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№529 フィットネスクラブの入会特典

前回の記事では、フィットネスクラブにとって、新春(1月)は多くの新規入会者を獲得できる時期と書きました。ですが、自然に増える訳ではありません。この見込める時期に効率良く入会を獲得するために各クラブで広告費の投下をしています。チラシ広告、WEB広告、SNS広告、TV・CMなど様々だと思います。

特にチョコZAPのCMは、見ない日がない!というぐらい頻繁に目にします。戦略を立ててる部署は、1月がいかに大切なのかを理解していると思われます。しかも月会費の割引はあまりしておらず、ノベルティ中心の特典です。そもそも会費が安価なので割引く必要がないということもあるかもしれません。

1月は消費者の健康意識だったり、何かをスタートさせるという思いが高い月です。それはイコール、フィットネスへの参加意識が高い人達が多くなるということです。そこへ大胆な会費割引をするという戦略も一定の理解はできますが、一方ではそんなことをしなくても入会してくれる人達が多いというのも事実ではないでしょうか?

例えば、Aクラブの1月入会目標が50名だとします。会費単価は7,000円、単純計算で350,000円の会費収入が見込めます。これを新春入会特典として1ヶ月会費無料にします。すると会費収入は0円です。その代わりに「4ヶ月在籍してください」という条件だとすると、350,000円×3ヶ月=1,050,000円となります。
次に会費割引無しの4ヶ月間の会費収入シミュレーションしてみます。私の経験上、2ヶ月在籍率95%、3ヶ月在籍率90%、4ヶ月在籍率80%で計算してみます。

1ヶ月目:50名×7,000円=350,000円
2ヶ月目:47名×7,000円=329,000円
3ヶ月目:45名×7,000円=315,000円
4ヶ月目:40名×7,000円=280,000円
合計  :1,274,000円

その差は+224,000円です。この結果から会費割引をすると約10名の上積みが必要な計算になります。

分かりやすく単純計算にしておりますが、こういったことを議論しながら広告戦略や特典決定をしている会社・クラブは意外に少ないのです。広告とは自分達の価値を顧客に認知してもらう役割がありますが、その中の特典はその価値を今ならこういう条件で体験できます!という意味です。今のフィットネス業界は本来の価値指標が全くない中で、単なる特典(割引)合戦になっているように感じます。価値指標がなく、なんの根拠及び論理性が議論されずに、そのまま施策を実行する現場はますます疲弊していくでしょう。

この広告という業務は、多くのクラブで「広告代理店」を活用しているのが現状です。企画提案、チラシデザイン、印刷、WEB・SNS広告運用などがあげられます。その背景には「専門的なことは専門家に任した方がよい」、「今までもそうだったから」というこれまでの流れで、特に何も疑問を持たずに進めていることがほとんどです。

少し前の「大量生産・大量消費」、あるいはデジタル化が進む前の時代であれば、それで良かったのかもしれませんが、今は情報のスピード、量、質やデジタル機器ともに大きく変わっています。そういった変化があったのであれば、改めて自分達でする事と外部の協力を得る事の棚卸しが必要なのではないでしょうか?

今の時代、デザインは自分達で安価に制作することも可能ですし、代理店に発注するよりクオリティが高いフリーランスもたくさんいます。また、印刷においてはネットプリントを活用すると印刷会社に発注するよりだいぶ安価です。WEB・SNS広告についても同様で、自分達で運用することができないと思っている方が多いのですが、教育をしっかり受ければ自社運用が可能です。

ここでみなさんが思うことは、「そんなことをしている時間はない」「指導に注力したい」みたいなことだと思います。その考えは分かりますが、時代は変わっています。広告は自社主導でやるべきで代理店任せにするべきではないというのが私の考えです。もう広告は集客するだけの役割ではなく、ブランド構築に大きく関わっています。それを外注することは自社ブランドに誇りをもっていないことを示します。もし、外注するのであれば、余程の信頼関係が必要だと思います。

流行っている言葉である「マーケティング」や「ブランディング」・・・企画及び運用をサポートします!という会社も多くありますが、足りない部分をサポートしてもらうことは必要だと思いますが、あくまでも自社の根幹に関わることですので、それを任せっきりにすることは本質的ではないと感じます。

改めて自社あるいは自クラブの業務整理をしてみてはいかがでしょうか?

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