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オレグラッセを夜にこぼして
閉園まであと1時間足らずのテーマパークの夜空いっぱいに花が咲いていた。
お気に入りのワンピースを着て、いつものように大好きな彼のお家までの道、散っていった花火から道中へと視線をうつすと、前にいた二人組の女性が声をかけてくれた。
どうやら売り切れてしまったカチューシャに気づいたようで、実物が見れたと楽しそうだ。
そのカチューシャに合わせてきたんやね、と私のワンピースに気づいた彼女が関西訛りの声
ミネルヴァのエプロン
レベッカブティック。原宿に一店舗だけある洋服屋さんで、ワンピースが得意なブランド。
私がレベッカブティックを知ったのは大学生の冬、国家試験勉強真っ只中。勉強に飽きた私はスマホでなにかを検索していた。そこでたまたま目に止まったのは、一つのワンピースをフューチャーした写真。
「面倒見のいいエプロンチックワンピース」
投稿文にはそう書かれ、二人の女性が色違いのそれを纏っていた。
これを着てあそこに行き
日常と、あの日の温度差
あの日の空は鼠色の雲が覆っていた。今にも雪が降りだしそう。教室の中は暖房がきいている割には足元が寒くて、セーラー服の下で足を組み替えたりしていた。
黒板には古典の先生の文字が並んでいる。よく声の通る先生が何かをしゃべっていた気がする。
突然聞こえてきたのは、クラスの中でかわいらしい女の子の携帯電話の音だった。
緊急地震速報。
けたたましい音のそれは、授業を止めるにはふさわしすぎた。
その直後、揺