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【詩】光の中へ

目を開けられないほど
まばゆい光のほうへ 歩む子らよ

生まれさせられたことは
どのみち取り返しが付かぬから
どうせなら、光の中をゆけ

目を閉じてはならぬ
光に目を眩ませてはならぬ

いつか、まばゆい光にも目が慣れて
世界を見る時が来るだろう
その時まで、光の中をゆけ

わたしもかつて、あの光の中を進んだろうか
それは遠い日のことで、あまりにも遠い日のことなので
もう光のまばゆさを思い出せもしないが
きっとかつては光の中にいただろう

森の奥から溢れる光
空の彼方から降る光
町の家々から漏れ出る光

それは祝福の光であるか
それは歓喜の光であるか
それとも 人を惑わす光であるか

今はまだ 正体もつかめぬままに
まばゆい光のほうへ歩む子らよ
光に目が慣れるまで
ただひたすらに光の中をゆけ
そうして、しかと目を見開いて
世界をくまなく見尽くすのだ
 



ユージン・スミスの写真「楽園への歩み」に着想を得て書いた詩です。


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