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世界「失敗」製品図鑑  「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道

⭐️本書の要点

✅要点1.

アマゾンはスマートフォン「ファイアフォン」で、「買い物体験の向上」を実現しようとした。しかし、ユーザーのニーズとのズレにより、撤退を余儀なくされた。

✅要点2.

ファーストリテイリングの野菜事業「スキップ」は、無駄を省いて利益を出す、ユニクロの流通構造を当てはめて展開しようとしたが、失敗。敗因は、「顧客起点」の考え方の欠如にある。

✅要点3.

任天堂のゲーム機「WiiU」はソフト製作業者を巻き込めず、孤立を招いた。

✅要点4.

セブン-イレブンの「セブンペイ」は、本来施すべきセキュリティ対策を行わず、不正利用が多発した。


すごい会社も派手に「失敗」していた!

アップル、グーグル、アマゾン、任天堂、ソニー、トヨタ、etc……グローバル企業20社の「失敗」事例をイラストと共に徹底解説。ベストセラー『世界「倒産」図鑑』の著者が贈る、トップ企業の「失敗」をあなたの「成功」に変えるケーススタディ集。


『世界失敗製品図鑑』20事例のラインナップ
Case01 アマゾン/ファイアフォン 自社が描いた将来像を重視しすぎて失敗
Case02 フォード/エドセル 社内的な正しさを追求して失敗
Case03 コカ・コーラ/ニュー・コーク 適切なコミュニケーションができず失敗
Case04 フェイスブック/フェイスブック ホーム 無理なチャレンジを仕掛けて失敗
Case05 グーグル/グーグルプラス 企業側の戦略を優先して失敗
Case06 ファーストリテイリング/スキップ 「プロダクトのレンズ」を外せず失敗
Case07 マイクロソフト/ウィンドウズフォン 初期段階の出遅れを挽回できず失敗
Case08 任天堂/Wii U 理想を追求しすぎて仲間を作れず失敗
Case09 NTTドコモ/NOTTV 成功体験にとらわれて失敗
Case10 ナイキ/ゴルフ用具事業 強みを活かせない隣接市場に参入して失敗
Case11 東芝/HD DVD 最初のシナリオを修正できず失敗
Case12 セガ・エンタープライゼス/ドリームキャスト

Case13 セブン-イレブン・ジャパン/セブンペイ  「自社だけが特別」思考に陥って失敗
Case14 ソニー/AIBO 経営陣の事業尺度に合わず失敗
Case15 ネットフリックス/クイックスター 反対意見が言いにくい空気に気づけず失敗
Case16 サムスングループ/サムスン自動車 経済危機に見舞われて失敗
Case17 ゼネラル・エレクトリック/プレディックス 顧客の準備が整わず悪循環に突入して失敗
Case18 アップル/ニュートン 主要事業の不調で無理な勝負を迫られ失敗
Case19 モトローラ/イリジウム 「課題の賞味期限」が見極め困難に陥って失敗
Case20 トヨタ自動車/パブリカ 高度経済成長期のスピードについていけず失敗

著者

⭐️荒木博之(あらきひろゆき)

株式会社学びデザイン代表取締役社長

Voicy「荒木博之のbook cafe」毎朝放送中。


✅内容紹介

「失敗は成功の母」という言葉があるように、失敗は憂うべきものではなく、次の「成功」へのステップである。本書は『世界「倒産」図鑑』の著者である荒木博行氏の最新作だ。


前著

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では、さまざまな事情から倒産に至ってしまった企業の「倒産への軌跡と教訓」を描いたが、今回は既存企業による新製品や新規事業の「失敗」を扱う。

目次を見ると、かつて目や耳にした記憶はあるが「今はどうなったの?」という、懐かしの商品やサービスがずらりと並ぶ。登場するのは、アマゾン、マイクロソフト、ユニクロ、任天堂……と、名だたるグローバル企業ばかり。本書を読むと、華々しい業績を上げているトップ企業も、迷い悩みながら進んできたことがわかる。

新しいことを始めるとき、私たちはつい「成功モデル」を追ってしまう。過去に売れたものや成功例を探し、踏襲しようとする。

一方、本書で紹介する「失敗」事例は、いずれも「攻めた結果」の失敗だ。さまざまな課題を抱える中、それを打開しようと知恵を絞り、果敢に攻めた結果「だめだった」ものである。だからこそ、ここに登場する企業は失敗を失敗で終わらせず、その後に見事に生かしている。

「チャレンジ」と「失敗」は表裏一体であり、切り離すことはできない。彼らがトップ企業である所以は、チャレンジと失敗の反芻により得た学びを生かし、次の成功につなげているからである。

要約では全20事例のうち、5つの事例を紹介する。失敗から学べることは多い。本書を「成功」に導くためのテキストとして、自社や所属部署に活用してみてはいかがだろうか。

「ユーザー視点を学ぶ」

Amazonの「ファイアフォン」

iPhoneやアンドロイドベースのスマートフォンが乱立していた2014年。競争の激しい市場に遅れて参入してきたのが、アマゾンのファイアフォン(Fire Phone)である。このスマートフォンの特徴は、「電話もできる携帯レジ端末」と言わしめるほどの「買い物体験の向上」にある。

📸カメラでDVDや書籍の表紙を撮影したり、音楽をファイアフォンに聞かせたりするだけで、アマゾンで即購入できる「Firefly(ファイアフライ)」という機能が搭載されていた。

🛍ネットショッピングは便利になったが、検索作業やアプリの横断などの「わずかな障壁」が存在する。この障壁を完全に取り去ることを目指して作られたのが、アマゾンのファイアフォンだ。

自ら描いた未来図を重視しすぎて失敗

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Amazonの期待とは裏腹に、市場の反応は否定的であった。発売2ヶ月後にはファイアフォンの価格は199ドルから99セント(100円程度)まで引き下げられたうえ、アマゾンプライム1年分(99ドル)は引き続き特典として提供されることになった。それでもなお、消費者の反応はいまひとつであった。

時を同じくしてアップルのiPhone6が発売となり、ファイアフォン人気は急速に下火になる。発売3ヶ月の段階で数十万台のファイアフォンが売れ残っており、翌2015年9月、Amazonはファイアフォンの販売中止を発表した。

ファイアフォンの敗因は、ユーザーがスマートフォンに求めていたものとのズレにある。

「買い物をよりシームレスにする」「世の中全てをショールーム化する」というアマゾンの野望は、ユーザーに受け入れられなかった。

ユーザーにとっての「買い物」は、スマートフォンでできることの一部分でしかなく、Fireflyのような機能は「あれば良い」程度のものだったのだ。

アマゾンは「ユーザー視点で見た現在」を疎かにしたまま、「自社視点で描いた未来」に重心をかけすぎていた。しかし、時に「自社視点で描いた未来」がイノベーションを生み出すことも事実である。 

ファイアフォンの試みは、現在と未来、ユーザーと自社という対立における「バランス感覚」の重要さを教えてくれる。

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