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秋のはじまり

深海から水面へ、白が足されていく明け方の空。
金色の星が薄青い空に溶け込んで、目覚めた朝陽は羽衣のように雲をたなびかせ、
差し込んだあかが街の姿をはっきりとさせていく。

一刻一刻と移りかわる空を見ながら、昨日見つけた秋を思い出していた。

あんなに苦しんだ暑さが、朝夕と少しずつ和らいできちんと去っていく。
昔の人の言った通りだと感動すら覚えている。

昨日はまさに秋晴れ。
空は青く、雲は高い。
秋色の風が、その広さを喜んで雲の筆を自由に動かし遊んでいる。

白い花をよく見かけるようになった。
あとススキとエノコログサ。

小さな白い花弁をもつ可憐な草花には、胸をきゅっとさせられる。
この間写真に撮った白い花の名前を調べたら、犬鬼灯いぬほおずきだと知った。

清楚な色が増えた草花の中に、すみれの紫や露草つゆくさの青をぽつりぽつりと見つけると、はっとさせられて、切ない喜びを感じる。

職場の玄関には季節の草花がいつも飾られている。
今はススキが花瓶に生けてあって、毎朝迎えてくれる。
背の高いススキを見ると、中秋の名月を連想して、秋だなぁ、としみじみ思う。
「やあ、また秋が来ましたね」と、旅人のような古い知り合いのような、そんなイメージを抱く。

エノコログサは、街路樹のそば、畑の横道、お散歩コースの歩道などあらゆるところで見かける。

たくさんの猫の尻尾がゆらり、ゆらり。

信号待ちする車の窓からふと見かけたとき、ゆらゆらとした姿は秋の風鈴のようだと思った。鳴らない風の声が、急ぎすぎる心を癒やしてくれる。


仕事が終わって外に出たら、まだ青い夕方の空に半月が見えていた。
(23日が上弦の月だったので、少しふくらんでいるはず。)
その辺りだけ雲がなく、月の白さがよく映えていた。スマホのカメラを向ける。

眠る前に窓から外を見上げたら、澄み渡った空に傾きかけた月が輝いていた。
橙色のともしびが夜を照らす。

月を見るなら秋、といわれているけれど、その通りだと納得する。
夏は夜にかけて雷雨が多く、夕方と夜の天気ががらりと変わってしまうことが多かった。
29日は中秋の名月。今年は満月と同じ日だ。

中秋の名月は、収穫の時期と重なって「芋名月」ともいわれる。
芋といえば、私の大好きな焼き芋がお店に積極的に姿を見せるようになった。
さっそく先日買って食べたら、夏よりも実が少し大きくなっていた。
これからもっと甘くて大きな焼き芋が出てくると思うので、期待している!

涼しい夜はあたたかい飲み物への恋しさが増す。しまっておいた紅茶のパックの出番が、徐々に増えている。
この週末は、美味しい紅茶にモンブランを合わせた。味覚も秋を楽しんでいる。

眠れない夜や早くに目覚めてしまった朝は、本を読むようにしている。
のめり込むように一気読みした夏から、少しスピードダウンして、2、3ページ読んでは想いにふける。

紅葉はいつからだろうか。
にしきのように鮮やかな秋の景色にはやく会いたい。


みなさんに、よい秋が訪れますように🍁


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