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コロナ禍の現状において…もはや地域社会において"共通の敵"でしかない、新サッカースタジアム&新アリーナ建設運動の声

近年様々なスポーツ競技の普及や人気の高まりにおいて、浮き彫りになってきたのが既存のスポーツ施設の不足や老朽化に置ける諸問題。

そういった中でも特段と新施設の建築について声高に上げるケースが目立つのが、JリーグやBリーグによる新スタジアム・新アリーナ要望の声です。

この運動における様々な問題点について整理して語りたいと思います。


①コロナ禍の現状で集客面を軸にしたビジネスは成り立たない

JにしてもBにしてもアリーナ・スタジアム建設要望に置ける過程において、キャパシティ(収容人数)の大きさを条件に挙げることが多いです。

特にJとBでも導入されている"ライセンス制度"の中でもスタジアム・アリーナ要件が存在し、その中で収容人数における規定が定められております。

この収容人数における規定が様々な面で既存のクラブにとって大きなハードルとなり、この部分が地方自治体におけるアリーナ・スタジアム建設要望にかかる問題となっているのですが、

"コロナ禍で集客に制限があるのに何故大きなハコモノ施設を作る意味があるのか?"

という疑念です。

ただでさえ集客に制限が強いられている現状の中で、大きなハコモノ施設を作ったところで無駄でしかなく、もはや集客を前提にしたビジネスは望めない(特にBリーグで)にも関わらず、未だに自治体などに向けてスタジアム・アリーナの建設を要望するJリーグやBリーグサイドには理解に苦しむということです。

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(緊急事態宣言の延長によって、2月末の開幕時では無観客試合もしくは極めて少数による観客動員でのスタートが予想されるJリーグ。もはやコロナ禍において集客を重視したビジネスモデルは無意味だ。)

②サッカー専用スタジアムは利益性に乏しく、ランニングコストも大きな負担になる。先の見通しの立たないコロナ禍において優先度にも実用性にも乏しい

サッカーファンが声高に望む専用スタジアムですが、全国どこをとっても赤字で経営面で自前で運営できているスタジアムは皆無で、維持費などで必要なランニングコストを私達の税金(地方自治体)で賄うという有り様。

パナソニックスタジアム吹田などが代表例ですが、国際試合を開催する前提で大きな施設を作ればそれ相応のランニングコストが生じるわけです。

そしてこのコロナ禍の影響で国際試合など含めた大規模なイベントの開催などは実現不可能。大きなスタジアムや施設を作る優先度や実用性にも事欠くというわけです。

実用性に乏しく、大きな負担を強いられるスタジアムやアリーナの建設へ動くのは優先度もないわけで、これらで生じる費用があるのならば様々な面でコロナ対策へとお金を回すべきでしょう。

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(広島の新スタジアムは事業費270億円のうち県と市が100億円という巨額の負担を強いられる。これだけの予算があれば一体どれだけコロナ対策の予算へ費やせたのだろうか?)


③自治体への要望やスタジアムの運用に大きな問題。困窮する自治体に対しての強要と取られても全くおかしくない

例えばBリーグの島田慎二チェアマンは千葉の社長時代にミクシィと連携しながら"自治体に頼らない自前でのアリーナ建設"と標榜しながらも、自身がBリーグのチェアマンに就任後には全国を行脚しながら各自治体に対してアリーナの建設などを要望するという矛盾めいた行動が見られます。

コロナの影響も含めてただでさえ財政的に余裕のない自治体からすれば、身の丈にも実用性優先度に乏しいアリーナやスタジアム建設を求めてくる各リーグ団体は極めて厄介な存在でしかなく、余裕のない地方に対しての"強要"とも言える行為に見えます。

またサッカーへ目を回すと、スタジアムの運用にも大きな問題があり、Jリーグのスタジアムは原則的に天然芝というルールがあり、その芝にかかる費用を自治体(→そして市民へと繋がる)が負担する一方、自分達はスタジアムを優先的に使うだけ使うという例が多く、そういったランニングコスト面や収益性の低さも相まってサッカー専用スタジアムは赤字によって負担が大きくなっているという背景があるのです。


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(千葉時代には自前でアリーナを作ることの意義を語っておきながら、Bリーグチェアマン就任後は全国の自治体に対してアリーナ環境などの整備を"強要"するという矛盾めいた行動を見せる島田慎二氏)


④スポーツ競技は逃げない、今すべき優先点は医療関係者やエッセンシャルワーカーなどの支援である

何度も言うようですがこのコロナ禍によるスポーツ界への影響もいまだ強いわけで、スタジアムやアリーナの環境面整備はこの窮状時に急いでやるようなことなのでしょうか?

今一番困難な状況に陥っているのは最前線で働く医療従業者であったり、生活に必要不可欠なエッセンシャルワーカーです。この方々を差し置いてまで全く時勢の読めていないスタジアムアリーナについて議論するのはナンセンスでしょう。

何よりサッカーにしてもバスケットボールにしても競技が消滅するなんてことはないのですから、後回しにしたって困らないわけです。今は優先度を考えてほしいです。


まとめ・総評

とある方のブログ(検索すればヒットすると思うよ)で「京都新聞によるサンガスタジアムの負担増加という記事はミスリードだ」という趣旨のブログ記事を書いていたのですがそれについて総ツッコミさせてもらいます。

Q1→寄付が目論見通り集まらなかっただけで追加で負担が生じるわけではない

A→しかし京都府と亀岡市による重い負担は変わらないです。それに寄付が集まっていれば公金による支出が減るわけで、口だけの綺麗事を述べるだけでまともに寄付金を出していないサンガサポは論外。

Q2→予算9000億円規模の自治体が足掛け27年かけて150億円程度のハコを整備するのに難癖つけてくるが、他の大型公共事業にどれだけ追及のメスが入れられているのか?

A→金額の問題です。何よりハコモノ施設による無意味な赤字垂れ流し・浪費はかねてから叫ばれているのだからそれこそサンガスタジアムは別にいいという論調は特別扱いになってしまっている。またサッカースタジアムを建てる(ましてや大型)=赤字垂れ流しで実用性利益性がないのは目に見えているのだから、反対意見が多くなるのは言うまでもなし。

Q→寄付の方法がふるさと納税制度や地元企業が寄付して損金算入するなど結局は税金の使い道を選択しているだけ。

A→てっとり早く株式会社のサンガが単体でポンとスタジアムの建設費出せばこんなくだらないお金の使い道だとかいう話にはならないです。何故お金を出さないくせにスタジアムだけは自分達が思うがまま使いたい放題したいサンガに対して厳しく批判できないのか?自浄作用がない。


とにかくこの手の問題でサッカーファン側の意見を聞くたびに、サッカーファン側からしか理解を得られないようなサッカー目線ありきの主張や、論点のすり替えしか出てこない詭弁しか聞こえてこないです。

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