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精神分析をして心の問題を扱っていると必ず感じることがあります。

それは「人の体の中には鬼がいる」ということです。


そもそも鬼とはなんでしょうか?

ネット辞書からの引用では

「空想上の霊怪。醜悪な形相と自在な怪力によって人畜に危害を与える怪物と考えられた」

とあります。

私の解釈では「人そのもの」と考えています。

人の心の中にある二面性の一つを言語化した表現であり

陰陽でいうならば、陰の部分であると思います。

太陽が光り輝くほど、影が強くなるように

人の心も光り輝いている人ほど、その心には影=陰=鬼が宿る

と考えています。


私の仕事で言うならば、

治してほしいと思ってくる人ほど

治ってほしくないという「鬼の心」があり、

治しますという人ほど、治しませんという「鬼の心」があり、

世間でいうならば

耳障りのよい言葉を言えば言うほど

その心には「醜悪な言葉を宿す鬼の心」があり、

世間体に都合の良いことを言えば言うほど

その心には「自己保身をする鬼の心」があります。


鬼を心に宿すことは善悪ではありません。

人の心には必ず鬼の心が私にも誰にでも存在していますが

問題はその鬼の心を宿していることを自覚していないことです。

無自覚であればあるほど

その心の鬼の影響は病気や症状にも現れ、社会にも影響をします。

ですから社会の問題の根本は

社会問題を扱う人そのものが社会の問題から目をそらしているということです。


誰にでも鬼の心=陰を宿しています。

それを自覚するところから

自分の問題、自分の家族の問題、社会の問題が変わっていく原点になる

と思います。


【大森裕介】

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