竹川 祐也 / サイバーエージェント・キャピタル

シード/アーリーステージのベンチャーキャピタリスト。元ベンチャーCFO/CEO。証券・…

竹川 祐也 / サイバーエージェント・キャピタル

シード/アーリーステージのベンチャーキャピタリスト。元ベンチャーCFO/CEO。証券・人材業界経験あり。#VC

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ベンチャーキャピタリストの極私的おすすめ映画【2023年】

年末年始、みなさんはどのように過ごされるお予定でしょうか。まだ決まっていなければ、映画鑑賞などいかがでしょう? 私自身、学生時代から継続的に映画は鑑賞してきました。Filmarksなどのサービスの登場がきっかけで登録をしていくうちに1,000本に近づいてきました。そのタイミングで、どうせならもっと掘るぞ、ということでここ数年新旧織り交ぜ鑑賞を加速しています。 本noteは、映画はわりと好きだけど今年それほど観なかったな、といった方や、これを機に映画を趣味にしてもっと観よう

    • 駆け出しキャピタリストのころクセの強い先輩から学んだこと

      「えぇー、っと、えぇー、、と、お前名前なんだっけ?」 「た、たけがわですよ!」 中途入社から半年たっても唯一の部下の名前を覚えない先輩が私のキャピタリスト人生初の上司でしたw JAFCO〜H通信の投資部門というバキバキのキャリアの方でしたが、上記のようにすっとぼけたところがある方で、クセは強いのですが憎めない、私にとって忘れがたい先輩です。 そんな先輩の言動で見習いたいと思ったところは3つ。 * 起業家やプロダクトをひたすら褒める * 初回アポから自分の知見や

      • MVP(Minimum Viable Product)からSLC(Simple, Lovable and Complete)へ

        MVPの変遷以前、米国のJason CohenというWPEngineの創業者(40億円超の資金調達をしている)がブログで「I hate MVPs. So do your customers. Make it SLC instead.」というエントリーを上げていました。「私はMVPは嫌いだ。あなたの顧客もそうだ。代わりにSLCだ。」と。 ここでいうMVPとは「Minimum Viable Product」の略であり、「ユーザー検証に必要な最低限の能力を兼ね備えたプロダクト」と

        • プロフィール(自己紹介)

          竹川祐也(Yuya Takegawa) 株式会社サイバーエージェント・キャピタル 取締役 パートナー 【略歴】 1975年広島県広島市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。 証券会社のリテール営業、人材紹介会社勤務を経て新たな人材紹介会社立ち上げに参画、証券会社VC部門、ベンチャー企業CFO/CEOを経て2012年サイバーエージェント・キャピタルへ入社。ベンチャーキャピタリストとして主に日本国内及び米国・東南アジアのシードステージの投資に携わる傍ら、事業会社とスタートアップのオ

        ベンチャーキャピタリストの極私的おすすめ映画【2023年】

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        • 気になる起業家のnote
          145本
        • スタートアップとVCと
          11本

        記事

          起業よりも大切なこと

          VCは誰にでも起業を煽るひとだと思うひともいるかもしれませんが、私はあなたが起業しようがしまいがどちらでも構いません。あなたという人間そのものやあなたが何を欲するかには物凄く興味がありますが、あなたが目的を達成するための手段についてはとやかく言う気がありません。 だから「無責任に失敗するリスクがある起業を煽るやつは悪だ」とか「これだけ簡単に会社設立や資金調達ができるときに起業しないのは損だ」という議論にもまったく興味が持てません。 起業をすべきかすべきでないかの二極で考え

          アイデアの検証に会社や資金は要らない

          いま起業アイデアがあり、推し進めるべきか悩んでいたり、その検証のために器となる会社の設立やランニングコストを埋めるための資金調達がまず必要なんじゃないか、と思っている方へ。私は反対です。 VCやエンジェルなどの投資家に会ったり、会社を設立することは実はいつでもできるので、まずはユーザーに向き合いインサイトを得て、仮説を立て、最小限のコストで事業アイデアの検証をすることです。このサイクルをひと回しふた回しして、土台となる確信を深めてから会社設立や資金調達に動いても遅くないと思

          アイデアの検証に会社や資金は要らない

          [読書バトン2018] おすすめの25冊+α

          支援先のピースオブケイクCXO深津さんからはじまり、CEO加藤さんへとつながり、さらに拡散しはじめている #読書バトンですが、せっかくなので自分も勝手にやってみました。ベタなのもあれば、「それオレが薦めたやつやんけ!」ってのもあるとは思いますがw そして、私からは特定の方を指名しませんが、ぜひ友人の皆さまのおすすめが知りたいのでnoteで書いても良いよ、って方はトライしてみていただけると嬉しいです! 【人生を変えた3冊】 特に少年期に、小説や物語の面白さを教えてくれ、

