プロダクトマーケットフィットを達成するには

プロダクトマーケットフィット(PMF)の定義

先日a16zにも寄稿されていたMicrosoftのTren Griffiin氏の"A Dozen Lessons About Product/Market Fit"を読んでいて改めてプロダクトマーケットフィット(PMF)について考えてみました。

スタートアップにおいてプロダクトをつくるまでの流れを簡略化して定義すると、

・課題を見つける(アイデア)
・課題にあったソリューションを見つける(プロブレムソリューションフィット)
・ソリューションを現実化したプロダクトがマーケットに受け入れられているか(プロダクトマーケットフィット)

ということになります。

プロダクトマーケットフィットとはある”状態”です。ゆえに抽象度が高く感じますし、これから起業する起業家候補の方にしてみると、腹落ちしにくい or 想像しにくいコンセプトなのではないかと思います。

もっとわかりやすい表現でPMFの状態を言い表せないだろうか?

完璧なプロダクトである必要はない

a16zのMarc Andreessenの"The product doesn’t need to be great; it just has to basically work. "(プロダクトは最高である必要はない。基本機能さえ動いていれば良い。)やLinkedIn創業者のReid Hoffmanの"If you are not embarrassed by the first version of your product, you’ve launched too late."(最初のプロダクトを恥ずかしいと思わなかったら、ローンチが遅すぎるということ。)という言葉にあるように、PMFを確認するには必要最低限の機能を備えたプロダクトである必要はあるが、完璧なプロダクトである必要はないとも言われます。

完璧なプロダクトである必要がないのであれば、何をもってプロダクトマーケットフィットしているかを測るのか?

PMFの状態を測る手法のひとつとしてNPS(Net Promoter Score)があります。プロダクトやソリューションに対してユーザーに0−10の点を付けてもらい、推奨・中立・批判に分けた上で、推奨者の割合から批判者の割合を引くことで得られる数値です。

基準値についてはプロダクトマーケットフィットという言葉を生み出したBenchmark Captialの共同創業者のAndy RachleffいわくNPSは”+40以上が理想”とのこと。

では、多くのユーザーが9〜10点をつける(自らも継続的に買いたいし、他人にも勧める)状態は何によって生み出されるのかというと、下記のような共通点があります。

・自分にとって最も悩ましい課題が解決された(驚嘆・感動)
・他人に勧めやすい、説明しやすい(わかりやすい)
・費用対効果が高い(価格満足)

プロダクトマーケットフィットの先に

上記までを振り返るに、PMF達成のためには、プロダクトは全てにおいて完璧である必要はないが、提供価値が最低でも1つはしっかり伝えられるプロダクトになっているか、プロダクトを一言で説明できるか(業界の素人でも)、ということが重要だということでしょう。この初期段階のプロダクトをMVP(Minimum Viable Product)、必要最小限の機能をもったプロダクト、とも呼びます。MVPでユーザーのニーズを満たすことができるのかを検証するのです。

私自身、ベンチャーキャピタリストとして、スタートアップの経営者として、ユーザーニーズの確認からプロダクトへ落とし込む段階になり、開発が進むに連れあれも付け足すと良いのでは? とメインの機能を補完するつもりで新たに機能を追加していき、それによって本来シンプルだったプロダクトの価値・魅力を一言では説明しにくくなるケースを多く目にしてきました。ユーザー目線で見たときに、一番満たして欲しいニーズ、一番解決して欲しい課題は何か? それが機能的に満たせているのか? あれもこれもできる、は何もできないに等しいので、これは肝に銘じたいところ。スタートアップにおいて後からプロダクトの機能を削ぎ落とすのは時間効率を考えてももったいないですから。

逆に言うと多少プロダクトの完成度が低くても(MVP)、対象ユーザーが最も欲する一つの機能を提供できているならば、ユーザーは文句を言いながらも使い続けるのです(それを放置するとNPSは下がっていくのでPMFが達成できているかというのは点で捉えれば◯、線で捉えると×となりますが)。

あなたのスタートアップのアイデアがあなたにしか解決できないソリューション(MVP)に落とし込まれているのであれば、感動してくれるユーザーが一人でもいるのであれば、すでにPMF達成の入り口に立っているということになるのではないでしょうか。


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