てな、トリップ感覚を味わってました。

言うまでもなく、おすすめであります。
映画館でトリップしましょう。



とまぁ文章を書きながら、私は、全く集中せず、うだうだと以下のようなことを考えてました。

「なんで、この作品が流行ったのか」
みたいな評論が、うんざりするほどに多い。
「実は、驚くことではなくて、予感は当初からあったんです」など、「知りませんでした」の一言がいえない、マーケターもどき。
ダサい。ブームに対する結果論がダサい。

なんでもかんでも、「鬼滅鬼滅鬼滅鬼滅」うるさい。
特に、「ZIP」が朝から騒いでいる。はしゃいでこその「ZIP」だとは思うが、にしてもうるさい。

まもなく、
「『鬼滅の刃』に学ぶ部下との接し方」
「あなたは誰?『鬼殺隊』働き方診断」
とか、意味わからん書籍が、書店に陳列されるだろうな、うざったらしい。

などなど。

でもけれどもしかし。

なんとなく感じたのは、「大ヒットする作品ってのは、『鏡』なんじゃないか」ということです。

どんな世代や立場の人でも、その人なりの切り口で、その作品のことを語ることができる。
自分が体験したこと、学んだことを、作品に投影したくなる。

その器を持った作品が、「社会現象」たりうるのではないか。

そう考えるとですね。「鬼滅の刃」に映った私は・・・。

・真剣に人が書いた文章や感想にケチをつけ
・スルーする勇気も持てずに、ちょっと遅れて観に行って
・めちゃくちゃ楽しんだ挙げ句、また人にケチをつけ
・ガールズバーに行こうとする

これが、アタシ・・・?
ちょっと反省してます。

暗くなりました。
そんなことはない、声援(声なき)が届いております。
ありがとうございます。そう言ってくださって、助かります。

さて、あなたには、どんな姿が映るでしょうか?
もしくは、鏡に映った貴方は、どんな姿だったでしょうか。

行きましょう。「鬼滅の刃」。

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