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デンマークの子育て本から「幸福感をもって生きる方法」を学ぶ

「日本人の子どもの幸福度が低い」
少し前にこの話を聞いたときに、頭にすぐに浮かんだ本がありました。

『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』
ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー
イーベン・ディシング・サンダール 著 
鹿田昌美 訳  集英社


子育ての本でありながら、子育てだけではなく「自分の幸福を感じる力高め方」「他者との関わり方」にヒントをもらえる本でした。年明けに読みInstagramで紹介したところ反響が大きかったので、追記してnoteでも紹介します。

デンマークは幸福度ランキングでなぜ世界一なのか

著者は2人の女性。デンマーク人のご主人を持つアメリカ人女性と、デンマークでカウンセラーをしているデンマーク人女性です。

アメリカ人の著者は作家、コラムニスト、研究者としてバリバリ働く方で、長年次のような疑問を持っていました。

『アメリカでは幸福を研究対象にしたあらゆる分野の心理学が発達し、「幸せになるため」の自己啓発本が数えきれないほど出回っているのに、アメリカ人は大して幸せではないわけだ。それはなぜ?デンマーク人がそんなに満足しているのは、どうして?』

このような疑問を持ち、長年リサーチした末に、ようやく「子育てに秘訣がある」という結論にたどりついたのです。

デンマークの子育てスタイルは世代を超えて繰り返し受け継がれていて、「自分を信頼し、自信に満ち、軸がぶれない、幸福でレジリエンス(折れない心)のある大人」へと育つといいます。この連鎖がデンマークの幸せの秘訣だと。

著者はそもそも母親らしいスキルが欠けている自覚がありました。子どもが得意でなく、すごく好きというわけではなく、不安から手当たり次第に育児書を読みあさりました。

「子どもが得意ではない」「どう接したらいいかわからない」だから育児書を読みまくる、私も同じ道をたどっていたため、この時点でとても共感を覚えました。

デンマーク人の親戚と関わる中での実体験とリサーチ、科学データに基づいて得た、デンマーク流の子育てがまとめられています。他のさまざまな子育て本だけでなく、自己啓発書、ビジネス書、心理学の書籍などで読んだことが網羅されている印象でした。


「初期設定」は本当に正しいのか見直す

疲れてストレスを感じ、限界ぎりぎりのときに無意識で取る行動のことを「初期設定」と表現しています。(疲れ果てているときほど子どもにイライラしたり怒鳴ってしまう、など。)この初期設定のほとんどは親から引き継がれたものだと言います。

「わが子に対してどんな行動を取り、どんな反応をしたい?何をしたくない?どんなとき、自分の親の子育てを繰りかえしている?自分のどんなところを変えたい?自分が生まれ持った子育ての傾向を把握して初めて、良い方向に変えるための方針を定めることができる。」

「初期設定」は「思考の癖」のようなものだと思いますが、この表現に膝を打つ思いでした。いくらさまざまな子育てや心理学にまつわる本、自己啓発書を読んだところで「追い詰められたときに出やすい自分の癖」をコントロールできずに自己嫌悪になる場面が多くありました。

最近は例えば「ごめん!今日疲れててちょっとイライラしている」と言葉にするなど、追い詰められる前に今の状況を言葉にするようにしています。そうするだけでも、自分がしたくない対応(キレて怒鳴り散らす、など)をする頻度を減らせるように思います。

そして、初期設定が「親から引き継がれたもの」という部分。私は子ども時代に「親からこう言われて嫌だった」という記憶が細かく残っています。両親と仲は良いし感謝もしていますが、この細かい記憶があったために「この反応や言い方はやめよう」と思いながら子育てをしている節がありました。それでも、ふとしたときの叱り方やイライラの仕方が親の言い方にそっくり、ということに気づか場面があります。

この本ではこういった自分の初期設定を分析し、把握したうえで、6つの原則を心がけることを勧めています。書籍の中ではさまざまな研究結果なども交えながら具体的に紹介されています。この原則を少し、紹介します。

