【詩】ローリン’ ローリン’

木の実を採って獣を追うは　明日をも知れず落ち着かず
麦を植えて家畜を囲い　定住しましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
麦と家畜を囲ったつもりが囲われて　世話に追われて大わらわ
麦と家畜と土地に縛られ　栄養豊富な野生の食料取りに出掛ける暇もない

一族だけでは麦と家畜を守れない　隣人に攻め込まれるのも心配だ
国家を作って協力し合い　住みよくしましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
年貢は重く分配少なく　望まぬ戦に駆り出され
民は国家の単なる駒で　国家は民を守らない

自然の脅威と死への恐れ　人間の力ではどうにもならないことが多すぎる
安寧と救いを求めて神を創造　すがりましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
神の名のもと殺し合い　神は権力の手先に成り下がり
誰がパンと葡萄酒もらえるのかで　またまた大勢殺し合い

家族だけで作れる量はたかが知れてる　もっと素早くもっとカネを
工場建てて人を雇い　大量生産しましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
一律の時間管理を求められ　太陽ではなく時計に支配される日々
持たざる者は搾取され生かさず殺さずの賃金で　貧富の差は広がるばかり

仕事も家事も重労働　人間の知力体力時間には限度があってあっぷあっぷ
機械とAIにお任せで　余裕を生みましょ　そうしましょう　
あれあれ　どうしたことでしょう
空いた時間で何か生みだせ　楽するはずがもっともっとと追い立てられる
高度なスキルと向上心なく現状維持で生きたい奴は　自己責任でくたばれと

病に脅かされ苦しめられて　為す術もなく死んでいく者たち
治療法を探し出し　長生きしましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
ひとつの病を乗り越えれば新たな病が現われて　長生きするだけ病は増える
治りはしないが延命はできて　生きることも死ぬことさえもままならぬ

戦争、貧困、虐待、差別　人の世は他人を虐げる邪悪さ溢れてる
誰もが生きやすい世の中に　変えていきましょ　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
戦争、貧困、虐待、差別　何千年経っても邪悪さちっともなくならない
ひとつひとつ解決してはきたのだろうが　何ひとつ解決できぬまま

進歩と発展に追い立てられて　急斜面をころころ転げ落ちてきた
ここらで全部リセットして　歴史をやめてみましょう　そうしましょう
あれあれ　どうしたことでしょう
一度始めてしまったことは　どうにもこうにもやめられず
転げ落ちていくと知りながら　進歩と発展に追い立てられて

追い立てられて　追い立てられて