見出し画像

恋の終わる音③

それからというものの、私は何人もの女性と

中身のない、冷めた夜を過ごした。

それを繰り返すことで、話し方も上手くなった気がする。


相手の言いたいこと、


密かに思っていること、


慰めてほしいこと。


人は様々な不安や希望を胸に抱いている。


私が、希望より先に不安を持ってきたのは偶々ではない。

胸に抱くものの大半は、


不安であることで間違いはないから。


こう表すと人は不安に塗れ、


全く希望のないつまらない人生を歩まされてると勘違いしそうだ。


だが、それは違う。


生きることに不安を持ち、


ネガティヴな感情を持ち、


初めて希望がそこから生まれるのだと私は思う。

人生が全て恵まれていれば、


なにも希望など生まれないだろう。


自分が至らない、足りない、満たないからこそ、


あるべき理想を求め踠き苦しむ。


その行為こそが希望だ。


その時の私に当てはめれば、


愛を欲し愛される自分という理想を求めて、


踠いていたということ。


方法は千差万別であるが故、


私は未熟ながらそのようなやり方しか思いつかなかった。


その回り道も、今思えば無駄ではなかったのだと思う。

その時は不要に思えたことも、


後々役に立つことがたくさんある。


そう思いたい。

さて、永遠に終わらないかと思えたこの苦しみに一縷の光が刺した。それは夏明けの出来事。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?