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これからもっと増えるはず。 トミージョン手術に変わる新たな手術とリハビリ 1

こんにちは。今回はMLBでここ数年徐々に増えていて、これからもっと増えるだろうUCL repair with internal braceというトミージョン手術に変わると期待されている術式とそのリハビリについて書かれた論文の内容を翻訳・紹介していきます。

*この記事は2回に分けて書いていきます。

私のようにトレーナー業をされている方はご存知だと思いますが、UCLいうのは尺側側副靭帯のことで、親指の付け根や肘の関節を安定させる軟部組織ですが、この記事では肘の尺側側副靭帯のことに限定して、以下UCLと書いています。


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こちらが翻訳していくこの論文ですが、クリニカル コメンタリー書いてある通り研究した結果とかではなく、”私たちこの術後のリハビリはこうやってますよ” 的なものでエビデンス的には低いものに当たります。

それでもDr.Wilk氏という著名なPTの方がリードして書かれたものですから、この術後のリハビリのガイドラインを明確にし、世に出していることはありがたいですね。

この術式による350件以上のリハビリ経験をもとに、この論文を書いており、そのうち79件は1年後のフォローアップもあり。また、この論文を書いた目的としては、ある一定のUCL損傷の処置としてUCL repair with internal braceが広まっており、そのリハビリプロセスの段階的に、またその理由を説明すること、でした。


何が違うのか?

通常のトミージョン手術は長掌筋や鵞足から腱を取り出して尺側の肘関節に縫い付ける/埋め込む、つまり腱を使って靭帯を再建する手術です。野球の競技復帰には大体14−16ヶ月かかると最近は言われています。

しかしこのUCL repair with internal braceという手術は、リハビリの進みが早まり、結果競技復帰が早まるそうです。この論文では大体5ヶ月で患者さんたちは復帰したとありました。

本当にそんな早くなるのか??と疑問に思う反面、野球関係の多くの人にとってポジティブなニュースであることには間違いはないですね。

早くできる理由はこちらに

”The faster rehabilitation is allowed, because the collagen-treated internal brace is implanted inside the partially torn UCL to augment the ligament while it is healing. No surgical tunnels are needed, and there is no graft that requires time to heal and mature; therefore, there is no need for a prolonged recovery period.”

Internal braceはスパニングテープ(spanning tape)というものにコラーゲンが予め付着していて、既存の損傷しているUCLと一緒に縫い付けることで靭帯組織の修復を早めることが出来るそうです。

しかし、この術式が適応するには条件があるんですね。

それは損傷したUCLの場所が近部か遠部の付着部であり、中心の靭帯組織自体にはそんなに損傷がないこと。慢性的消耗損傷による関節の不安定性がないこと。つまり関節が安定していて、既存の靭帯が質高く残っていることが条件になります。

しかも、トミージョン手術かUCL repair with internal braceになるかは、整形外科医さんが術中に靭帯の損傷具合を目で確認した上で決断するため、患者さんからの事前承諾は必要だとありました。

5ヶ月か14−16ヶ月となると、みんなrepairであってほしいと願うでしょうね。

またトミージョン手術の場合、通常尺骨神経を前腕屈筋群の方へ動かすのですが、UCL repair with internal braceの場合、尺骨神経症状がある時のみ前腕屈筋群の方へ動かすとありました。

ここもリハビリが早まる理由の一つなのでしょうか。


リハビリ プログラム

この論文ではUCL repair with internal braceの術後リハビリを5つのフェーズに分けして紹介していました。

Phase 1: Immediate postoperative phase

Phase 2: Controlled mobility phase

Phase 3: Intermediate phase

Phase 4: Advanced Strengthening phase

Phase 5: Return to activity phase

各フェーズは次回の記事に詳しくまとめていきます。


読んでいただきありがとうございました!



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