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TTTブログ No.18 『空白と余白』

こんにちは!
TheThinkingTime 主宰の吉田結美です。


TTTブログ No.18 『空白と余白』です!

この度、TTTブログの執筆場所をTTTサイトからnoteへ移すことに決めました。それに伴い、「○月号」から「No.」表記に切り替えることにします!本記事はTTTブログ18件目の記事なので、No.18です。

初めましての方が多いと思いますので簡単に説明しますと、私、吉田結美が主宰しているオンラインプラットフォーム『The Thinking Time』の発信窓口として書いているのがTTTブログです。頭文字を取ってTTT。主な内容は、毎月開催している公式イベントの振り返りです。

TTTのテーマが『「考える」と「関わる」が「私」をつくる』なのですが、この「考える」と「関わる」を柱にしたイベントが、今回の記事でご紹介するしゃべろう会だったり、かんがえよう会だったりします。

これまでのTTTブログは本記事の下のほうにリンクを貼っていますので、ぜひご覧ください。

※しゃべろう会は「人の価値観や視点、言葉に触れて、視野を広げる」がテーマの、「人」にフォーカスしたイベントです。ゲストさんをお招きして、そのゲストさんの価値観や言葉に触れつつ、参加者同士でも会話をしていきます。ゲストさんによってイベントの性質が変わるのが特徴です。詳しい説明はブログ下部にございます!


さて、それでは本題に入っていきたいと思います。今回は7月に開催しました「しゃべろう会Vol.10」の振り返りです!


イベント概要

今回のゲストは製本家の篠原章太朗さん
テーマは「空白と余白」 

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ちょうど私が絵本を作ろうと思っていたときに、西荻窪の“麦酒と書斎のある本屋BREW BOOKS“さんで知り合い、製本を教わることになりました。

「本も自由に!」を掲げ、SS-BOOKBINDINGの屋号で様々な製本の依頼を受けたり教室を開いたりしています。また、ジンツクの名で親しまれる『ZINEつくろうよ!』の配信等にも携わっています。

当日の参加者は現地・オンライン・録画視聴含め、総勢15名!恐らく過去最多です。みなさま本当にありがとうございます。会場は、オシロ株式会社様のオフィス。TTTがお世話になっている会社です。

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前半は篠原さんの生い立ちと後半の対話に繋がるお話をしていただき、後半は参加者それぞれが持つ空白と余白のイメージを図化し、それについて言語化・対話をするという流れでした。

篠原さんは実は製本家である前に、サラリーマンでもあります。普段は、航空機関連機器の開発をされているのです。


「好き」の枕詞

篠原さんは飛行機がお好きです。しかし飛行機を作るお仕事は正直楽しくないことも多いのだそうです。


それはなぜかを考えてたときに、自分の「好き」は飛行機を作ることよりも、飛行機を眺めたり名前を覚えたりすることに対してだったのだと気づき、「好き」には生産と消費の枕詞が存在するのではないかと考えるようになりました。


同時に、製本家としての活動がなぜこんなにも長く続いているのかを考えたときに、本を作ることで自分自身を自由に表現することが楽しいからだと気づいたのです。


・好きなことを仕事にした方がいい
・好きなことを仕事にしない方がいい


どちらも同じくらい言われてきたことだけれど、篠原さんの考え方を加えると以下のようになります。


・《生産するのが》好きなことを仕事にした方がいい
・《消費するのが》好きなことを仕事にしない方がいい


「飛行機が好きだけど飛行機を作る仕事に楽しめなさを感じる」ことの説明がつきます。

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篠原さんは本を作ることがお好きです。それは本を作ることで自由に自分を表現できるからだといいます。しかし篠原さんが大学生の頃に行っていたスローウォークという活動は、生産や消費では説明できず、表現ともまたちょっと違うようです。


スローウォーク:表現と生産

大学院の留年を機に、現実逃避の行為として篠原さんが生み出したのが「スローウォーク」です。誰に見せるでもなく、ポケットウィスキーを片手に商店街を時速300Mでただただゆっくり歩く行為。なんだか周囲の時間がものすごいスピードで過ぎていくように感じたり景色もキラキラしたりして、それがとても好きで、一人でずっと続けていたのだそうです。

