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経営者になる~その時の記憶~

はじめましての方とお会いすると、
私が起業した時のことをご質問いただくことがある。
先日の投稿に対しても、
「最初は何で起業されたんですか?」
「起業されたのはどういったきっかけですか?」
などと私の起業時についていろいろと反響があった。

いろんなことをしてきたので、
何から始まって、何を経て今に至るのか、興味を持ってくださる方が割と多いようだ。

ミレニアムと言われた2000年。
私は20代後半に突入したばかりで、(株)Xavelに入社し、ガールズウォーカーを立ち上げた。
それからプロデューサーとしてたくさんの経験をさせていただいた。

今は東京ガールズコレクションでご存知の方も多いだろうか。
ガールズウォーカーは、ケータイ(今で言う「ガラケー」)で簡単にファッションを購入できるサイトとして、当時大変注目を集めた。

実績を積み、各方面に名前が知られるようになって、どこへ行っても「ガールズウォーカーのプロデューサー」として紹介された。

私にとっての「起業」は、そこからの独立だった。

Xavel在籍中にで立ち上げたケータイサイトの運営や、ECサイトなどの制作を主に、株式会社Style1として動き出した。

起業したことについて一番興味を持っていただいているのは
「どういう心境で独立に至ったのか」
「不安はなかったのか。困ったことはなかったのか。」
という点のようなので、今回はそのことについてお話する。

まずどういう心境で独立したかという点については、とにかく自分でやってみたかったというのがひとつとしてある。
ガールズウォーカーをやりながらも、ガールズウォーカーを越える女性メディアを創りたいという想いが自分の中で膨らんでいた。
組織の一員として誰かの下でやっている以上は、自分の想いや考えだけでは進まないことももちろんあり、
やはり自分の思い通りにしたいのであれば、起業するのがいいのではないかという考えに至った。
今思えば、冷静ではないところもあったかもしれない。
でも起業することに対して、迷いはなかった。ずっといつかは起業したいという想いがあったということも、ひとつにはあるだろう。

不安もなかった。

なぜか、といわれたら、
自分自身に、絶対的自信があったからだ。
何に対する自信なのかと言えば、それはケータイに対する圧倒的ユーザー目線。
当時私は利用者としてケータイに親しみ、ケータイを使い倒していた。
簡単に言えば、ケータイとそこにあるメディアやコンテンツが大好きだった。
だからこのメディアには何が足りていないのか、ここを変えればもっと便利になるのに、こんな情報があればみんな興味を持つんじゃないか、そういう視点を常に持って、四六時中ケータイを眺めていた。
それを活かすことで、ガールズウォーカーのプロデューサーとしても一定の成果を出すことができたのだと自負していた。
もちろんケータイサイトという業界自体、発展途上だったこともあるし、まだまだやれることが多かったということもあるが、そういった時流に乗るということも含め、自分に自信があった。
起業しても、この圧倒的ユーザー目線があれば、必ずうまくいく。
そう思っていたので、迷うことはなかった。
むしろ自分の力を試してみたい気持ちの方が大きかった。

そんな自信だけが安心材料だったのかと言われたら、もちろんそうではない。
どんなに自信があったとて、うまくいくという保障があるわけではないのだから、もしうまくいかなかったら?を考えることは、当然あった。
だが、物理的にも安心材料が集まっていた。

例えば、個人で運営していたケータイサイトが、既に収益化できていた。
だから全く何もないところから始めて、これから何かを作っていく、という状態ではなかった。
これは起業に踏み出すに際し、背中を押すに十分な、大きな物理的安心材料だった。

また当時一緒にやろうと集まってくれたメンバーは、それぞれ別に請け負っている仕事も持っている人たちで、
それだけ力もある人たちだったともいえるし、
新しい会社に期待はすれど、依存度の低い状態だった。
それは新米経営者として、ありがたい状態だった。

つまり、不安を打ち消せるような安心材料がそろえられていたし、自分の力量にも、集まってくれたメンバーにも自信を持っていた。
だから、スタート時は迷いなく漕ぎ出すことができた。

時は渋谷がまだ、ビットバレーと呼ばれた時代。
例にもれず、オフィスは渋谷に設けた。
まだまだIT黎明期だった。面白いことだらけだったなと振り返る。

起業してからも、当初の目論見通り、
最初から持っていたサイトを運営したり、売却することに成功するなど、
概ね順調ではあった。
もちろんそれがずっと続いたわけではないけれど。
それはまた、別の機会に。

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