          [読書バトン2018] おすすめの25冊+α

          コントロールとコマンド

          野球の投手の能力をあらわす”コントロール”や”コマンド”という言い回しがあります。 「あの投手はコントロールが良いがコマンドができていない」 ・コントロール=ストライクゾーン(の中のどこかに)に投げる能力 ・コマンド=ピンポイントで狙ったところ(キャッチャーミットが動かない。追い込んだ後の外角低め、とか)に投げる能力 と言われています。 これを成果(打者を打ち取る)という視点で考えたとき、どちらの能力がより求められるか。 そう、『コマンド』ですね。 では、コント

          VCが出資を断る際につく嘘

          先日読んでいたこちらのブログでVCがつく嘘について書いていて興味深く読みました。私自身ベンチャー側でCFOとして資金調達をしたことも、VCとして出資をする側も両方経験していますので、わかるなーという部分もあり、今回はこちらのテーマについて書きたいと思います。 上記のブログではVC(ベンチャーキャピタリスト)が出資を断る理由として「充分なトラクションがない」と説明する場合、その裏側の本音には下記のいずれかがあると書いています。 ・アイデアか創業者が好きではない。

          問題のある企業文化はファウンダーが原因か?

          最近話題になっているUberのセクシャルハラスメント問題。告発した女性のブログからも、一部の人間の暴挙というよりは、この問題の本質は現時点までの企業文化にある(創業者兼CEOのTravisは否定していますが)と私は感じました。 問題のある企業文化を放置した責任を創業起業家にのみ負わせることは簡単ですが、彼らを罰したり追い出そうとするだけで良いのでしょうか。それでは同じ失敗を繰り返すことを防ぎようがありません。再現性のある形で悪しき企業文化を醸成してしまわない方法はないのでし

          問題のある企業文化はファウンダーが原因か?

          プロダクトマーケットフィットを達成するには

          プロダクトマーケットフィット(PMF)の定義 先日a16zにも寄稿されていたMicrosoftのTren Griffiin氏の"A Dozen Lessons About Product/Market Fit"を読んでいて改めてプロダクトマーケットフィット(PMF)について考えてみました。 スタートアップにおいてプロダクトをつくるまでの流れを簡略化して定義すると、 ・課題を見つける(アイデア) ・課題にあったソリューションを見つける(プロブレムソリューションフィット) ・

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          成功するリーダーの特質

          リーダーシップについてのリサーチ TechstarsのFounderでco-CEOのDavid Cohenが彼らのファンドのLPでもある起業家からリーダーシップについてのヒアリング(彼の甥からの依頼だったみたいですがw)を受けて、せっかくなのでその結果全体を共有してもらいました、というブログエントリー”What is Leadership”を見て面白かったので一部をまとめてみました。起業家・経営者などリーダーシップ、リーダー育成、組織マネジメントというところに課題感を持ってい

          投資家とのコミュニケーションの取り方

          ベンチャーキャピタルから出資を受けるときに起業家側が気になることのひとつとして「投資後どれくらいの頻度でどのようなコミュニケーションが必要なのか?」があると思います。実際に質問を受けることが多いです。 スタートアップ/ベンチャー企業側のステージや起業家のタイプによって使い分ける部分はあるのですが、私の基本イメージは以下の通りです。 シードステージ:エンジェル・シードVCからの資金調達完了, 創業後〜1年 ・週1回、30分〜60分、面談かSkypeを行う ・気になること

          投資家とのコミュニケーションの取り方

          2017年オススメ書籍

          あけましておめでとうございます! 本日から仕事始めということでCAV日本メンバーで渋谷の金王八幡宮に初詣に行ってきました。 さて、私もこの年末はご多分に漏れず大掃除の一環で古い書籍・漫画を150冊ほどブックオフに売却しました(それでも1万円弱というのは期待値よりは高かったものの、備忘価格感ある…)。 そして書棚がすっきりすると、その隙間を埋めたくなるのが人情ですよね。なんでだろ。ということで、この年末も幅広く本を買い込みました(紙もKindleも)。そのなかで読み切れた

          起業したら必ずVCから資金調達すべきか?

          VCを入れずに上場する事例株式投資をしている人だとご存知の方も多いと思いますが、VCなしで上場している会社は結構あります(IPO投資をしているひとからすると売り圧力が少ないので歓迎する向きが多いのでは)。直近のIT系ですとキャリアインデックスさんはVCが入っていません。 いきなり、なぜこんな話をするかというと、最近イベントなどで起業家や起業家候補の方から「どうやってVCから資金調達をすべきか」とか「VCはどこを見て投資判断をするのか」という質問を受けることが多いからです。

          起業したら必ずVCから資金調達すべきか?

          スタートアップにとって優秀な人材の採用は4点の価値がある

          4点の価値とは?本エントリーでは、スタートアップやベンチャー企業が欲しい人材を採用できないことのリスクと、採用において最も大切にすべきことについて、私自身の体験も踏まえて書きたいと思います。 私も前職のベンチャーで新たな収益の柱を模索すべくいくつかの新規事業に取り組みました。そのうちのひとつがソーシャルゲーム事業。既に先行して成功している企業がいくつも出ていたタイミングでした。私たちも市場の成長余地の大きさから事業機会を感じ、伸びが鈍化し始めていた既存事業からエンジニアのリ

          スタートアップにとって優秀な人材の採用は4点の価値がある