ある時、通っていたデザインスクールでスローウォークが取り上げられ、あいちトリエンナーレ2013で「表現」としてワークショップ形式で行うことになりました。

http://sendaischoolofdesign.jp/wp-content/uploads/2013/07/SSDe-in-AICHI.pdf

篠原さん自身、当時ワクワクしていたそうです。しかし自分の生み出した行為が目の前で「表現」として昇華された瞬間、それは篠原さんにとってのスローウォークではなくなり、強烈な違和感だけが残り、その後は活動から離れたそうです。

その違和感も、スローウォークがなんなのか自体も言葉でうまく説明できず、自分も参加者もよくわからないままに終わってしまったのです。

その経験から、自分の生み出したこのスローウォークは一体何なのだろうとより一層考えるようになり、そこに、日常で考えていた「空白と余白」が繋がった経緯もあり、今回のテーマと相なったのでございます。

空白と余白

日本にはちょっと余白が足りないのではないだろうか、というお話から始まりました。余白という言葉は現代でよく使われてます。

余白のある会話、余白のない社会、想像の余白(余地?)を残す、etc…

現代の日本は余白が少なく、表現や想像の余地が少なくなっている。しかし余白は空白がなければ生み出すことができないので、まずは空白が必要なのだということです。

篠原さんは、余白を誰もが自由に表現できる場と定義し、空白は余白を作る場であると定義しました。

シンプルに言い換えると、新しいサービス、新しいプロダクト、新しい考え方、新しい技術。それらが空白になりうるということです。


《0》がこの中で生み出され、社会に放り出された瞬間、それは空白になる。
その空白を起点ないし基点《1》とし、そこへ《2》が立ち上げることができる。《2》で埋められた場所以外が余白となる。空白がなければ余白もありえないということですね。

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スローウォークは、空白なのではないかということです。


スローウォークのことを上図に当てはめてみると、
篠原さん自身が1人で発見・実践していたスローウォークは篠原さんだけのもの《0》。スローウォークのことをデザインスクールの人が認識して個として存在する《1(ここでいう空白)》。あいちトリエンナーレで新たなスローウォークが生まれる《2》。まだ見ぬスローウォークの形・捉え方などが余白。


こういうことなのかなと思います。
篠原さんのお話と図化を参考に私なりの言葉で再解釈してみたものなので、篠原さんの言いたいことを全て汲み取れているわけではありません。篠原さん自身、ここからまた熟成されるのを待つと仰っていたので、いま形にしたものが正解というわけではないのです。

時間をかけて考え続けて、しばらくしてからまた振り返る時間を作れたらいいなあと思いました。


参加者全員で行ったワークでは、空白と余白について様々な意見が出てきました。様々な考え方や言葉に触れたことで、また少し違った景色が見えそうです。次回イベントが楽しみです。

今回のキーワード
空白と余白/福岡県/飛行機/工学科/大分県/仙台/研究/窓のない部屋/ウイスキー/ものすごくゆっくり歩く/感動/違和感/航空機関連機器の開発/自然に逆らわずして自然に勝つ/製本/好き/仕事/生産/消費/表現/スローウォーク/内的行動/あいちトリエンナーレ/現実逃避/芸術/言葉にならないこと/高い水準のデザイン/日本が目指した社会/効率化/時短/隙間を埋めようとする/ツール/空白は作ったら終わり/なんだこれは/自分だけの見方・人の見方/開放・楽しむ/自分のため・人のため/空白に余白を置いて影を落とす/まっさら・目的/新規・既存/死までの時間/自分だけの時間・何かあるところにしか生まれないもの/白紙・何か書く/空白は存在しない/没入/時間を作ること/余裕/空白と余白を行き来する/思考の求心力/日常と非日常/地面や空気・物質の間/自分の一生・ぼーっとする時間/


改めまして、ゲストの篠原さん、参加してくださった皆様、ありがとうございました!またお会いできる日を楽しみにしています✨


ここからはお知らせです。
お時間ございましたらご覧ください!


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次回イベントのお知らせ


次回イベントはかんがえよう会Vol.12です!
企画は私、TTT主宰の吉田結美です。

テーマは「アートがわからないとはどういうことか?」

現在、東京藝術大学の大学院(修士課程)にて、実技研究と理論研究に取り組んでおり、その理論研究の一部をテーマにひっぱってきました。

アートが「わからない」という言葉はよく聞きますが、「わからない」といってもいろんな種類があります。具体的にどんな感情や思考が含まれているのか?ということを参加者の皆さんと考えたいのです。

前半は吉田の考えていることをお話しして、後半は参加者の皆さんとあれこれ意見を出し合ったり、考えを深められたらいいなと思っています。


《イベント詳細》
日程  :    10月16日(土)
時間  :   14時〜16時
場所  :  Zoom(オンライン)
参加方法  :  リモート参加 or 録画視聴
定員  :  約10名
参加費  :    無料

ご参加希望の方、ご質問のある方はお気軽にコメントください!

