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映画評「ワンダーウーマン1984」

「ワンダーウーマン1984」/155分

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今年は「ハリウッド大作」を映画館で見られる機会が、めっきり減ってしまいました。

9月の「TENET」ぶりです。
その前は、3月にみた「バーズ・オブ・プレイ/ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」だった。

ハリウッドでない洋画でも、邦画でも、アニメでもなんでも面白いんですが、映画館で映画といったらやっぱりハリウッド大作っしょ。な志向な私としては、大変残念。

この「ワンダーウーマン1984」も、本国アメリカでは「HBO MAX」という配信サービスに直行している(一応、映画館でもやるみたいだけど)
それどころか、2020年のワーナー映画は、あらかた、劇場公開&同時に「HBO MAX」で配信ということで、、、。

ここで、「映画館で見られる日本で良かったぁ!」と思うか、はよ「HBO MAX」が日本でもスタートせんもんかなと思うかは、私としてもその日による。
このへんは、時間がかかりすぎるので、また別の機会に。

ともかくも、「ワンダーウーマン1984」。公開2日目の土曜日に見て参りました。

実のところ、そんなに期待はしていなかったのです。

というのも、「ワンダーウーマン」の座組みとして、勝手に私は警戒してしまうからである。

主演はもちろん、監督も女性。
主人公は、「アマゾン族」という女性だけの島で暮らす王女。

非常に言い辛いことではありますが、なんかこう、、、不意に居心地の悪いメッセージを発される可能性がある座組みである。
「STAND BY ME ドラえもん 2」が別に好きなわけじゃないが、「そういう視点」で過剰に叩いてる人たちってのは、どうしても苦手意識がある。
私が言うところの、「エセフェミニスト(私は変わらないが、お前は変われ的姿勢)」な妻も、喜々として、見てもいない、「STAND BY ME ドラえもん 2」&のび太批判をしていた。

ひとえに観に行ったのは、主演のガル・ガドットの魅力に負けたためである。
綺麗と可愛いと格好いいを、同時共存させる人。

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もうガルさんになら、多少居心地悪い気持ちにされても、致し方なし!なんなら、叱ってほしいまである。
意を決して映画館で観賞してみると・・・。

意外なくらい、そういうフェミニストな切り口は少なく感じられた。
女性とか置いておいて、「すげえ格好いい!」なシーンが盛りだくさん。
そういう意味で、まっとうなフェミニズム映画なのかもしれない。

とにかく、ガルさん=役名ダイアナ aka ワンダーウーマン の立ち振舞い全てが美しい。
それでいて、自信満々傲岸不遜さは皆無。どこか儚げで悲しげ。「実質」不老不死な役柄所以なんだろうが、世界を諦観しつつ、でも希望を失わない。迷うし、後悔もするけれど、前に進むしかない。

未練を断ち切って、走り出すシーンが劇中にありますが、その走り姿たるや、拝みたくなるくらいに凛としている。
トム・クルーズ走りのような、「人間の機能美」がもたらす興奮があります。

今回は、完璧超人(に見える)ダイアナの対・鏡的存在の女性・バーバラも、物語の核として登場。
イケてなはいけど、心優しいバーバラ。自分とは違う人種だと思ってるけど、でも自分もダイアナみたいになりたいわ〜!
そんな憧れと嫉妬が軸になった、エモーショナルな展開もございます。

本作、「アメコミもの」に珍しく、明確なヴィラン=敵役が登場しない。
「明確な」というのは、「実体」となる存在が、ほぼいないということ。
それもあり、155分と長尺なので、多少ダレます。
「あれ?何と戦ってるんだっけな、これ。ていうか、人間ならどうしようもないことだよな、これって」

でもそれって、現実も同じ。
明確な敵は実は存在しなくて、霞のようにモヤモヤしていて、仕方がないと諦めるしかないのかもしれないけれど、でも大事なものを選択して、前に進むしかない。

そんなガル・ガドットの姿も、ちょっとはそんな気分になれた自分も、何か良い感じじゃなーい?と思える映画です。

欠点をあげるとすれば・・・。
「ワンダーウーマン1984」というタイトルの通り、1984年が舞台なのですが、1984年のアメリカ社会がいまいち分かり辛いってのは雰囲気で補っていくとして、悪意に満ちてる「ダサさ」が全開である、という点ですかね。

街を歩く人が、全員ダサい。
映画のアクション演出も「80年代」オマージュなんでしょうけど、ぶっちゃけダサい。なんかこう、もっさりしている。
製作陣の意図するところなのかもしれませんが、この「80年代」の雰囲気が全般ダサすぎて、ちょいちょいノイズでした。
致命的なところとして、ガルさんでもギリギリアウトな感じで、ワンダーウーマンの衣装も全体的にダサい。

でも、おすすめです。ぜひ、映画館でどうぞ。


追伸1
ツボだったシーン

何千年単位で生きてるにしては、鈍感なガルさん=ダイアナが、自己評価低めなバーバラと話している。

観客には、憧れ&嫉妬がビンビン伝わってくるのに、ダイアナは、40年前(まぁ彼女にとっては昨日どころかついさっきの出来事か)の恋人との別れに浸っているので、あんまし気付かない。

バーバラは、男に言い寄られてハイになっており、「パーティ行っちゃお!おめかししよ!」とはしゃぐ。

ダイアナさんは、「うち、パーティ苦手だから良いや」って断ったくせに、そのパーティ会場に問題解決の糸口があるとみるや、、、

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この、嘘みたいなスタイルで登場である。

ちなみに、主人公ダイアナは、このとき、博物館付きの考古学者という設定。
あと、本人は、「潜入ミッション」くらいの意気込みで、このパーティに参加している。

天然な美人は怖い。敵も多かろう。と、おじさんは思うのでした。


追伸2
そういや、いつか木村拓哉に会う機会があったら、「木村くんは、日本のトム・クルーズになるべきだよ」と言いたいと書いたことがありましたが、いつか長澤まさみに会うことがあったら、「まさみちゃんは、日本のガル・ガドットになるべきだよ」とアドバイスしようと、常々思ってます。

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