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香川真司「心が震えるか、否か。」を通して届けたい想いとは?


「幸いにも相談に乗ってくれる人はいたけど、あのようなケースでどうすべきかについてのアドバイスをくれる人はいなかった」

「心が震えるか、否か。」の取材のなかで、香川選手がそう語ったことがありました。2014年の8月にマンチェスター・ユナイテッドからボルシア・ドルトムントへの移籍直前の時期について振り返っていたときの話です。

最終的に、あのときは自分の頭で考え、後悔のない決断としてドルトムントへの復帰を選びました(参考までに復帰初戦のレポートです↓)。


長年にわたって世界のトップ10に君臨し続けたマンチェスター・ユナイテッドのようなクラブの環境を知っている先輩が、当時の日本には一人もいなかったから、その立場にたってアドバイスをしてくれる人もいなかったのです。

もちろん、香川選手がリスペクトできる先輩は多くいました(当時の香川選手の置かれた状況については、日本のプロサッカー選手がヨーロッパで活躍する道を切り開いた三浦知良選手が本書のなかで語ってくれています)。

当時のことを振り返ってもらうタイミングで、香川選手にこんな質問をしました。

「将来、面識はないけど、自分同じような立場に置かれた若手が出てきたとします。その選手が、伝手(つて)をたどって、香川選手の話を聞きたいといってきたらどうしますか?」

香川選手は即答しました。

「自分の連絡先も教えるし、相談に乗ります。当然でしょう!」

サッカー選手の書籍としては取材時間も、文字量もおそらく史上最多と言える本をまとめる目的の一つは、この言葉にありました。


プロサッカー選手をはじめとした、トップアスリートを目指す人たちの参考になるようなものにしたいという想いがこの本には込められているのです。


だから、これまでの経験を飾らずに記す必要がありました。

これはアスリートの本にありがちな、成功体験だけをまとめたものではありません。失敗談や反省の弁がおしげもなく披露されているのは、未来のある人たちの参考になるようにと願っているからです。

成功経験から学べることもたくさんありますが、ひょっとしたらうまくいかなった経験からのほうが学べることは多いかもしれません。


そして、もう一つ。

この本が読む人の明日の活力になりえる要素があります。これは誰もが抱える永遠のテーマとつながっています。

おそらく、多くの人がこんな疑問を抱いたことがあると思います。

「僕は(私は)こんなに頑張っているのに、どうして評価してもらえないのだろう?」

自主練を頑張っているのに部活の先生が試合に使ってくれないこともあるでしょう。会社の新規プロジェクトのために、必死で勉強をして、プレゼン用の資料も作ったのに、全く評価されないこともあるかもしれません。

もっと身近なことでも良いです。

ガールフレンドに「カッコよくなったね」と言ってもらえるように、必死にダイエットと筋トレに励んだのに、ノーリアクションだったり。愛する家族のために、それまで以上に家事をするようになったのに、感謝されるどころか、ほとんど気づいてもらえないなんてことも……。

さらなる喜びを得るための努力も、社業を通して社会に貢献することも、目の前にいる人を幸せにすることも、尊いものです。

でも、誰かに評価されないなかで、そうした努力を続けるのは結構、シンドイですよね。


他人から評価してもらえなくとも、心を乱さずに努力を続けるための考え方と生き方。

その方法論が、この本にはつまっています。


もちろん、日本代表で10番を背負った選手だからこそ味わった体験も、事細かに記されています。オトナたちの様々な思惑が渦巻く、ヨーロッパの移籍市場で味わった興奮するような出来事も、悔しさで頭が真っ白になるような話も書かれています。それを読んでも楽しい。

また、彼を指導してくれた歴代の監督は、ユルゲン・クロップ、アレックス・ファーガソン、トーマス・トゥヘルなど、サッカー史に残る人物が多い。彼らとのやり取りについて読むだけでも、世界のサッカー史の一部に触れることができます。

今から20年前ーー。

中学1年生で故郷の神戸を離れて宮城県の仙台市に移り住んだところからこの話は始まります。プロサッカー選手を夢見て、サッカー留学のような形からスタートした戦いの物語です。

将来のアスリートたちのヒントになるための本として制作が始まり、最終的にはコツコツと頑張るためのヒントがつまっています。

この本の発売日は4月7日。新しい学校で、新しい職場でスタートを切るタイミングにいる人も多いかも知れません。実際、「発売日がちょうど入学式なんです!」という意見を寄せてくださった方もいました。

新年度を迎えて、新たなステージに立つ人にも、新たな気持ちで新しい1年をスタートさせたい人にも、一人でも多くの方に読んでもらえたら幸いです!



――ということで、今日から毎日、「心が震えるか、否か。」についてのお話を更新していきます。

今後は、彼の節目となる出来事で語った話や、彼の素顔を知る人たちの手記(ページ数が増えれば増えるほど本の値段があがってしまうため、若い人たちにも読んでもらうために泣く泣く削ったものです)、あるいは特殊な構成になっているこの本の読み方などについても、紹介する予定です。

これを読んでいただいたアナタに何かを感じていただけるように、そして、「SNSでシェアしてやってもよいかなー」と思っていただけるように、精進していきますのでよろしくお願いします! 

  2021年3月29日 ミムラユウスケ

*先ほどの記事に続き、ちょうどドルトムントへの復帰について、ドルトムント側の視点に立った記事を書いていたので、そちらもシェアしておきます↓↓↓

書籍をお買い求めやすいように、主な販売サイトのリンクを以下に貼らせていただきます。

アマゾン https://amazon.co.jp/dp/4344037227

楽天  https://books.rakuten.co.jp/rb/16680856/

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