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The Thinking Time のご紹介 

『The Thinking Time』(通称TTT)とは『「考える」と「関わる」が「私」をつくる。』をメインテーマとする、会員制オンラインプラットフォームです。2019年に始動しました。「人や物事の関わり」をテーマに作家活動をする吉田結美(よしだゆうみ)が主宰を務め、考えることと関わることを軸にしたイベントの企画や、日々の気づきを記録する「物思いブログ」の投稿などをしています。毎月の会費はTTTウェブサイトやイベントの運営、吉田結美の作家活動に充てさせていただいております。

The Thinking Time WEBサイト


《こんな人に向いています》
考えを言葉にすること、何かを表現すること、表現者と関わること、他人の価値観に触れること、答えのない問いに向き合うこと、いろんな人に出会うこと、自分と向き合うこと、吉田結美の思考を覗くこと等々に興味のある方。

《こんなことができます》
関わること、考えることをテーマにした公式イベントへの無料参加や企画、吉田結美の「物思いブログ」を読んだりコメントしたりできるほか、ブログ機能で日記を書いたり思考整理をしたり、イベント機能で自分企画のイベントを立てたり、それらを外部へ公開することもできます。ご入会希望の方は「事前登録する」からお進みください🤲

こちらからも飛べます→ https://yuumiyoshida.com/join_us


『しゃべろう会』とは 

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年4回、奇数月に開催します。「関わる」を重視したイベントです。ゲストさんを招待し、そのゲストさんの価値観やこれまでの変遷に触れ、自身の価値観を揺らします。外部参加者も募ります(参加費あり)。昨年からリモートと現地のハイブリッドで開催しております。しゃべろう会参加者で年度の終わりに顔を合わせる『もっとしゃべろう会』も開催します!

◎しゃべろう会の振り返り(TTTブログ)
Vol.1→ https://yuumiyoshida.com/blogs/131d09d3a6a9
Vol.2→ https://yuumiyoshida.com/blogs/5ce733d456d3
Vol.3・4→ https://yuumiyoshida.com/blogs/71cba309cf59
Vol.5→ https://yuumiyoshida.com/blogs/84df0309c9c9
Vol.6→ https://yuumiyoshida.com/blogs/34151f38ae2e
Vol.7→ https://yuumiyoshida.com/blogs/3094c6a08535
Vol.8→ https://yuumiyoshida.com/blogs/a43d0e2df380


『かんがえよう会』とは   

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年4回、偶数月に開催します。「考える」を重視したイベント。一つのテーマについて色々な視点で考えていきます。結論を出すというより、さらに謎を深めて終わるのが常。こちらも外部参加者を募ります(招待制)。

◎かんがえよう会の振り返り(TTTブログ)
Vol.5→ https://yuumiyoshida.com/blogs/c89fc7b87501
Vol.6→ https://yuumiyoshida.com/blogs/b57b1fa2aeaf
Vol.8→ https://yuumiyoshida.com/blogs/ec25399a784b
Vol.9→ https://yuumiyoshida.com/blogs/8e626ab51cec


このほか、TTTメンバー限定イベントとして『わたしcafé』や『ゲストさんと事前顔合わせ』なども開催しています。

『わたしcafé』は基本的に木曜日、20時半〜21時半の1時間だけオープンするオンラインカフェです。カフェというものを「他人と時間を共有しつつ自分の好きなことをしてを過ごす場」と捉え直し、それをオンラインでできないだろうかと始めたのがわたしcaféです。

お喋りしたり、読書したり、思い思いの時間を過ごします。読書が続かない人も、繋ぐことで1時間は読めるかもしれません。人と時間を共有するだけで、できることが増えていきます。

『ゲストさんと事前顔合わせ』では、しゃべろう会のゲストさんと、しゃべろう会の前にお話をできます。ゲストさんとメンバーさんが少しでも打ち解け、当日に良い空気が繋がっていけばという思いから企画しています。(ゲストさんの都合などもあるので開催できない場合もあります)


☆上記以外にも無料公開中のTTTブログもありますのでぜひご覧ください!
☆最後までご覧いただきましてありがとうございます!!




The Thinking Time主宰
吉田結美

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