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【今でしょ!note#8】 グローバル経済圏とローカル経済圏 (2/2)

おはようございます。林でございます。

昨日より連続で取り上げているグローバル経済圏とローカル経済圏の違い、特徴の話です。本日も冨山和彦さんの「なぜローカル経済圏から日本は蘇るのか」に沿って、自分の言葉で整理し直し、考えたことなどをご紹介します。

前回は、グローバル経済圏の話を中心に触れてましたので、本日はローカル経済圏について触れていきます。


ローカル経済圏のリアル

ローカル経済圏では、ジワジワと人口が減っておりマーケットの大きさも徐々に縮小しています。
ローカル経済圏では、需要の減少以上に供給の減少が大きく、供給サイドの出店密度と需要サイドのユーザーとの密着度が非常に重要になっています。
公共交通、物流、飲食、小売、宿泊、社会福祉、教育など、密度の経済性が命運を握る産業のほうが圧倒的に多い特徴があります。

以前から地方を中心にコンパクトシティ化が進んでいますが、これはとても合理的で自然な流れだと見ており、広く遍く公平な行政サービスを提供するのは完全に無理が来ており、集約化・集中化がより進んでいくでしょう。
民間の世界も同じで、地方の様々な企業では人手不足が深刻で、供給能力が制限されますから、より需要サイドの密度が高いところを選択して供給範囲を集中させる動きになっていきます。

話はそれますが、地方の限界集落からの退出を進めるコンパクトシティの議論では、「古き良き日本の崩壊に繋がる」という人がいます。
しかし忘れてはならないのは、日本の限界集落の多くは戦後にできたという事実です。

地方で人口減少が進んでいるとはいえ、日本各地の人口は、いまだにほとんどの地域で戦前より多いのです。
限界集落の多くは、戦後の引き上げと都会の空襲被害により移動を余儀なくされ増加した人口を吸収するために作られた経緯があります。

第二次世界大戦終戦の1945年、限界集落の人口は一気に増加しましたが、その後の太平洋側の工業化に伴い、東北や日本海側から一気に流出しました。
その後1972年の田中角栄の日本列島改造論推進により、再び増加に転じました。

業界で異なるローカル経済圏のシェア

グローバル経済圏の産業は、おおむね上位数社に寡占されています。
例えば、2021年のスマホ販売台数シェアを見ると、Samsung, Apple, Xiaomiの3社で52%を占めます。(総務省:令和4年度経済白書より)

一方で、小売業は様相が異なります。
2023年にデロイトトーマツ社が公表している「世界の小売業ランキング」によると、Walmart, Amazon, Costcoをはじめとした上位10社のシェアは34%程度のシェアで、イオンやセブンといった名だたる企業が10位以下の企業群として名を連ねています。

このような傾向は、教育も銀行も同じです。

ウェルズファーゴは、グローバル金融には全く背を背けたスーパー地銀ですが、アメリカの四大銀行の一つで利益も最大水準、安定的に高収益を稼ぎ出す金融機関となっています。
地域ドミナントを構成し、せっせと預金を集め、地域内顧客に融資する業態です。華やかなグローバル企業へのシンジケートローン等には目もくれず、教育ローン、住宅ローン、カードローンなどの小口かつ地味なローンを扱っています。

競争原理が必ずしも働かないローカル

ローカル経済圏では、生産性の高低やサービス内容の良し悪しによって必ずしも競争原理が働くわけではないので、生産性の低い企業やサービス内容が悪い企業が必ずしも淘汰されるわけではありません。

私も地方出身なのでよく実家の家族に「東京ではこんなに美味いものは食べられんやろ」と言われるのですが、私はこれはむしろ逆だと思っています。
確かに地方の上手い店は抜群に上手く、新鮮な海鮮など、それぞれの地方独自でそこでしか食べられない味はあります。
ただ、地価の高い東京で生き残っている飲食店は、普段から厳しい競争の中に
身を置いているため、アベレージでのレベルは明らかに高いです。

以前、二子玉川付近に住んでいましたが、どこに行っても美味い店しかなく、健全な競争環境はサービスレベルを引き上げる。毎月、それなりのテナント料を支払いながら店を持続させているだけあるなぁ、とよく感動していました。

ローカル経済圏のポテンシャル

中小企業における製造業の人手不足は2013年から始まり、非製造業では、2010年から人手不足状態が続いています。
ローカル経済圏では、生産性に大きな格差があるからこそ、集約化による生産性向上の伸び代が大きいです。
一定レベルの生産性向上が進んできたグローバル経済圏企業よりも、生産性向上の政策的な効果は高いと言えます。

ローカル経済圏の中核にあるサービス産業において、労働生産性を上げるためには、ベストプラクティスアプローチが望ましいです。
それなりに知識と経験がある経営者であれば問題なく実行可能ですが、ICTの導入も一定規模の財政力と優秀な経営者が必要なので、まずやるべきは、事業と雇用の集約化を進めることになります。

退出のキーとなるのは地域金融機関です。
将来にわたり収益を上げ続けるのが難しいと感じたら、資産があって黒字のうちに廃業を迫るべきです。
昔の金融マンは、人や現場を見て金を貸せと教えられていましたが、不動産価格が右肩上がりで急騰し始めたときから人よりも担保を見て貸せ、とあらぬ方向に動いてしまいました。

地域公共交通機関の分野では、長期的に絶対的な人口数が減少するなかで、より広域での連携が必要になり、都道府県レベルでの地域連携型の動きがさらに進んでいくでしょう。B2C企業とB2B企業の連携など、ローカルにおけるキーワードは「集約化」です。

地域との共存で生き残る地域密着型のサービス産業

地域住民との共創関係をいかに構築するか。地域密着型のサービス産業は、地域と共存しないと生き残れません。

「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」
江戸時代、そんな歌が詠まれるほど栄えた本間家は、山形県酒田の大地主です。彼らは地域に様々な寄付をし、防風林を作り灌漑事業などのインフラ整備を行い、師弟に奨学金を与えました。

決して慈善事業としての取り組みではなく、地域と共存共栄していかない限り、継続的に事業継続できないことに気付いていました。
「持続的に収益を上げ、そこから再投資を行うことが地域に活かされている企業としての責任。再投資が経済的にも合理性のある判断」との考えに基づく行動です。

地域金融機関も、元々はその土地の地主や豪商が他の事業を始めようとしている人に融資したり、個人や法人が一定の金額を出し合い、資金を必要とする人がそれを借りる形態の、無尽という相互扶助的な金融システムに端を発しています。

グローバル経済圏とローカル経済圏のいずれを選択するか

グローバルとローカルには序列などはありません。
サッカーと野球の違いのようなもので、違う経済メカニズム・経済ルールで動いているというだけの話です。
自分の資質や人生観によりフィットする世界を選択することが、より幸福な職業人生を歩むには重要です。

グローバル・ローカル経済圏のいずれにおいても、究極的なゴールは、自分の仕事にどれだけの矜持を持てるか、だと考えます。
矜持を持てる仕事で、それほど生活に困らない収入があれば、自分なりの幸福感を作っていくことは十分に可能です。

私は、これまでの仕事経験の中で、それぞれに魅力と面白さを感じてきました。
短い人生ですし、幸いなことに「あれかこれか」ではなく、「あれもこれも」がやりやすい時代になりましたので、これからもグローバルとローカル、ともに携わっていきたいと考えています。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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