簡単に情報が手に入るこの時代に、なぜ「本を読むこと」にこだわるのか①

読書が好きだ。

といっても、私が読むのはほとんど小説で、特に好きなジャンルはミステリーだ。
小説以外であれば、犯罪心理学に関する本は読むことがある。

詩集は中学生のときに銀色夏生の作品のみよく読んでいたが、自己啓発本やエッセイは全くと言っていいほど読まない。

極端な言い方をすると、私という人間が1冊の本を読み切るほど他人の思想や人生に興味がないからだ。
そういうものは、2000字程度の記事で読んだりTV番組で観た方が効率が良い。
または、気になる人がいれば自分で取材をして話を訊いた方が訊きたいことが訊ける。

では、なぜ小説が好きかというと、他人の思想や人生には興味がなくても他人の作るストーリーや言葉を使った表現には興味があるからだ。
時代の移り変わりの中で新しい言葉は生まれ続けるにせよ、実質的には有限であり、私たちはその言葉の中から自分で選択し、繋いで表現する。

映像や声の抑揚を使わず、文字だけで限られた数の言葉をどう紡いで表現していくのか。
ストーリーを楽しむと共に、その作者だけの表現を楽しむことが好きだ。

この世にある言葉全てを知っている人は存在しないだろうが、知っている言葉が多いほど表現の幅は広がる。
作者がどんな言葉を知っていて、どんな言葉を使って紡いで表現しているか。

読書をすれば、それを知ることができ、知ると同時に自分も新しい言葉を引き出しに入れることができる。

以下は2012年にアメブロに投稿した記事である。
一昨年亡くなった尊敬する祖父との思い出と共に、読書の大切さを語っている。
本と共に生きてきた私の思いは、今も当時も一緒だと確認できたので、ここに転載する。

私は、なぜ、本を読むのか。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

札幌に住んでいる母と福島に住んでいる祖父(母の父)が、
毎日メールでやりとりをしています。

祖父は博識で特に歴史に関しての知識はものすごく、
会うたびに歴史の話をしてくれます。
私は歴史が苦手なので、
せっかく聞いたいい話もすぐ忘れてしまうんですけどね!笑

また、仕事の関係もあるのでしょうが、草木の知識も豊富です。

そんな祖父のメールを時々母から見せてもらうと、
読めば頭の中に思い浮かぶような季節感のある風景の描写、
ともすれば、人が見落としがちな日常にある小さいけど素敵な出来事、
めまぐるしく変わっていく世界や日本の情勢についてなど、
それはそれは表現力豊かな素晴らしい文章で綴られており、
娘に送ったただのメールとは思えない内容なのです。

84歳になっても、未だ衰えぬ祖父に対し
昔から抱く尊敬の気持ちが益々強くなりました。

その素晴らしさを伝えるために、
祖父のメールをみなさんにも読んでもらいたいくらいです(笑)

***

そんな祖父は、常に本を読んでいます。

何年も会えていない祖父を思い出そうとするとき、
私の中の祖父はその手に必ず本を持っています。

そして、私にもよく本を買ってくれました。
「本は知識を深めることができるから」とたくさん買ってくれました。
母が「そんなに買ってあげなくてもいいよ!」と止めるくらいです(笑)

実は、私も小さな頃から毎日必ず本を読んでいたので、
祖父に新しい本を買ってもらえることをとても楽しみにしていました。

祖父が博識な理由のひとつは、やはり読書だと思います。
実際「本で読んだんだけどね、」と前置きして私に教えてくれたことが
たくさんありましたし、
私自身も大人になってから読書の大切さを感じているからです。

日々過ごす中で何気なく出てくる語彙も、
もちろん他の方法で覚えたものもありますが
本を読んでいて覚えたものが多いと感じます。

本の中で知らない単語があれば辞書で調べたり、
また調べることができないときは前後の文章を読んでみて
意味を推測したりと、
読み進めていくうちにだんだん知識が増えていきます。

そう、本のいいところは自分で戻ったり進んだりして、
きちんと理解するまで向き合えるところ、
そして前後の文脈などからその語彙の使い方が
自然とわかるところです。

母が祖父のメールに書かれていた「森羅万象(しんらばんしょう)」の意味がわからない
と言っていましたが、そんなの本を読んでいたら普通に出てくるよ・・・と
私は思いました(笑)
(母も本を読みますし頭もいいのですが、なぜか知らなかったみたいで笑)

ただ、これも祖父のメールに書かれていた「流汗淋漓(りゅうかんりんり)」
という言葉を私は知らなかったので、早速調べました。

“流れる汗がしたたり落ちる様子”だそうです。

祖父は32℃あった日の午後のことを
「流汗淋漓とまではいかなくとも汗が流れます」と書いていました。

別に難しい言葉を使える人がいい、と言いたいわけじゃないんです。

ただ、言葉をたくさん知っていると、表現するときに自分の知識の中から
より相応しい言葉を見つけることができて楽しいと思うんです。

***

私が読書好きになったのは両親のおかげです。
生まれてすぐ、まだ私が言葉も話せない頃から
母が絵本の読み聞かせをしてくれました。

そして、少し大きくなると図書館に連れて行ってくれました。
山本家は4人家族なので、図書カードは4枚ありました。
ひとり4冊まで借りることができるので、4人だと合計16冊。

そのうち4~5冊を母が、残りは全部私が借りていました。

「今日は、祐香は○冊借りていいよ!」と母から割り当てられ、
母は大人用の本棚、私は子供用の本棚に分かれて好きな本を探すんです。
そして借りて家に帰るとすぐに読み始め、
読み終わったらまた図書館に連れて行ってもらいます。

これを何年も続けてくれた母には、本当に感謝です。
おかげで、社会に出てから相手の言った言葉の意味がわからない…
なんてことはめったにありませんからね。

私も将来子供ができたら、本を読む習慣をつけさせてあげたいな。

***

ここ数年は、本を読む機会が減ってしまっていたので
脳の劣化を感じています…

東京に来てからしばらく
電車で長距離移動をする機会があまりなかったのと、
少し遠いところに行っても座れなかったり混んでいたりと、
移動中に気軽に本を読みづらくなってしまいました。

でも、最近は家でも時間を見つけて読むようにしているので、
これからも積ん読を続けて新しい知識をどんどん増やしていきたいです。

ちなみに今読んでいる本は池波正太郎「その男」です。

もちろん本以外にもテレビ・ラジオ・いろいろな方と話すこと、など
様々な方法で知識を増やしていきたいです。

ただ見るだけ、聴くだけの受動的だと忘れやすいですが、
自分で意識して調べると頭の中にインプットされやすい。
今の時代はインターネットもありますし、
せっかく覚えた言葉を忘れないように
一度わざとネット検索してみるのもいいですよね。

久しぶりに長々と真面目な記事を書いてしまいました。

ではでは。


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