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京都市財政危機から学ぶ自治体財政の基本

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財政破綻寸前までいった京都市財政の建て直しの為、提言を繰り返す中で得た知識を全国の新人議員や新人公務員、地方財政に興味がある一般有権者に向けて発信しています。
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記事一覧

北陸新幹線延伸 ~小浜・京都ルートの自治体の財政負担~

はじめに 令和6年の京都市長選挙でも大きな争点となった北陸新幹線の延伸事業。直近の報道で…

臨時財政対策債返済原資の流用 ~決算書に載らない膨大な簿外負債~

はじめに 京都市は、平成27年度まで、臨時財政対策債の返済原資の先食い・流用を行ってきま…

税率の課税自主権 ~京都市は住民税が高いは本当か~

はじめに 「京都市は財政が厳しいから住民税(個人市民税)が高い」という声を市民からいただ…

一般財源と特定財源 ~京都市は臨時交付金がなくても黒字を維持できるか~

はじめに コロナ禍と物価高騰という大変厳しい経済環境ゆえに、地方創生臨時交付金という多額…

ふるさと納税 ~京都のポテンシャルが顕在化~

はじめに ふるさと納税による財源流出額ワースト10位の常連だった京都市は、この数年間の間に…

経営健全化出資債 ~京都市財政を苦しめる市営地下鉄~

はじめに 京都市の財政危機の一因としてよく言われるのが、建設がバブル期と重なった市営地下…

寺社の拝観料に課税する古都税 ~古都税で財政健全化は可能か~

はじめに 京都では「古都税を復活させれば、京都市の財政問題は解決する」と、まことしやかに言う人が多くいます。 寺社の拝観料に課税する古都税。古都税の課題は何か、古都税で京都市の財政問題は本当に解決できるのかを知って頂きたいと思います。 古都税(古都保存協力税)の歴史 古都税(古都保存協力税)は、参拝者から徴収する税を寺社の拝観料に上乗せする形で課税する法定外の地方税ですが、昭和末期の古都税論争の以前に、文観税(文化観光施設税)と文保税(文化保護特別税)の二度、同様の税

地方税と地方交付税 ~京都市の財政危機の根本原因は税収の多寡ではない~

はじめに 京都市の財政危機に関する報道では、京都市の公表のストーリーに合わせて、さも財政…

財政調整基金 ~京都市がコロナ禍で支援が手薄になった原因~

はじめに 「財政調整基金」は自治体の貯金と言われています。コロナ禍に突入したタイミングで…

行政改革推進債がもたらす負の遺産 ~行革とは名前ばかりの悪手~

はじめに 京都市が、赤字の埋め合わせである「特別の財源対策」の1つとして長年続けてきたの…

減債基金の取崩しという禁じ手 ~京都市の財政破綻危機に直結した悪手~

はじめに 京都市の財政破綻危機に直結した悪手が、「減債(公債償還)基金の取崩し」です。 …

税の徴収率の落とし穴 ~捕捉できていない税~

はじめに 京都市の令和3年度の市税徴収率は99%と極めて高い数値です。全国的に見ても、令和2…

地方交付税と臨時財政対策債 ~京都市の財政危機のもう1つの理由~

はじめに 京都市の財政危機の原因が京都市の財政運営にあるのは間違いありませんが、国の制度…

地方債のルール ~京都市の借金が減らない理由~

はじめに 京都市の財政破綻の危機が取り沙汰されて以来、「地方債は無限に発行できるという趣旨の誤解」をよく目にします。これは地方債のルールを知らないための間違いです。 また、同じような課題を抱えているはずの、京都市以外の政令指定都市が漏れなく財務状況が改善しているのに、京都市が改善できない現状を分析した結果、地方債のルールに辿り着きました。 今回は、地方債のルールについて、皆さんにも知って頂きたいと思います。 地方債はいくらでも発行できるわけではない 国が発行している