デンマーク流‘PARENT’の原則を心がける 

①Play 遊ぶ
自由遊びをする子どもは、不安を軽減するスキルを習得し、「逆境から立ち直る力=レジリエンス」を学べる。遊ぶことで内側の「統制の所在」の発達をうながし、自分の能力に自信がつく。

②Authenticity ありのままを見る
親が自分の感情に正直になる手本を子どもに見せる。幼いうちから、負の感情も含めた感情を認識して受け入れることを学べば自尊心が育まれる。親の褒め方で子どもが世の中を見る視点が変わる。謙虚さも大切に。大袈裟には褒めない。
最近色々な本でも書かれてるが、「頭が良いね」と能力を褒めるのではなく、タスクに注目してプロセスを褒める。

③Reframing 視点を変える
例えば「サッカーの試合なのに雨ザーザー」→「よし!家でみんなでカードゲームしよう!」のように現実的な楽観主義を身につける。ネガティブな情報に目をつぶらずに、別の情報に意識を向けてなるべく豊かで楽しい未来図を描こうとする。こうすることで過去の嫌な出来事も書き換えられる。

④Empathy 共感力
自己主張ばかりではなく相手の立場を理解しようとする。他人を見下して自分を守るのではなく、自分の弱さもさらけ出し、共感力を使うことで幸福感も高まる。
デンマークでは学校の授業で共感力のトレーニングがあるそう。様々な表情が描かれたカードを見て話し合い、自分と他人の感情を概念化するプログラムなどが行われている。そのときに、指導者も子どもたちも自分の感情を否定しない。日本の道徳の授業のように結果ありきじゃないところが良い!

⑤No Ultimatums 叩かない
民主的な関わりを。子を1人の人間として尊重する。子どもと闘わない。例として、食事マナーのときの関わり方を紹介(食べ残しや歩く場面への対応例)
身近な例がよりわかりやすい!多くの親が怒鳴ったり体罰を加えるが、親がカッカしているのに子どもにキレないことを期待するのは無理。ここは一番耳が痛い。

⑥Togethernest and Hygge 仲間と心地よくつながる
デンマーク流の暮らし方「ヒュゲ」つまり「共に居心地よく過ごす」ことを大切にしている。まずは小さな単位である家族の集まりを居心地良いものにする。デンマークでは社会的サポートにも力が入れられている。


どの項目もビジネスや生き方などの場面で最近注目されていることばかりなことに驚きます。デンマークでは親子だけではなく社会全体でこの6つの項目が満たされ、引き継がれているそうです。これらを子どものうちから心がければ、「自分がどうありたいのか」がよくわかっている大人になるだろうなと思います。

まずは家庭から心地よく

私はどうしても子どもと一緒にいるとイライラしてしましまいます。ペースが合わないというか、夕飯食べるのが遅いだけでもイライラ。

どうしてこういうときに腹が立つのだろう?とひとつずつ自分の子ども時代を振り返り考え直す機会になりました。私自身が思っているよりもネガティブで、人と関わるのを怖がっているところがあるため、共感力やリフレーミングは大人の人間関係でも使いたいです。

私の両親は愛情を持って育ててくれたのはわかりますが、それぞれのさらに両親、と考えると言い方や接し方に昔ながらのきつい、厳しい部分があったのだと思います。祖父母世代に比べたら、両親は私たちを1人の個人として尊重してくれていたと感じています。だからこそ、子どもたちに良い連鎖を繋いで、私自身も幸福感を高めていきたいです。

気づきをたくさんいただいた本でした。

最後に

この記事を書こう!と思うきっかけになったnote記事を紹介します。

▼反響の大きかった、野本響子さんの記事。

▼なかななさんの記事

「お母さんの言葉」に思うところのある記事を書かれていたのを見て、この本のことを思い出しました。

つい嫌なことを言ってしまうこともあります。でも、自分の心に嘘をつかず、かつ、子どものこともひとりの人として尊重する。道半ばではありますが、そうありたいと思います。


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