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レビュー / 映画『エンディングノート』死を迎える人とその家族のリアルを伝えてくれる秀作 ★4.0

人が死ぬことに意味なんてない。だからこそそれは唐突だし、不条理だし、理不尽だ。あんなに元気だったお父さんが、突然癌が発覚し、急速に弱っていく姿を見て、そんな「死の真理」を見せつけてもらえた気がする。

【あらすじ】
ガンの宣告を受けた一家の父が自らの人生を総括し、家族へあてた“エンディングノート”を残すまでの姿を軽妙なタッチでつづったドキュメンタリー。2009年、何事も「段取りが命」をモットーに高度経済成長期を支えてきた熱血営業マンの砂田知昭は、67歳で会社を退職。第二の人生を歩み始める。しかし、その矢先に重度の胃ガンが発見され、自身に「自らの死の段取り」を課すことになる。監督は知昭の娘で、是枝裕和監督らの映画制作現場に従事してきた砂田麻美。
引用:映画.com

だからやっぱり、その日その日を全力で生きることしか、私たちにはできないんだよね、結局。でも、「お父さんが半年後に死ぬ」という前提がある状態での「全力」と、そうでない場合の「全力」とでは、できることが違うのは当然で。だから、未来が予測できない以上、どれだけ全力で生きたとしても、後悔がゼロになることなんてない。もっと優しくしてあげればよかった、そんな後悔は、なくなることはない。そんなことにも、気づかせてもらったな。

お父さんの死をまっすぐ見つめて、記録に残す娘さん(監督)すごい。私だったらきっと悲しみに溺れてしまって、撮影どころではないと思う。監督としてではなく娘として、お父さんとの最期の時間を過ごす代わりに、彼女はなぜ映画監督としてお父さんを撮影し続けることを選んだのか。そこに映画監督としての、彼女の矜持があるのかな。

死に瀕しても知性とユーモアを持ち続けているお父さんも本当にすごい。前も書いたけど、人間の本質はやはりこういう有事の際にこそ問われるものなのよね……

家族っていいなあと心から思える作品。他人から家族になる夫婦なんて尚更。人間って、すごいなあ。

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