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哲学

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2022年4月の記事一覧

西田幾多郎の純粋経験(6)
・純粋経験の統一作用の原動力は本人の意志にある
・一人ひとりの精神は、奥底では人と分離しない統一状態を求めている
・人にはこの統合への過程として、直観が与えられている
・純粋経験は主観と客観の二元論ではない無分別智という、意識の究極的な状態も指している

西田幾多郎の純粋経験(5)
・純粋経験の体系は自ら発展する力を具えている
・判断や意味が生じていないが、意志による統一作用が働いている間は純粋経験を保っている
・それはありふれた無意識的な状態も指し、必死に断岸を登る時、音楽家が熟練した曲を奏する時のような没入状態も含まれる

西田幾多郎の純粋経験(4)
・自分が感じたままの意識状態をそのまま経験した時はまだ主観も客観もない
・知識とその対象はまだ未分化で合一している
・表裏一体である主観と客観の統一が経験の最も素な状態
・過去の思い出から現れたイメージも直接的な現在の意識だから、純粋経験に含まれる

西田幾多郎の純粋経験(3)
・色を見たり、音を聞く瞬間にはただ色が見え、音が聞こえる事実だけが存在している
・まだこれが外界の作用であると主観的に考えていない
・知覚しているのは自分だとも考えず、何色だとかも判断しない
・与えられた経験に理性的思考を加える前の状態を純粋経験という

西田幾多郎の純粋経験(2)
・ただ、赤子の未意識的な統一状態もあれば、芸術・宗教的直観のような超意識的な統一状態もある
・人は大なり小なり、経験そのものを素直に受け止めず、自分の思想を交えて起きた事実のあり方を歪めている
・そこで西田は素の経験を純粋経験と呼んで解明しようとした

西田幾多郎の純粋経験(1)
・純粋経験とは普通の経験と違い、自分の分析や解釈の加わっていない原初的な経験で、まだ主観と客観に分かれていない意識の統一的状態を指す
・事実を事実としてそのまま受け取ることであり、事実を自分の都合で意味づけしようとしないでありのままに知る経験といえる