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初めて起業した会社が空中分解した件を、経営者20年目の今振り返ってみる。(前)

私が最初に起業した会社、株式会社Style1がどうなったのかと興味を持ってくださる方が多いので、今日はその話をしたいと思う。

一言でいえば、Style1は空中分解してしまった。
空中分解したとはいえ、最終的には売却し、今も会社は存続している。だがそこに至るまでには紆余曲折があった。その原因はいろいろあったとは思うが、一番大きな原因はStyle1の創業時における株式の持分にあった。

◆共同代表との株の持分割合

Style1は私がまだ株式会社Xavel(ゼイヴェル)に在籍している時、自分達で作ったメディアを運営する会社を作りたいという私の熱意に同僚が賛同し、一緒にやろう!と2人で創業した。当時私はガールズウォーカーのプロデューサーであり、コンテンツ部、システム部、広告部の統括責任者でもあった。彼はショッピング部の統括部長であった。新しく創業した会社では、事業については私、彼はファイナンス・会計等の管理側を担当するということになった。2人ともまだXavel社員だったこともあり、当初は別に代表を立てスタートしたが、Xavelを辞めた時点で彼と私が共同代表となった。
株の配分は彼と私で45%ずつの同率。
本業との片手間でやりたいことだけに向かって始めたこの事業は当時、上場など全く考慮にも入れておらず、2人同率の株を持つこととしてしまった。これが後に大問題となった。

もし、当時の私にアドバイスすることができるのならば、
「この規模の会社であれば、事業のトップである君が100%に近い株式を保有したほうがいい」と伝えたい。

財務的なものを外注することはできても、業績を創ることに関して外注は不可能なのだ。責任とリーダーシップをとり、社員としっかり向き合う姿勢を示すという意味でも、業績を創る立場である事業のトップが株を100%保有していた方がよい。100%ではないにしても、3分の2以上の株を私が持ち、権利行使できるようにすべきだった。

◆Style1は成長していったが、その時世間は…

会社の滑り出しは順調で、既にあったメディアのおかげで月間400~500万円程度の収益を確保できていた。安定的な収益を得ることができる中でも、少しずつ事業を拡げて行く努力を続けているうちに、通販サイトの運営代行の仕事が入るようになり、ママスタジアム(自社メディア)に広告がつき、広告管理の仕事も始まった。他にはWEBサイト制作やECオフィシャルサイトの運営代行等も行い、売上は右肩上がりであった。

この順調な流れに乗って、アパレル通販サイトを運営代行していた株式会社Grasを買収することになった。Style1では持っていなかった株式会社Grasの通販のノウハウとECのシステム、この強みを内製化するための買収だった。当時私は「会社は着実に成長している、やりたいことに近づいている」という実感があった。

「やりたいこと」というのは、こちらの投稿にも書いた通り、ガールズウォーカーを越える女性メディアを創ることだ。収益は右肩上がり、会社経営はうまくいっていたものの、その目標はまだ到達できていなかった。

折しもライブドアショックが起きた。2006年のことだ。
会社は「サンドリヨン」というヘアカタログサイトを創り、コンテンツも作りこんで、さあこれからという時期だった。

株価が大幅に下がり、シンプルな表現で大損となった。潤沢だと思っていた資金が瞬く間に目減りして、どんどん雲行きが怪しくなっていった。本当にその時まで比較的ゆるく捉えていた会社経営が、今本気でやらないとまずい…と気を引き締めなければならない状況となった。
こんな状況となって、資金調達のために上場を目指そうという話が浮上する。当時「上場」というワードが流行りでもあった。

◆「上場」を考えた時、直面した問題。

上場を目指すとなると、当然「株」を意識しなくてはならなくなる。共同代表と「同率株主」である事実、それは私一人で全てを決定し、動かすことができないということなのだ。
同じ志をもって会社を立ち上げた創業メンバー。創業した会社を存続させ、社員を守り、ガールズウォーカーを越える女性メディアを創るという目標を達成するという「目指すべき方向」は同じなのではないか、と思うかもしれない。常にそのコンセンサスが取れていれば、何も問題は起きないのではないかとも感じるかもしれない。
しかし、一時同じゴールをイメージしていたしても、そのゴールへたどり着くための道筋は人それぞれ。そしてすべてが筋書き通りには行かない。それ以前に、この時すでに予想外の思いがけない事態が進行していた。まさか....と思うことが相次いだ。

この続きは少し長くなりそうなので、また次週に書き残したい。
共同代表で起業をしている方、これから共同代表で起業を検討している方へ参考となる内容であると思う。
次週もぜひ、楽しみに読んでいただきたい。


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